表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
340/476

Chapter 003_ケンタウルス?

「ご機嫌麗しゅう御座いますか?人間様!!」


「「「「「…」」」」」

「・・・」


身長1.9mもある(らしい)ゲオ様より、さらに背の高いケンタウルスは


私達が近づくにつれて“尻尾フリフリ”と“槍ぴょこぴょこ”のペースを上げて

大歓迎の意を示しながら



「人間様なんて何百年ぶりでしょう!?本日は【モルタレスク】に御用ですか?お約束は御座いますか?」


・・・なんて。言い始めた。



「え、えぇと。私達は…」


・・・魔物かな?注意しなきゃ!

なんて、思っていたので。


予想外に友好的なケンタウルスに面食らってしまった私たち。

だけど・・・



「・・・こんにちは。私はフォニア・マルカス・ピュシカと申します。一同、元気です。」


あ、挨拶は。

きちんと返さないとね・・・



「ソレは良うございました!えぇと…フォニア様で!」

「・・・はい。えぇと、あなたは?」

(わたくし)…で、ございますか?…私のコトは単に【門番(もんばん)】と御呼びくださいませ!」

「・・・門番?」

「はい!…一応。固有名は御座いますが…少々長いですし。それに、“識別番号”にすぎませんので!」


識別番号・・・?


ここのドワーフは魔物を・・・管理している?

・・・なんか。ちょっと不穏・・・


で、でも。とりあえずは・・・



「・・・そうですか。では・・・も、門番。様・・・」

「はい!何なりと!!」


・・・ま。

小娘に付き合って“アヤトリ”できるヒュドラ様だっているんだ。

ドワーフを守るケンタウルス様がいたって。おかしくはないだろう・・・



「・・・【焔の(フレイム)ドワーフ】の皆様にお会いしたくて来ました。【風の(ウィンド)エルフ】の紹介ですが・・・約束はしていません。」


気を取り直して会話に戻った私がそう言うと、

ケンタウルス・・・改め、門番さんは



「左様でございましたか!そういえば…エルフ様もご一緒ですね!」


チラッっと、

エオリカちゃんに乗るフルートを横目に入れて



「お客様で御座いますね!遠路はるばる、ようこそモルタレスクへ!歓迎いたします!!」


と、

元気よく返事したあと



「ですが…」


眉を下げて・・・



「ご迷惑をおかけし、誠に申し訳御座いませんが…現在。モルタレスクへの道は閉ざされております…」


・・・と、



「只今、復旧工事中です!いま暫くお待ち下さい!!」


唱えた・・・






「・・・・・・う?」


・・・うん。

唱えたのは間違いない。


けど・・・





「…おい。フォニ。」


門番さんに何と答えようか?考えていた私に

声をかけたのは



「【モルタレスク】って、なぁに?」


ゲオ様と、ティシア。

でも、実は私も・・・



「・・・分かんない。」


そんな私達の声に



「…お、おや?」


答えたのは・・・



「…モルタレスクは()えある焔のドワーフが築いた“(さと)”の名で御座います。

ご存知…ないのですか?」


(いぶか)しげな表情の

門番さん・・・



「・・・え、えぇと・・・」


あ、怪しまれちゃったかな?でも、

風の森では【焔山】の【焔のドワーフ】としか。聞いてないし・・・


ど、どう答えよう!?

と・・・



「そ、」


考えていると、



「…そうそう!モルタレスク!!」


フルートが・・・



「…ほ、ほら!ぼくら風のエルフも来るのは久しぶりだろう!?山の名前…までは、覚えてたんだけど。郷の名は忘れちゃっていたんだよ!」

「…左様でございましたか。しかし…まさか。エルフ様に忘れられていたなんて。残念です…」

「ご、ごめんね!…か、帰ったらちゃんと。“綴り直して”おくから…ふ、太字で!」

「…よろしくお願いしますね?」

「ね、願われた!」


機転をきかせて

取り次いでくれたのだった



「あ、あのっ!」


そして、すかさず

ローズさんが・・・



「モ、モルタレスクへの道が“閉ざされている”というのは…?」


私も気になっていたコトを聞いてくれた



「それは…」


・・・すると、

門番さんは伏し目がちに火山の断崖を振り返り



「…お、お恥ずかしい話ながら…」


手にした槍を地面に突き刺し、

空いた手で・・・



「ご覧の通りで御座います…」


小山を示した・・・?



