Chapter 020_魔女裁判
林檎です。
時は来た!!
着想は・・・
アントニオ・ヴィヴァルディ 作曲
【ラ・ストラヴァガンツァ】
いってみよっ↓
「・・・『リブラリアの理第7原理 綴られし定理を今ここに』」
倒壊現場から発見されたリュート様とクレシェンド様は・・・
も、もちろん!無事で!!
ほんのチョット、手足が千切れていたので
死なないように応急処置して、今に至る
「『此れは法の化身 書の守護者なり』」
はじめ、痛い痛いと騒いでいた2人なのに、
助けたのが私と知るやいなや、敵対的な瞳で私を睨み。衛兵さんを呼び・・・
「『其は理に背きし罪人 両手を結んで首を差し出せ』」
・・・全滅シたから無駄よ? と伝えると、
とたんに黙り。
何を聞いても応えてくれなくなってしまった・・・
「『心して答えよ 否は刃に 沈黙は炎に』」
いや、もう・・・
ほんと。カンベンしてよね!
こんな僻地まで来て収穫無しなんて
認めないんだから!!
「『許されし答えは唯ひとつ 嘘偽りなく頁を辿れ』」
だから・・・
「『理結く』」
私の質問に・・・絶っ対っ!!
「・・・ジャジメント!」
答えて、
『パッチィンッ!!』
もらうんだからねっ!!
「・・・ウリエル!」
「イエス!マイロード!!」
「なっ!?」
「こ、こんな魔法が!?」
契約属性 第12階位 【神判魔法】は
“勝ち確”の魔法なだけじゃなくて
ビジュアルもなかなか、派手な魔法だったりする・・・
「アレは…本?」
「ま、魔法印だろう!?」
周囲に集まったエルフが言ったとおり・・・
魔法が発現すると、
光り輝く大きな本(のような魔法印)が私の前に現れて・・・
「がっ!」
「「族長!?」」
「ぐぇっ!?」
「み、巫女様まで…!?」
光の縄で2人が後ろ手に縛られ(ま。リュート“殿”の腕はモゲて無くなっているんだけどね・・・)跪かせ・・・
「さ。て…」
長柄の斧を手にしたウリエルが
2人の後ろに瞬間移動して
「…どちらから?」
「・・・クレシェンド殿・・・かな?」
「御意に」
罪人の
「ヒッ…」
首元に・・・
「動けんだろうが…動くなよ?」
「っ…」
刃を“当てて”
「…ロード。」
「・・・ん。」
・・・準備万端
「・・・それでは、開廷します。」
「…其。クレシェンド・シビラ・ウィンド・ファイン。…よく聞け。」
契約属性第12階位【神判魔法】は、
“反則的”と名高い契約魔法の中でも
とりわけ、反則的な魔法である
「…これから下賜されるロードのご審問に否と答えれば、この斧が落ちる。」
「っ!?」
「嘘偽りを吐いても同じ」
「ひ…」
「解答に躊躇いを見せたり。論点を外した答えをしたり。曖昧な回答をすれば…浄化の炎がお前を焼き。性根を改めさせる。」
「………」
ウリエルが言い終えると・・・
「つ、つまり…」
聴衆のひとりが・・・
「…い、肯と答えるしか無い。と…?」
その答は。もちろん・・・
「…そうだ。ふふっ…死にたいなら。別だがな…」
「「「「「っ…」」」」」
んふふふ・・・
「・・・クレシェンド殿。アノお茶を私に飲ませたのは・・・あなたの指示ですね?」
この魔法は・・・実に、
反則的だ
「………は、はい…」
「・・・あのお茶には魔りょ・・・い、“一般に言うところの”魔力を消す。あるいは、魔術を行使できないようにする。特殊な効果がある。・・・間違い。ありませんね?」
「は…い………」
首元に刃を当てられた状態で魔法の効果を説明されれば、誰だって
従うに決まっている。
「・・・ふーん。・・・たいへん興味があります。後でレシピを教えて下さいね。」
「…………はぃ…」
「ふむ…。ロード。この森の奥…枯木の洞に被告のアトリエがあり。レシピもソコに…」
「んなっ!?」
「・・・ん。」
「っ…」
絶命覚悟で否と言う事もできるけど、至近距離に“ヒトの心が読める”ウリエルが居るのだから。結局、真実に辿り着くことができる。
「・・・ど」
