Chapter 067_籠の鳥
林檎です!
久しぶりに曲付きの戦いとなります!!
着想は:
メンデルスゾーン作曲
「ピアノ協奏曲第1番」
両手がご臨終しちゃう 激ヤバ☆ハイスピードクラシックですっ!!
行ってみよー↓
「・・・すー『衝撃よ』!」
火属性第7階位 爆轟魔法
『点より出りて天を成す 凍りし永久に時を与え 風を呑み込み森を焼く それは産声 そして光 天地震わす破滅の轟炎』
この魔法が生み出す物はひとつ
それは・・・
「デトネーショーンッッ!!」
破壊だ!
『パチィンッ!!』
薙ぎ払えっ!!!
「・・・やっ!」
目の前に深い堀を掘ってある。
完唱と同時に現れた魔法印が、指パッチンの合図で一気に圧縮!光を放つ・・・のを!!
見る間もなくっ!
飛び込む!!
「ヒュドラっ!」
『ブシュルルルッ!!』
底で待ち構えているヒュドラに受け止めてもらう!!
次の瞬間!!
『ドグォォォーーーンッッ!!!』
爆心地・・・ヒュポグリフ達のど真ん中・・・で
空色の魔法印が炸裂!!
マッハ20の衝撃が轟く!!
煉獄魔法(エクスプロージョンにしろ、インプロージョンにしろ)は半透明ドームに爆発の全エネルギーを閉じ込める魔法だ。
一方、この爆轟魔法は、その爆発を“ドームなし”で炸裂させる!!
数百年前の魔術師が、どこかの遺跡で見つけた魔導書に綴られていたという“元”失伝のこの魔法。
熱エネルギーよりも爆発の衝撃に重きを置いた強烈な技で・・・当時。その技を披露した魔術師もろとも、都をまるまる吹き飛ばし、国を1つ滅ぼした。
魔法研究機関であるオクタシアが魔導書を禁忌指定してグランリブラリアの第6層=禁書庫に封じたのも頷ける。
というのも、実はこの魔法・・・親切設計されている事が多いリブラリアの魔法(例えば煉獄魔法はドーム内に魔法の効果を閉じ込めるから術者が中に飛び込みでもしない限り影響はない。 あとは・・・ルボワの森の広場で蜘蛛の群れと戦った時に師匠とアンサンブルした【旋風魔法】もそうだよね。旋風魔法は術者を中心としたドーナッツ状の風洞を作り上げるから、当然、術者に魔法の影響はない。 他の魔法も大抵、術者は安全圏から行使できる。)の中では例外的に、術者にまで影響が及ぶ“ほぼ”自爆技なのだ。
発現中心・・・爆心地・・・の指定は、私の場合は半径120mの範囲でできる。
でも、爆発の影響は数kmを超える!!
「っ」
大丈夫・・・だ、大丈夫!
堀の周囲は土魔法で10mのコンクリートの壁で囲っているし、私がギリギリ入れるくらいの狭い入り口しかないから衝撃波の影響は殆どないはず。
それになによりっ!
『ルッ!!』
私を飲み込み、文字通り身を挺して守ってくれるヒュドラがいる!
ギュッと目を瞑ったまま・・・ヒュドラを通して全身で感じる衝撃と、僅かに温かくなったその身体に一抹の不安を感じつつも、「・・・大丈夫!唱えた通りになる!!」と。心の中で自分に言い聞かせる!!
・・・
・・
・
『ぷくぷくぷく・・・』
目を瞑り、水銀の海で息を止めて耐えていた時間は・・・たぶん。1分にも満たない。
『シュルルルッ…』
「・・・ぷくぅ?」
私を含んだままヒュドラは、『にゅーん…』と首を伸ばして・・・
『ルルル…』
地面に顔を出すと・・・
「・・・ぷはっ!」
口を開けて、私を再び空の下に誘った。
「ヒュドラ!どうなっ・・・」
どうなった!?
