Chapter 002_魔法
林檎です!
誤字報告。わざわざありがとうございました!
感謝です!!
修正しましたっ(21/12/15 21:45)
=追記=
わ!いつの間にか10「イイね」超え!?
応援ありがとうございますっ!頑張りマッシブ!!
(2025/03/06 22:20 り・ん・ごっ)
「…『理の願い』ヴァージンリーフ!」
それは不思議な出来事だった。
「・・・・・・う?」
お母様の手の平が
『ホワァ…』と、光ったと思ったら・・・
「…うふふ。ビックリした?コレが魔法…製紙魔法よ!」
・・・その手に1枚の
真っ白な紙が・・・
「・・・う?『手品?』」
紙・・・あれ?
いつの間に?
ぜんぜん気付かなかったよ。
お母様って・・・ひょっとして、イリュージョン業界の人?
両手を前に出した状態でどうやってシワ1つない紙を取り出したの?
全然分からなかったよ・・・
「…?テジナ??そんな言葉あったかしら?…フォニアちゃん。コレは魔法と言うの。ま・ほ・う。…ほら、言ってご覧なさい。」
思わずJapaneseを呟いてしまった私に、お母様はそう訂正をした。
まほう・・・手品の事を
そう言うのかな?
「・・・魔法。」
「そう!…うん!イントネーションも完璧ね!流石我が娘!!どやぁっ!!」
いや、イントネーションがどうとか、
そういう問題じゃ無くて・・・
「・・・お母様。もう1回!」
そう。もう1回・・・もう1回だ!
絶対に見抜いてやる!
意気込みながら目力を2割増にしてお母様に詰め寄ると・・・
「うふふっ。そうよね。気になるわよね!…いいわ!やってあげる!」
「・・・やた!」
リクエストに答えてくれるという。流石はマイマザー!
私の返事を聞いたお母様は頷いてから・・・
「いくわよ〜っ。すぅ…『理の願い』ヴァージンリーフ!」
・・・再び唱えた。
すると・・・
「…うんっ。成功ね!」
・・・先程と同じように、その手には折り目のない真っさらな
1枚の紙が乗っていたのだった。
「・・・・・・・・・う?うぅ?」
おかしい・・・
今回はさっき以上に注視したけど、お母様は喋った以外
身動き1つしなかった。
そもそも手元が光るのも謎だ。袖の中にペンライトでも隠して・・・いやいや、
お母様半袖だから。手元に光線届けるとか、幾何学的に無理だし・・・
じゃあ、運命の悪戯でプラズマ発光現象が・・・いやいや、まてまて。
そんな高エネルギー反応が至近距離で発現したら
お母様が炭化しちゃうよ・・・
「うふふふふっ。お目々丸くしちゃって…可愛い…」
「・・・お母様!それ!それ・・・」
「それ?…あぁ、製紙の事ね。触ってみる?」
正体不明の発光現象も気になるけど・・・やはり、あの紙だ。
何処からともなく現れた一枚の紙・・・解決のヒントも、きっとソコにある!
タネや仕掛けが。きっと・・・
「・・・ん!」
「うふふっ。どーぞっ。」
お母様から紙を受け取り隅々まで目を通す。
「不思議ねー…」
「・・・・・・・・・」
隅々まで・・・細い糸が張られていたり
折り目があったり・・・
「いったいコレは。ナニかしら…?」
「・・・」
静電気や上昇気流で浮かんでいた紙が落ちて来ただけ
だったり・・・
「…うふふっ。」
「・・・」
イオンクラフトで浮かんでいたり、
空気中に微小な有機物を浮遊させて手のひらの上で重合させる・・・
実はホログラフィーだった。なんてことは・・・
「あんなに真剣に…相変わらず、すごい集中力ね。子供って凄いわ…」
「・・・」
・・・お母様から受け取ったこの、紙に見える物体は“実体”があるし、
質感は完全に紙だ。
くまなく触って確かめたけど糸なんて付いてない。折り目どころか皺ひとつない。
今日は雨で湿度が高いから静電気は立ちづらいハズ。
経年劣化による壁の穴から、ピンポイントな風が吹き込むとも思えない。
それに、素朴な生活をしているこの家に超科学的なメカがあるとも思えない。
だとすると・・・
「…何かわかった?フォニアちゃん?」
「・・・紙。」
小一時間悩んで分かった事と言えば、これはおそらく紙で間違いないという事。
強いて言うなら、引っ張っても破れない丈夫な紙という事くらい・・・
「…いい?フォニアちゃん。今のは紙を生み出す魔法だったけど…他にも、水を生み出したり、風を吹かせたり…火を起こす魔法なんてものもあるのよ?」
「・・・う?」
水を生む?風を吹かす?火を起こす?
・・・何言ってんのこの人?
「魔法は、適性さえあれば誰でも…呪文を唱えれば行使することが出来るの。中には魔法が苦手な人もいるけど…でも、あなたはきっと、大きくなればできるわ。」
「・・・う?てきせい?じゅもん・・・となえる?」
「あぁ!えぇっと…お似合いの魔法なら、お喋りするだけで、できる…ってこと。」
お似合い?・・・自分に合ってるって事?
お喋りする?・・・さっきお母様が言っていた言葉の事かな?
・・・そういえば、紙が現れる前に同じ言葉を繰り返していたっけ。
できる・・・紙が生まれるって事?