『…ロード!この者…お茶の製法は知っておりますが、なぜ、そのような効果を発揮できたのかは理解していないようです。ソノご質問は…』
「っ!・・・ん・・・」
「…ま、魔女…さま…?」
「・・・・・・なんでもない。」
「は、はぁ…」
私が“危ない質問”をしそうになってもウリエルが諭してくれる。
・・・コレも、この魔法の反則点の1つ。
「・・・そうだ。・・・あなたのアトリエですが・・・他の皆さんも、場所をご存知ですか?」
「に、人数は…少ないですが。…はい。」
「・・・では。リュート殿以外の誰かに命じて。レシビを取ってこさせて下さい。」
「っ…は、はぃ…っ…っっ…だ、誰でもいいわ。小屋の…す、全ての本を。差し上げて。た、頼み…ますっ…」
「…っ…は、はい!」
「い、行ってまいります!巫女様…」
ついでに言うと。
この魔法によって発現するウリエルの特殊効果“必中”は
“絶対に当たる”という意味じゃない。
“絶対に命を奪う"という意味の【必中】だ。
相手に“命”さえ、あれば・・・
たとえ【不死】属性を持っていたとしても、刃が届く
そして。なにより・・・
「・・・あのお茶の真の効果は。体内に貯まった“一般に言うところの”魔力を消す。と、言うより・・・」
『!?ロ、ロード!』
「・・・あなたがたエルフが言うところの“マナ”を“魔力”に変換する。その効率を落とす・・・或いは、ゼロにする事。・・・そうね?」
『っ…』
この魔法の真骨頂は・・・
「……へ?え…」
「・・・その答えはあいま・・・」
「っ!?っ……っっ…は、はいぃ………」
導き出される答えは
「・・・」
「っ………せ、せいか……い…?」
「・・・・・・」
「はあぁぁ〜………」
リブラリアの【真理】である
という。コト・・・
「・・・・・・・・・そう・・・なのね。・・・ソレはつまり。エルフたちが提唱する【マナ・フロウ】仮説には“矛盾”があるものの。“間違い”とも、言い切れない・・・そうね?」
「え、えぇと…」
「…耳長。何度言えば…」
「っ!はいぃっ…」
「・・・・・・・・・【マナ・フロウ】仮説が正しいと仮定した場合。魔力はエネルギーではなく。文字通り“力”である・・・そうね?」
「し、知りませんよぉ…。」
「・・・ソレが答え?」
「…ひぐっ、ち、ちがっ!ちがいますぅ!!…こ、答えは。“はい”ですぅ…」
「・・・」
「………っ…っっ…」
「・・・・・・・・・そ。・・・それが“答え”。なのね・・・・」
コレは・・・またとないチャンスだ。
真理に近づくための・・・
「・・・じゃあ。次の質問。」
「っ…は、はやく…終わらせて…」
「・・・ソレはアナタ次第よ。・・・で、質問だけど・・・【マナ・フロウ】仮説における“マナ”というモノは。私個人が考えているエネルギーとは別物である。・・・はい/いいえ?」
「は…は、はいぃ…」
「・・・」
「…、っ…っ…」
「・・・・・・ふーん・・・ま。そうだよね・・・」
「は、はぁ…」
「・・・次の質問。」
「ま、まだあるのですか?」
「・・・【マナ・フロウ】仮説において。“魔力”が“力”であるというならば。魔力は“ベクトル”という事になる。で、あるならば。魔術はモノや物理現象に影響するのだから・・・ソノ。逆も・・・然り?」
「へ?え…??」
「…おや?死にた…」
「い、イエスですっ!!」
「ふふっ…」
「・・・」
「もうっ…イヤッ…」
「・・・・・・そう・・・コレも。“正”なのね。・・・んふふふっ!・・・つまり、解釈次第で。魔力は・・・“可逆的”になれる・・・って。コトね?・・・すごいわ///」
「ひぐっ…うぅぅ…」
「・・・次の質問」
「っ、っ…も、もうっ…ヤめてぇ…」
「・・・う?・・・んふふふふふふふふふっ・・・
・・・ナニ。言ってるの?
まだ始まったばかりじゃない。
【理の紐解き】は・・・
こ・れ・か・ら・よ?」
「っ…イ、イヤよぉ…」
「んふふふふふふっ・・・・・」




