表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
186/476

Chapter 006.5_冒険者のマーチ!<閑話>

林檎です。


本話。しょうしょう短めです。

ご了承ください。


・・・よろしくね。

「てりゃー!」

「ティ、ティシアっ!振り回しちゃメ!…あ、危ないよ?」


小麦は秋に植えて次の年の初夏に収穫する作物。だから、夏の今はお仕事もお休み!



「へーきだも~んっ!」

「…んもうっ!」


おじいちゃんとおばあちゃんの遺言で貰った大きなお屋敷で過ごすのもいいけど…

今日みたいにお天気がいい日は、やっぱりお出かけしたくなる!


そんなわけで今は、イレーヌちゃんの子供のロラン君と、ジュリ〜ちゃんのアル君を誘って

妹と水路で遊んだ帰り道…



「せりゃー!くらえぇデュラァ…ナントカ…ルゥー!…なむなむ〜火魔法だーっ!」


昨日まで雨続きだったから…久し振りにお友達と遊べたティシアは大はしゃぎ!

ロラン君を水路に落として、アル君を泣かせちゃって…


げ、元気なのはいいけど。

ちょっとはお淑やかになってほしい!



「そ、それは伝説のぉ!?」

「きゃあー!」

「やーらーれーたぁ〜!!」


そんなティシアの様子をクスクスと微笑み、見守っていた冒険者のお兄さん・お姉さん。

ティシアと目が合った途端…遊びに付き合ってくれた!?



「…う?」


ティシアは一瞬パチクリとしたけど…



「んふふー!!」


すぐにニンマリと笑って

水路で拾ったヒノキノボウを構えて



「く、くらえぇー!えくす…プ……な、なんだっけ?おねちゃ!?」

「…エクスプロージョン」

「エ、エクスプろ〜ジョんぅぅーっ!!」


荷車を曳くお馬さんも驚くほどの声で唱えた



「ぎゃー!!」

「マジョ様だわぁ〜!!」

「も、燃え尽きたぜ…」


「んふふふーーっ!!唱えたとぉ〜りぃ〜!!」


「へへぇ〜!!」

「参りましたぁ〜」

「ガクッ…」


ノ、ノリのいいお兄さんとお姉さんに遊んでもらえて良かったね…


………

……






「バイバーイ!…おにーちゃんっ!おねーちゃんっ!」

「「「ばいばぁ〜い!!」」」

「い、妹がお世話になりました!…冒険、頑張って下さい!!」



「ふんっ…ふーんっ!」

「…んふふっ。楽しかったね?」

「あいっ!」


冒険者のお兄さん、お姉さんに別れを告げて

私とティシアは茜に染まる家路を歩いた。



「ねーねー、おねちゃ!」


ティシアがヒノキノボウを手にしたまま、腕を大きく振るものだから…



「…なぁに?」

「見て見てー!カゲのまほーだ!」


大きく伸びては小さく縮むヒノキノボウ…



「…んふふっ。そうね…ティシアもお姉様みたいに…」

「…よー、嬢ちゃん!ちょっといいか…?」


声をかけられたのは、そんな話をしている時だった



「…う?」

「だれぇ?」


路地から飛び出し、私達の前に立ちはだかったのは見知らぬオジサン…



「おーっ…オッちゃんはジャk…」

「ジャコ?」

「雑魚ぉ?」

「ザコじゃねーよ!!…ジャ、ジャンってんだ!冒険者だぜぇ!」」


…あやしい。

このオジサン。あやしい…



「ふ〜ん…ルボワは若い新人冒険者さんが多い街なのに、どうしてオジサンのような…ベテランさんが?」


ルボワは魔女様とお姉様が魔物を倒してから、ちょっとずつ違う街に変わっていった。


魔女様が来た街…魔女様おねえさまを産んだ街として有名になってしまったからだ。


人が増えて、以前より賑やかになったけど。犯罪も増えた。

身近なところではイレーヌちゃんが乱暴されそうになったり(門番のエドモンさんが駆けつけて、何ともなかったけど…)、これまでロティア達が住んでいた小屋に勝手に冒険者さんが住みついてしまったり(衛兵たいちょーのニコラさんがスグに駆けつけてくれたけど…)

…そんな事件もあった。


この街に来る冒険者さんは、

さっきのお兄さん、お姉さんみたいな、いい人の方が多いけど…それだけじゃない。

ロティアは大きくなって、優しくない物語もあるって学んだ。


なにより、お母様とお父様。お姉様から言われているのだ。


「・・・ロティア。気を付けるのよ?知らない人について行っちゃメよ。簡単に信じてもメ。・・・ティシアを守ってあげてね。」


って!!