そう聞こうと思った私の瞳に映ったのは
「・・・た・・・・・・」
燃焼物が完全に吹き飛ばされて・・・文字通り。
塵一つ残っていない漆黒の大地があった
耳に聞こえるのは
『ルルッ!』
何故かドヤるヒュドラの声と・・・海風。
「・・・なんとかなった・・・かな?」
『ルルッ…』
「・・・そう?」
『ルッ!』
「・・・んふふっ。照れちゃうよ。」
『ルルルぅ!』
リブラリアの魔法はイマジネーション次第でアレンジできるけど、理・・・この場合は、現実の物理現象・・・に則った方が魔力消費を抑えられるし、スムーズに発現させる事が出来る。失敗のリスクも抑えられる。
今回私が発現した爆発は異世界の某国が開発した【MOAB=大規模爆風爆弾】を参考にしている。
MOABは私が知る限り、最強の通常兵器(核兵器や生物兵器じゃない。って意味)。
爆風による衝撃で、地上にあるすべての物を“ぶっ壊す”ことを目的とした爆弾だ。
・
・・
・・・
より詳しく知りたい、そこの君!
【MOAB】と、その前身である【デイジーカッター】を検索してみよう!!
爆発は芸術だーっ!!
・・・
・・
・
私・・・そして仲間がいるこの場で原子爆弾は使えない。
けれど、一頭たりとも取り逃がす事が許されないこの状況で素早い魔物を倒すには、速攻で広範囲に高い致死性を有する強烈な一撃を唱える必要がある。
“だからこそ”の、爆轟魔法だ!
「・・・全滅・・・したかな?」
『シュルルル…』
ヒュポグリフ達が羽根を休めていたのは、周囲を丘に囲まれ一辺だけ海に向かって開けた・・・U字状の、ちょっとした窪地みたいな場所。
日当たり良好で、海風の当たる・・・たぶん、ヒュポグリフ的に居心地がいい場所だったのだろう。
「・・・そう・・・分かんないのね?」
『ル~…』
その中心で炸裂した爆轟はすり鉢状の丘を駆けあがり、断片をすべて丘の向こうに吹き飛ばしてしまったようだ。
海に向かって開けた辺には・・・遠くに行くほど疎らに・・・欠片が。
散らばっていた・・・
そして。
今この瞬間も・・・
「・・・」
『…』
夏の青空からは巻き上げられた鳥たちの 羽根・・・
『ッ!』
「・・・ん!」
・・・そして、強烈な殺気っ!!
『グルルワァァッッ!!!』
咆哮が聞こえたのは・・・太陽のたもと!!
ひときわ大きな・・・朝日を浴びて輝く翼を羽ばたかせ、荒々しくも凛々しく舞う
空の王者 グリフォン!!
『ググッ…ギュー…』
『グルルルゥッ!!』
『ギュググググ…』
『ギャッ、ギャッ!!』
『グギャギャッ!!』
取り巻きは5頭の小鳥!!
1頭は翼が半ばでへし折れ、ぎこちなく羽ばたいている。たぶん・・・固有魔術でギリギリ飛んでいるのだろう。
けど、他は比較的元気そうだ。
グリフォンも無事みたいだし・・・ひょっとして、丘から少し離れていた!?
『シャァァー!!』
「・・・ん!やるよ!」
『ブシュルルルッ!!』
理由はどうあれ
爆轟魔法では倒しきれない可能性があるって、分かっていた。
やるしかない!!
「ヒュドラは指輪に戻って!」
『シャッ!!』
接近戦になればヒュドラが頼りだ。
魔法にかかりきりで無防備になる私の傍で、いざというときの盾と矛になってもらう!!
「・・・すー」
そして私は・・・
普通はこういう場面では、まずは睨み合いをして手下から相手を・・・って言うのがセオリーかもしれないけど
「『空を切り裂く銀よ』」
そんな余裕ないから!
速攻だから!!
こちとら残機0だから!!!
「『父より身を投げ遥かまで 母を飛び越え彼方まで 翼拡げて遠く遠く 今一度の逢瀬を信じ 翔けろ』シルバーウィング!!」
翔けろ!銀の翼!!
空中戦の始まりだっ!!
林檎です!
久しぶりに スピンオフ作品「お掃除妖精クロニクル!!」
https://ncode.syosetu.com/n0126ho/
うpしました!
合わせて、活動報告もうpしました!
もしよろしければ、ご覧ください!!
・・・よろしくね!




