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Chapter 011_霹龍 ララエヤンクク①

「・・・うぅ・・・ぐしゃぐしゃ・・・歩きづらい・・・」

『ルルゥ…』


湿原のど真ん中。



「誰のせいだ!?」

「・・・むぅ・・・私のせいだとでも言うの?」

「他にいないだろっ!!」

「・・・むぅー!!・・・助けてフルート君。ルクスがイジメる・・・」

「は、はは…ほ、ほら。おねーちゃん。手を…」


蒸しバナナを堪能し。満腹満足ご満悦な私。

濡れないように・・・と、気を使ってくれた蛇さんの背中から気まぐれに降り。

“よんぽ”目の左脚を伸ばした・・・



「・・・」


その時。



「う?」


私が常時発現させている。エアコンこと、

纏風魔法(ウェアー)が・・・・揺らいだ?






「ごしゅじ…!!」


次の瞬間!?



「うっ!?」


少し前を歩いていたシュシュが振り返り

コチラに駆けっ!



「くそっ!!?」

「っ!?おねーちゃん!?」


ほぼ同時にルクスとフルート君が・・・



「きゃっ!?」


抱きつっ!?



『ダガアァーーー………キィーーーーーッッ!!!』































・・

・・・



私が知っている限り、

固有魔術として“電撃”を扱う魔物は僅か4種


①数百年前。エチェンバルレ王国の大都市に突如現れて僅か1日で市民を文字通り“全滅”させ。挙げ句に高山に逃れて以降、未確認のゴリラっぽい魔物

【金色の暴君 ラーバイン】

脅威度は上から2つ目の【綴理級】


②千数百年前に出現し、ヌワーラーアェ諸島の島1つを呑み込んで消滅させたと言われている超巨大な“エイ”っぽい魔物

【島食い ルーエン】

脅威度【綴理級】


③有史以前、天から降ってきた(と、言われている)魔物で、周囲の生態系を壊滅させ、微生物一匹たりとも近づかせず。三千年以上たった現在でもヴィルス帝国の不毛の地で放電し続けている“山”くらい大きなスライム(っぽい、ブヨブヨしたナニカ)

【天峰 ユピテリムルス】

脅威度は1番上の【神代級】


④リブラリア各地の沼にいるドジョウっぽい(食べられるけど泥臭い。特別、美味しくもなかった・・・)魔物

【ドッコ】

脅威度は劣級で、糸と針と小エビがあれば子供でも捕まえられる。

ドッコの『ピリッ…』な攻撃は、真冬の静電気より優しい



リブラリアの魔物が“攻撃”として放つ電撃は

アニメやゲームでデフォルメされた「黄色いギザギザ」とはワケが違う


マクスウェル方程式に従う、

まごうことなき【エレクトロン】だ。


1.魔力で膨大な電子を生み出し

2.対象までの導路の電気抵抗値を下げ

3.スパークで自らが怪我を負わないようにバリアーっぽいナニカで保護し

4.電子雪崩を起こして一気に放つ・・・

・・・って、プロセスを踏んでるんだと思う。たぶん。


光速の30%と言われる超高速の砲撃を

気付いてから避けるなんて不可能だ。



また、放たれる電撃は自然現象の“雷”に匹敵するか、

場合によってはそれ以上と言われている。


たったの100V - 0.5Aで死ぬと言われている“ヒト”なんてイチコロ


・・・もっとも、ドッコちゃんを除いた3種の魔物は近づく事さえできない(そもそも、現存するのかすら不明)ため、詳しいことは分からないのが実情。


けれど、過去の記録を見る限り、

全個体が美名付のネームドで、しかも綴理級以上のバケモノなのは理のまま。


雷撃を扱える魔物が少ないことからみても、

モノにできれば強力無比であるのは間違いないだろう。


ヒトにできる事といえば

“出遭った不運を呪う”こと。

“見咎められぬよう、願う”こと・・・それだけ。




ソレは、

【生物】というより【現象】である


異世界で言うところの

“晴天の霹靂(へきれき)”というヤツである・・・


・・・

・・



























「・・・・・・・・・・・・・・・ぅ・・・」


身体が・・・あっ。熱・・・い・・・



『…っ…まっ!』

『・・・?』


耳鳴りの世界で目覚めた私は

誰かに揺り動かされている“感覚”を覚えつつも


判然としない思考と混濁した感覚で満ちた

闇の世界に澱んでいた・・・


『ドッ!!』


けれど間もなく



『っ!?…よっ!!』


・・・あれ?

すぐ側に感じる。この魔力は・・・



「・・・・・・?」


シュシュと・・・サリエル?


想いは何故か、

言葉にできなかったけど・・・



『はいっ!!貴女の僕。堕天使サリエルにございます!狐ちゃんも側におりますよ!!」


魔力による“テレパシー”的なナニカでコトバは伝わり

返事も帰ってきた・・・



『ロード!スグに治癒しますね!!』

『・・・ちゆ?』

『魔物の攻撃で御身の感覚器官が一時的な機能不全に陥っております!』


魔物の・・・攻撃・・・?


