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Chapter 069_エア・ドミナンス②

『マスターマスター!こちらラプター。どうぞぉ!』


「ラプター!すぐに来て!!」

『…う?』



ラプターが飛び立つと・・・脅威が去ったとでも思ったのか

ヒュポグリフ達が殺到した!



「せいっ」

「シャァァッ!!」


指輪の効果でオクタコアの私だけど・・・

魔纏術(まてんじゅつ)で1ライン

纏風魔法(ウェアー)で1ライン

追風魔法(アシスト)で1ライン

汞竜(マーキュリー・)魔法(クリーパー)で1ライン

銀翼魔法(シルバー・ウィング)に2ライン(銀翼魔法と無線は別ライン扱い)、


迎撃の為に唱えた鞭魔法(ウィップ)も含めると・・・

既に7ラインを行使している。


一応、もう1ライン残っているけど・・・



「えぃ!」

『ゲギャギャッ』

「きゃっ!?」

『シャァァッッ!!』

「あ、ありが・・・」

『グギャッ!!』

「!?や、やぁっ!!」


高速で飛び回るヒュポグリフを相手に余裕が無い!



『イ、イエスマスター!!秒で行くよぉっ!!』

「お願いっ!」


ヒュポグリフの後ろにはグリフォンまで控えているんだから。

スグに飛んできてもらわないとツライよっ!



『マ、マスター!間もなく射程圏内ぃ!は、発砲きょ…』

「許可します!」


ラプターの射程は兵器によるけど・・・

何も言わないという事は固定兵装を使うつもりだろう。


初の実戦投入だから不安が無いわけじゃない。

けど、あとは信じるしかない!



「オープンふぁいあー!!」


ラプたんを・・・そして。



『ふぁいあー!!!』


それを唱えたこの喉を!!






『…バヒュ』


ラプたんの合図から遅れることコンマ数秒。

視界の端を通り抜けたのは空気を切り裂く閃光!!


そして



『ダガアァァーーンッ!!』


飛び散る血飛沫と羽根。

舞い上がる土。

轟音。



「ゃっ!?」

『ュ!?』

『『『『『゛!?』』』』』


驚嘆も、悲鳴すら上げる暇もなく・・・



『ダダダダガアァァァーーンンンンッッ!!』






『…ふぅ。…マスタァー!とりあえずヒュポグリフ沈黙(ちんも~く)ぅ。グリフォンはどーしま?』


それは僅か

1秒に満たない出来事だった。


火を噴いた20mmガトリング砲はラプたんの正確無比な射撃によって地面を抉りながらも、私には傷一つ負わせることなく5羽の小鳥を跡形もなく粉砕した。



『ブシュルルルゥ…』


降り注ぐ血しぶきと土砂は

ヒュドラが私を取り巻き。すべて受け止めてくれた。






「・・・あ、ありがと。ラプター・・・」

『う?…えへへっ!上手くいったかな!?」

「・・・凄かった。さすがね」

『えへへへぇ〜!照ぇ~れちゃ~うよぉ〜!!』


クルビットで喜びを表現するラプターと



「・・・ヒュドラも。守ってくれてありがと。」

『ブシュルルルゥ』

「・・・んふふっ。頼りにしてる。」

『ブシャァーッ!!』


首を分裂させて、やる気満々のヒュドラ。

そして・・・



『グルゥ…』


そんなラプターと

数多の蛇に取り巻かれた私を交互に視界に入れて

空中でたじろぐ器用なグリフォン。



『グクククゥ…』

「・・・」


怯えて震えながらも威厳を保とうと

翼を広げ

精いっぱいに威嚇し


まっすぐに瞳を向けるその姿・・・



「・・・ラプター。」



その姿は・・・



「・・・旋回して照準(サイト)にグリフォンを。」


・・・端的に言って。

美しい



『イエス!マスタァー!!』


“生きる”とは“こういう事”だと・・・そう、痛感させられる。

死を映した命の輝きが、純緑の大きな瞳に宿っている。



「・・・ミサイルの換装、許可します!」


これはゲームじゃない。

レベリングや、お金稼ぎでもない。


“生きよう”と必死に足掻く相手に手を抜くような失礼なこと・・・できない!



『ラジャー!!ハイパーソニック空対地ミサイル、ステンバ~…イッ!!』


情けなんて必要ない。



「・・・オープンふぁいあー!!」


生きるか死ぬか。

食うか食われるか。


・・・これはそういう戦いだ。



『ふぁいあー!!』


命を懸けた生存競争・・・宇宙の(ことわり)だっ!!