「ぐっ…しゃ、しゃーねーだろ!?ランク低いんだから…」


さっきの勢いで前に出ちゃいそうなティシアを背中に隠しながら、疑いの眼差しを向けるとオジサンはバツの悪そうな顔でそう言った。



「ふ〜ん…」

「おっしゃんドンマイ!」


すると…



「そ、そんな事より!嬢ちゃんドモはこの街の子だろぉ?この辺りに魔女様の家があるって聞いたんだが…知らねーか?」

「「…」」


あやしいオジサンの言葉にティシアと顔を見合わせて…



「「しらない!」」


唱える!



「なぬっ!?」

「もう行こ!ティシア!」

「あいっ!おっしゃんバイバイ!」


そしてオジサンを無視して帰ろうと…



「ちょまっ!?」


…すると!?



「待てよこんガキャァ!」

「ひゃっ!?」「きゃぅ!?」


回り込まれて通せんぼされちゃった!?

その上…



「ちょーしこいてんじゃネーぞオラァ!」

「うっ!?」「お、おねちゃ!!」


急にまくし立て始めた!

こ、怖いよっ…



「テメーらここのガキだろ!知らねーわけあるか!?」

「っ!?」「ぅん-…っ」


目をつむって、震えるティシアをギュッと抱いて…



「サッサと言えよコンナロー!」

「っ」「ひぐゅ…」


お姉様っ!!

た、助け…たすけっ


たすけ…







…違う。

そうだ!

お姉様は言ってた!!



「すー」


ティシアを守れって言ってた!!



『雫よ 天の恵みを』

「んなぁっ!?」

「おねちゃ!?」

「ウォーターボールッ!!!」


ティシアが拾ったヒノキノボウを手に、咄嗟に唱えた水玉は…

ち、小っちゃかったけど!



「いけぇっ!!」「ぐべっ!?!?」


オッさんの顔に直撃!!



「せりゃっ!」「あでっ!?」


ついでに、

ぶっ飛んだオッさんにヒノキノボウを投げつけて



「ティシア!逃げるよっ!!」

「あいっ!!」


涙で濡れた瞳をパチパチさせていたティシアの手を引いて走った!!



「お、おねちゃ…すご…」

「いいから走るよ!」

「あーいっ!」



………

……
















……

………


「いででで…ッッソ!クソガキャぁ!!」



ガキ共が走っていった先を睨み悪態をつくが…



「っそ…」


途中の角で曲がりでもしたのか…その姿は無かった。



「だ、大丈夫ですかファリ…」

「その名で呼ぶなバカ!今はジャンだろーが!」

「ジャ、ジャン…さま…」


「…ふんっ」


近寄った部下が差し出した手を振り払い…



「それより!ちゃんとガキ共の後を追ってるんだろうなぁ?」


びしょ濡れのまま立ち上がり、そう言う。


さっきのガキ…

知らないなんて言ってやがったが、小せえガキの髪の色。クソ忌々しい魔女と一緒じゃねーか!

あの髪色…ここらじゃ珍しいハズ。

ヤツの身内に違いねぇ!



「は、はい!それは勿論…」

「なら良いが…見失う様なヘマすんなよ!」

「こ、子供相手にそんな。しませんよ!」


部下を無視して宿に向かって歩き出す…



「ま、待って下さい〜!」

「ケッ…」



ったく。

まーた水魔法かよ…



「うぃーっ、ぐしゅっ!!」


…乾かさねーとな



「だ、大丈夫ですか!?」

「ダイジョブじゃねーよ!サッサと帰っぞ!」

「い、イエッサ!」


…コレだから魔女とガキは嫌いだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