「「「「「…?」」」」」

「・・・?」


・・・ご覧の通り??



「…」

「・・・?」

「…」

「・・・??」

「…」

「・・・???」


「つ、つまりどういう事ですか!?」


沈黙に耐えかねたローズさんが、

身振りを交えてそう言うと



「…で、ですから…」

「あ、あの小山に何かあるのかい!?」


さらに、フルートが被せると



「!」


門番さんは一瞬、

驚いた表情をして・・・



「あぁ…ソウで御座いますね…」


私達の様子に合点がついたのか。

“心得た”という表情で・・・



「…ご覧の通り。モルタレスクへ通じる唯一の門…【ヌチルデンの門】は現在。【幻獣ベヒーモス】によって閉ざされているのです。」


再び唱え・・・



「「「ええっ!?」」」「なっ…」「…ほぉ」「にゅ!?」


・・・って!?



「・・・うぅっ!?」


ベヒーモスゥ!?


・・・

・・










「つ、つまり…」

「…あの小山。」

「魔物なのですかっ!?」


「その通りございます…」


今からおよそ300年前!

焔山は悲劇に襲われた



「ベヒーモスってなぁに?」

「…伝説通りなら。カバやゾウに似た巨大な魔物のはずだ。」

「ふぅ〜ん…。お山の魔物…う?」


有史以前から砂漠を徘徊していたベヒーモス。

小山程もあるその姿は威圧的で。進路上にある全ての物を破壊し。


どんな攻撃も跳ね返す硬い装甲で覆われた強力な魔物として

恐れられていたそうだ。



「あのお山…ホントに生きてるですか?心音も。呼吸も…何の音もしないですよ?」

「…おや?そうなのですか?狐様。」

「にゃんですよ!」

「うぅむ…長い間、攻撃し続けていましたからね。いつの間にか死んでしまったのかもしれません…」


けれど、

何を食べるでもなく。ヒトを襲うワケでもない(遭遇したらキャラバンの進路を変える・・・等。対策は必要なものの)ため、ドワーフにとっては事実上無害。


ずっと、放置されていたそうだ。



「なのに…その時は。どうして手を出してしまったんだい?」

「それは…」


当時、ここ焔山のドワーフは繁栄の極みにあったらしい。


魔術と自然科学を融合した独自の錬金術を編み出し


 ①砂漠の真ん中の火山内部で農業(レベチにも程があるよ!)をやってみたり。

 ②保有魔力に影響を与える薬(身に覚えがあり過ぎる・・・)を開発したり。

 ③キメラを製造したり(本当にドワーフの仕業だったの!?趣味悪っ・・・)

 ④ゴーレムを開はつ・・・



「ゴ、ゴーレム!?・・・本当に!?」

「はい!…と、言うか。私こそが、そのゴーレムですよ?」

「「「「はあっ!?」」」」「うぅっ!?」


「…ねーねー。ゴレムってなぁに?」

「シュシュも分かんないです…」


「…“ゴレム”じゃない。“ゴーレム”だ。…魔力で動く…まぁ。人形だな。」

「お人形さん?門番さん…お人形さんなの?」


「ふふふっ!…えぇ。私は栄えあるイグナストム工房作の

騎馬式衛兵用ゴーレム:Nam-il(ナミル)-kins(キンス)型 SN(シリアルナンバー):01-017-01036号機

で御座います!!」


「・・・ゴーレム・・・コレが。ゴーレム・・・」


ちょっ、ちょっと脱線しちゃったけど

とにかく!


ドワーフ達はめちゃくちゃ進歩していたし。

栄えてもいたみたい!



「対戦用ゴーレム:Far-uog(ファルォ)-urimuto(グリムト)型機にベヒーモス捕獲命令が出されたのが。発見から11日経ってのコトでした。」

「捕獲っ!?」


「はい…そして。私共、衛兵用ゴーレムに守衛の出撃命令が下ったのが、その7日後。ベヒーモスにより門が閉ざされたのが…同日。」

「っ…」


「私共と一緒に門を出た、司令官を含む主人の。最後の一人が逝去なされたのが…2日後。」

「にゅう!?」


「以後…私共は1人の主人も見ておらず。一切の補給も受けておりません。」

「そ、それじゃあ…き、君達は300年以上も…」


「そして…私を除いた。全てのゴーレムが止まったのが104年前…」

「あなたを…の、除いた…って…」


「私は…外に残されたゴーレムの。最後の1機となります…」



そんな・・・

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