Chapter 015.5_お月様。もう少しだけ<閑話>
林檎です。
夏休み特別企画―!!
読み切り短編を綴ってみました ;)
このお話は、本編と直接関係のある内容となります。
しかし、時期としては少し先・・・9th Theory のお話となります。
でも、このタイミングで読み切りできるように
綴らせていただきました!
未出のネタが少し含まれておりますので、
「ん?」と思う部分もあると思いますが・・・
・・・ふふふっ!
それは、今後のお楽しみ!って、コトにしておいて
くださいませっ!
↓ではでは↓
「・・・ま~ぜてっ!」
夜の砂浜で…
「「…」」
「もっちろーん!大歓迎さ、マシェリ―!!」
…ボク。オッサン。そしてチビの3人で
火を囲んで酒を手に野営をしていると、
「・・・んふふふぅ~!・・・う~?・・・3人は、なにを飲んでるのかな?」
いつもの薄着(さすがに慣れた…)を纏い、
いつもと違って小さな手に、茶色の小瓶を携えて
蛇と星を引き連れた魔女が
砂をサクサク、上機嫌でやってきた…
「…フォニ。行儀が悪いぞ。」
オッサンの言葉に
「・・・う~?・・・んふふっ、」
唇に指を置き、イタズラに笑い
「・・・たまには、いいじゃん。・・・ほら、ティシアは、もう。眠っちゃったし・・・ほらっ!今夜は南風も強いし!・・・オトナの夜を楽しもうよ!」
そう言った魔女は
オッサンの前に立つと…
「・・・わー・・・」
と、倒れ込み
「…まったく。」
『ぽふっ!』と、受け止めさせて
「・・・んふふふっ!」
オッサンの腕にしがみ付き
「・・・なに、飲んでるの?」
…と。オッサンのコップに
顔を寄せたのだった
「…フォニ。おまえ…来る途中に飲んだな?」
「・・・・・・チョットだけだよ?」
ここに来た時すでに、
少し顔が朱いな…と、思ったが
なるほど。そういう事か…
「…天使に言われてるだろ?」
魔女は天使から…
………
……
…
「ロードっ!お酒はいけません!!「体にいい。」なんていう人もいますが…実際は、八百害あって一利なしなんですからね!特に、“Alcohol”代謝によってできる“Acetaldehyde” は発がん性のある“猛毒”なんですよ!!少しはじちょ…」
「・・・ばいばい、サリエル」
「ちょっ!?ロードぉ…!!」
…
……
……
…と、いうやり取りを経て。
「・・・むぅー!・・・いいじゃん別に。どうせ、あんまり酔えないんだから・・・これくらい。」
最後は、
泣きながら訴えた天使の願いに魔女が折れて。
酒を飲んだら、酔いが回る前に天使がやってきて、
解毒する約束になったそうだ…
「・・・んちゅっ、んちゅっ・・・ぷはーっ!・・・んふふふっ!今夜も、ヒエヒエ!シードルが美味しいなっ!」
…だから。
魔女が“本当の意味”で酒を楽しめるのは…いつも、
せいぜい、半時間。
今夜はペースが速いから、もっと早いだろう…
「・・・ゲオ様たちは・・・くんくん。うぇ・・・ヘンな匂い。ナニこれ?」
「“うぃすきぃ”…とかいう、お酒だよ!マシェリ―!」
天使が言うのだから、それが彼女の“ため”であるのは間違いない。
「・・・うぃすきぃ?・・・みんな。オトナだね・・・」
「…この中でフォニと同い年なのは小僧だけだ。」
しかし、
酔いたくて酒を飲んでいるのに。酔わせてもらえない…と、いうのも
難儀なものだ…
「・・・う?・・・んふふっ!そういえば!」
そのせいか知らないが…魔女は酒を飲むと、いつもスグに
こんなノリでボク達と接する。
短い“酔いどれ”の時間を