「・・・自分に合った魔法の言葉を言うと、紙が生まれるの?」
「そう!それよ!!今の説明で分かってくれるなんて…さすが我が娘!!どやぁっ!!」
論点はそこじゃないだろう。と思うけど・・・ドヤる母の反応で、
解釈がだいたい合っていた事を悟る。
つまりあれか。
適合しているならば、唱えれば、出来る。
そんなまさか・・・とは思うけど、
現にお母様は目の前でやってくれた。
タネは分からなかった。
「・・・むぅ。」
・・・ま、物は試しだ。
「・・・・・・『理の願い』ヴァージンリーフ」
「えっ!?」
お母様をマネて手を拡げ、そう唱えると・・・
「・・・・・・」
手の平の上に・・・
「う、うそ…」
・・・
・・
・
…
……
………
フォニアは特別な子だった。
もちろん、お腹を痛めて産んだこの子が特別なのは当然だ。
でも、そうじゃなくてこの子は…
「・・・でた。」
手の平に生み出した小さな紙片を見つめ、
フォニアはいつものように淡々と呟いた。
「そ、そうね…。行使できたね…。…凄いわ。フォニアちゃ…、」
初めての魔法行使は平均8歳…早くて6歳と言われている。
8歳の誕生日を【臨理】と呼んでお祝いするのはそれが理由だし…
そもそも、
それくらいの年にならないと魔法現象の理解も、そのイマジネーションも
上手に出来ないだろうから…
たとえ生まれつきの魔力が多く。かつ、呪文を覚えたとしても
行使は出来ない…ハズだ。
そのハズだ。
そう、綴られていた…
…ハズ。
「・・・『理の願い』ヴァージンリーフ。・・・またでた。・・・う~?」
「…」
だというのにこの子は…ま、まだ1歳半なのよ!?
立ち上がるのも、言葉を覚えるのも早かったし…
時々、変わった声を上げる事もあるけど、普通に会話もできる。
1歳を迎えてから夜泣きは全くしないし、おむつも卒業しちゃったし、
駄々こねないしイヤイヤしない���…
…き、聞いていた子供と随分違うのは確かだけど…でもっ!
でも
早すぎる!!
「・・・『理の願い』ヴァージンリーフ。・・・またでた。・・・ナットクイカナイ。」
「…」
そりゃぁ…確かに。そんな予感はしていたわ。
この子が初めて目蓋を開けたあの時から
予感が…
でも、だからって…
「・・・『理の願い』ヴァージンリーフ。・・・魔法・・・マホウって意味か。・・・確かにこれは、まほー・・・」
「…」
魔法行使に必要なものは4つ。
【魔力】
【知識】
【イマジネーション】
そして【適性】だ。
魔法は【魔力】を消費して発現する。
当然だけど、燃料となる魔力が無いと始まらない。
魔力は年齢と共に増えていくけど、16歳くらいで頭打ちになると言われている。
初歩の初歩である製紙魔法に必要な魔力は、たしかに少ないけど…
【知識】としては、呪文と魔法の効果を正確に理解することが必要だ。
正しく呪文を唱えないと何も起こらないし、
魔法の効果を理解していないと発現しなかったり…最悪、暴発してしまう。
1歳半の赤ん坊が“魔法現象”を理解して、呪文を正しく発音できるなんて…
そんな事が…
そして魔法を行使するには、どういう魔法現象を発現したいのか…
その姿を具体的に合理的に確固たる意志を持って思い浮かべる…
つまり【イマジネーション】しないといけない。
この子が“魔法現象”や“紙”というモノに接したのは
今日が初めてのはず…
「・・・『理の願い』ヴァージンリーフ。・・・大きさ変えられるのか。便利。」
最後に、魔法には【適性】がある。
低位の魔法なら適性属性じゃなくても行使可能だけど、
高位の魔法になるにつれて難しくなる。
そして、
魔法は大抵…危険なものだ。
低位の魔法で、単純に
身近な“紙”という物体を生み出すダケの
【製紙魔法】が
“はじまりの魔法”と呼ばれているのは、その為だ。
私もそうだった…
「・・・『理の願い』ヴァージンリーフ。・・・2枚作れた。便利。」
適性属性を知るのは簡単だ。
瞳の…色を見ればいい。
火属性は赤い瞳。
木属性は琥珀色。
土属性は栗色。
金属性は金色。
風属性は緑色。
水属性は青色。
治癒属性は銀色。
最後に、これは色じゃないけど…契約属性は無色。
この世界のすべての人が、これらの色を瞳に宿している。
単色は少なくて、逆に2色が混ざった人が大半を占める・・・現に私の瞳は緑と青が混ざった色・・・。3色の人もいる。けど、4色以上は前例が無い(というか、判別できない)とか…
沢山の属性を使いこなせるのはそれだけ便利だけど、
多数の属性を宿して瞳の色が濁るほど魔法は苦手になっていくそうだ。
逆に、澄んだ単色の人ほど、1つの属性に精通できるという。
「・・・『理の願い』ヴァージンリーフ。・・・色紙も作れるんだ。便利。」
そしてもう一つ。
お伽噺にしか出てこない伝説の色がある。
全ての色を混ぜ合わせて生れる混沌の色…
混沌でありながら、しかし。
単色である理の色…
その色を持つ者は全ての属性を制し、
自然とイマジネーションを身に着け。賢く。
魔力も特別多いとかナンとか…
それは全部、お伽噺の中だけの話だと思っていた。
だけど…
「・・・ねぇ、お母様。魔法って便利ね!」
希望と可能性に満ち溢れた我が子の
黒く。
大きな瞳に
輝かしい未来と…
「そ…」
…数多の苦難が映るのを見た私は
「………そう。ね…」
そう返すのが。
精一杯だった…
林檎でーす!
ちょっと見直して…
読みやすいように。また、矛盾が無いように
改稿しました!
よろしくね!!(23/09/09 22:00)
もう一回!(24/01/14 22:00)