『ダガアァァーーンッ!!』



・・・

・・
















……

………


「「「「…」」」」


轟音の合間を見計らって避難所から出た私達は


まず、周囲の死屍累々(ししるいるい)とした光景に言葉を失い。

次に変わり果てた丘の姿に戦慄し。

最後に…



「・・・ふぁいあーー!」

『………ューーーッ…ッダァァーーーンッッ!!』


彼女の言葉と指パッチンを合図に降り注いだ天の火が轟音を上げて大地を砕き



『グワワワァッ!!!』


右へ左へ、上へ下へ…

寸での所で巧みに避ける巨大な翼。


覇者たちのその姿に…



「す…」

「…すごい」

「あれが…災害級魔物…」

「これが…魔女の…戦…い…」


圧倒され………



「『・・・貫け』オベリスクッ!!」


天と地から猛攻を繰り返す全属性使いの最年少魔女

万象の魔女 【フォニア・シェバリエ・ピアニシモ】



『グクワァッ!』


それを機動で。そして風で。

巧みに避け、時には反撃にすら転じる空の王者

災害級魔物 【グリフォン】



「「「「「…」」」」」


私達が手出しする隙なんて、ある筈がなかった。

目の前で繰り広げられる頂上決戦をただ、息をのんで見守ることしかできなかっ…た…



「・・・ラプ・・・、・・・よ!・・・ふぁいあー!!!」


魔法…召喚獣?

魔法印は見えないけど…上空に。あの時の龍でも召喚しているのか…な?


『キーッ』という高い音と、高空で輪を描きながら不思議に伸びる白い雲に唱える彼女。

すると…



『………ーッ…ッダァァーーーンッッ!!』


目にもとまらぬ速さで…音を後から引き連れて…天の火が降り注ぐ!!


けど!

それだけじゃなくて!?



「『ひ・・・ ・・・振り・・・ ・・・成せ』ファイ・・・ロー!!・・・全射射貫けっ!!」

『シュダダダダッッ!!』


蛇のお化けを身に纏った彼女は、数百…か、数えきれないほどの…


空色の炎を


一斉にグリフォンに射貫い…た!?



『グワワワワァッッ!!』


けど、グリフォンも負けてなかった。


目にも留まらぬ…光そのもののような…およそ避けられそうもない天の火を数枚の羽根を散らしただけで…か、(かわ)した!?



『グワシァッ!!』


そして両の翼で空気を強く叩く!

すると…



「うぅっ!?」


迫りくる空色の炎を打ち払い、さらに!



「きゃっ!?」


強風で彼女を吹き飛ばし…



『ガボォンッ!!』


…たかに見えたけど!?



「・・・あ、ありが『ブシュゥ!』ぅ、ん!」


なにアレ!?

フォニアちゃんを取り巻いていた銀色の…い、言っちゃなんだけど。呪いの悪魔みたいな…蛇のお化けが!?


フォニアちゃんを包み込んで…守った!?



「い、今の!?魔法…よね!?」

「…召喚獣?」

「や、やっぱり…龍だけじゃなかったのか…」

「な、何属性か…な?」


なんて。

みんなと話している間にも



「・・・くっ・・・やっぱり質量がないとメか。」


戦いは続く!



「・・・ならっ!」


彼女は空中に留まるグリフォンからは目を離さずにポッケから“何か”を取り出して…



「・・・すー『破壊の申し子よ』」



唱えた!



「『我が唄に応え産声を上げろ 鋳抜け』ソードキャスト!」


彼女の手には魔法印が浮かび。生み出された数本のナイフを…



「それっ!!」


グリフォンに投げつけると…同時に!?



『ーッ…ダァァーンッ!!』


三度の天の火!!



『グワブゥッ…!』


逃げ場を失ったグリフォンは唯一残された地面にたまらず降りる!

けど、そこには



「・・・んふふっ。」


「・・・唱えた通り。」とでも言いたげな黒い笑みが。

そして…



『グワワワワァッ!!』


人ひとりを一飲みにできそうな大きな嘴で鳴きながら

羽根が散り、ところどころ怪我を負いながらも!


グリフォンは彼女に迫った!!



「・・・“蝕め”ヒュドラっ!」


そして魔女様が…



『パチィンッ!!』


唱えると。



『ブシャァァッ!!』


無数の蛇が殺到!



『グワァッ!?!?』


それが…



『ゴボォンッ!』


最後…



『グゴボッ!?!?…ガボッ…ッ…』


だっ…た…



『ガボッ…ボボッ……ッ……………』

林檎です!



ヒュポグリフとグリフォンを巡る戦い・・・

いかがでしたか?



デトネーションで始まり

シルバーウィングを経て

止めはヒュドラ!



魔女様による容赦のない怒涛のラッシュ!


3rd Theoryを締めくくるにふさわしい、スピード感のある戦いを綴れたかなぁ~・・・と。

自画自賛しております!


・・・なんちて XD



お楽しみいただけましたら幸いです!

ご評価、ご感想、ブクマ、いいね! いただければ幸甚です!!


・・・よろしくね ;)

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― 新着の感想 ―
[良い点] 久しぶりの戦闘回お疲れ様でした。面白かったです。 [一言] >オクタコア 普通に並列演算できて草。そのうちプリエンプションが出来そう、、、計算量が軽いの数個魔法を1レーンにまとめたら、、、…
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