全力で楽しもうとしているかのように………
「・・・ルクスも。“うぃすきぃ”飲んでるの?」
…そんな魔女は、
オッサンに寄りかかり、ニヤけたチビにスリ寄られたまま
砂浜に腰を下ろし、不機嫌そうな蛇に瓶を持たせ
頬を染めながら…
「…ま、まぁ…な…」
ボクを捕えた…
「・・・おいし?」
「…どうかな…」
三つ編みをほどき、
「・・・う?」
「…飲んでみるか?」
「・・・うー・・・やめとく。・・・強いお酒は。すぐ、酔っちゃうから・・・」
長い髪を揺らし
「…そうか。」
「・・・ん。でも・・・ありがと」
「…なんもしてないだろ。」
「・・・んふふっ。」
小さく笑った魔女は、
「・・・ふぅっ。・・・こっちおいで」
『パチッ…』
小さく指をこすり
『…!』
薄い金色をした“酒の星”に…
「・・・んー・・・」
艶やかな唇を寄せ
「・・・ちゅー・・・ぅ、そうだ。・・・ルクスも・・・」
「…あ?」
砂で汚した素足をそのまま、
絹のような太ももを重ね
「・・・のむ?・・・“あの時”のお酒だよ?」
体を少し傾け、胸を寄せて
金の星を指し…
「…もらう。」
その夜に吸い込まれるように、
ボクが顔を寄せると…
「ん!・・・私も飲もっと!」
…“彼女”も
「・・・んー・・・」
唇を寄せ…
「…///」
「あー!小僧ばっかり…。マシェリィ…」
「・・・うぅ?・・・んふふふっ。フルートはぁ・・・オトナなんじゃ、なかったの?・・・シードルは、あまぁ~い・・・子供向けのお酒だよ?」
「えぇっ!?…か、関係ないよぉ…。それに、ぼくは果物のお酒の方が飲み慣れているし…」
「・・・んふふふっ!じゃぁ、注いであげるからコップを・・・」
「マシェリーと一緒に!…って所が大事なのさ!」
「・・・うぅ?いっしょに・・・///。・・・へ、ヘンタイさんかな?」
そういった魔女に
「うへへぇ~…」
チビはワザとらしく、指を蠢かせて見せて…
「・・・きゃー///」
対する魔女も、ワザとらしく悲鳴を上げて…
「・・・んしょ!」
「…お?」『るっ?』
…『パッ!』っと、
オッサンから立ち上がり
「それー・・・!」
『トトトッ…』と、
月光キラめく渚に踊り出て
「・・・っと!」
『クルッ!』…と、
振り返り…
「・・・捕まえた方に。あ~げるっ!」
『…』
星の力を借りて、
ふわりと駆けだした…
「まてー!」
「んふふふっ・・・!」
チビは早速、召喚獣の力まで借りて、
本気で追いかけ始めたのだった…
「はぁっ…まったく、」
「…」
オッサンと共に、
座ったままだったボクが
「まてまて、マシェリー!」
「んふふふっ!・・・そんな“そよ風”じゃ~、私は捕まえられないよー?」
「ぐぬぬ…エ、エウロス!こうなったら音の速度で…」
「…生身でそれは、死ぬぞ?主人。」
高次元な魔法使って低次元なアソビをしている2人を
呆れながら見つめていると…
「・・・る~くすぅっ!早く来ないと、フルートに獲られちゃうよぉ~・・・?」
さらに…
「…お姫様がお呼びだぞ?小僧…」
「…」
オッサンめ。余計なことを…
「・・・む・・・」
味方を得て、さらに気をよくしたのか…
「・・・むぅ~う~ぅ~っ!」
魔女はワザとらしく、頬を張った
「…はぁあぁぁぁ~…」
…ったく、
「ヤレヤレッ!!」
観念して、
ボクが腰を上げると
「んふふふふふっ!」
魔女は、今日一番の笑顔を見せて
「・・・さぁ、おいで。」
月と星を背に
「短い夏を、楽しもうよ・・・」
魔法の夜を、ひと唱え…
良き夏を!!
ご評価いただけると
嬉し―!