・・・え?

マジ!?いつ!?なんで??



ひょっとして、それって

ルクスとフルート君による脈絡の無いハグのこと!?

確かに。男の子はオオカミさんだと言うけれど・・・


・・・なんて。考えていたら



『失礼します…』


サリエルの温かな手が頬に触れ・・・



「・・・・・・ぅ・・・」


即時

意識が明瞭となり


背中の不快なドロドロ・・・地面に横たわっている?・・・と、

ナニカが焼け焦げた匂いを感じた。

けれど、その答えを得る前に



「さまっ!!ご主人様ぁっ!!」


愛する小狐ちゃんが泣き叫び

この胸に飛び込んできた!?



「わ!?・・・シュ、シュシュ・・・」

「ご主人様あぁっ!!!!」


「・・・う・・・えぇと・・・。よ、よし。よし・・・」

「うにゃあ〜っ!!」


胸に(うず)まり泣きじゃくる彼女をとりあえず撫でると、

側に控えたサリエルが…



「先程の轟音と閃光によるショックで、聴覚と視覚に支障をきたしたものの…幸い。ロードの御身は軽症です。ご心配なさらず・・・」


・・・と、話しかけてきた。

でも・・・



「・・・う?・・・轟音?閃光??」

「覚えて…おりませんか?」


正直、



「・・・あまり・・・」


私の答えに、

サリエルは少し困った顔をしつつも



「…ショックのせいでしょうね。」


真剣な表情に変わり、そして・・・



「それはともかく、ロード。スグにお逃げ下さい!」

「わ!」


サリエルにしては珍しく。

強い力で私を抱き起こすと



「さぁ、お早く!!“彼らの犠牲”を無駄にしてはなりません!」

「うっ!?」


彼らの・・・犠牲!?

その言葉に、慌てて首を動かすと・・・



「・・・え・・・」


瞳に飛び込んできたのは、黒焦げの・・・



「・・・・・・も、もしか。して・・・ルクス?フルートく・・・ん・・・?」


言い終わらないうちに!!



「ロードっ!」

「ご主人様っ!!


サリエルとシュシュに強く抱きしめられ!!



『ルッ!!』


ヒュドラが飛び出し、

とぐろを巻きながら球形に私を覆い



「わっ!?」


声を上げた途端



『っ!!!』


空から・・・ま、魔法現象!?



『ダガアァァーーーンッ!!!』


鼓膜を撃ち抜く轟音っ!?!?



「「「「「きゃあーー!!!」」」」」


数瞬遅れて聞こえたのは・・・悲鳴!?

周りにいる冒険者さん達の?



『リュ〜…』

「ヒュドラ!?」


ヒュドラは力無くとぐろを解き、

泥だらけの地面にベタッと・・・



「ヒュドラ!ヒュドラッ!?」

『リュ〜』


だ、大丈夫か!?ですって!?

あなたが大丈夫じゃ無いでしょ!?


ヒュドラの魔力補給をするために大急ぎで触れようとすると・・・




「ロ、ロード!?なりません!!」

「ご主人さまっ!!」

「うぅっ!?」


シュシュとサリエルは私を行かせまいと抱き締める力を強め



「ヘビはもう…。そ、それに!ロードがご無事なら何度でも!」

「で、でもっ!!」

「ヘビさんはまだビリビリでジュージューです!!触っちゃダメですよ!」

「でも・・・」


逡巡している私に



『マスタ!ボクは大丈夫だから!また、マスタに喚んでもらえるから』

「ヒュドラ・・・」


ヒュドラからメッセージが・・・



『そ、それよりマスタ!お空!お空を…』


煙を上げながらも最後の力を振り絞って

ヒュドラが頭をもたげた先・・・



「まただ!またヤラれたぞ!!」

「ま、魔女ぉっ!?大丈夫なの!?」

「無事か!?」


慌てふためく冒険者たちが



「魔法は!?」

「魔法撃てよ!!」

「弓矢でもいい!!」

「早く!!」

「お前もやれ!!」


見つめる先には・・・・



『クク…クククッ…』


細長く幾重にも枝分かれした…

“稲妻”のような姿をした…



「・・・・・・なに・・・あれ・・・」


白金色の



「…分類的には精霊ですが。状況的に…“魔物”。で…いいと、思います。」


“魔の物”などと呼ぶには神々し過ぎる

リブラリアの理から生み出されし【ひとつの原理】は



「…っ、、、。し、信じられないくらいの魔力です…」



一柱の・・・




「・・・・・・り、龍・・・」

林檎です!


ちなみに、

「霹龍」は「へきりゅう」と読みます


それと、

久しぶりに活動報告うpしまして・・・



・・・よろしくね!


<23/05/19>

ちょっと語呂が悪いところがあったので改訂しました。

失礼いたしました・・・

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