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Chapter 061_海

林檎です。


本話。いつもより“ちょーっと”だけ、短めです。

ご了承ください。

「…ファイアーアロー!!射貫け!!」

「チコ君ナイスだ…よ!」

「コレット!分断お願い!!…アラン!フロウは私達でやるから!ドレインよろしく!!」

「「願われた!!」」


実地訓練の折返し地点であるマスティアラーネ半島の岬を目前にした、3日目のお昼前・・・



「ハウルゥ!!…分断できた…よ!!」

「チコ!援護射撃お願い!!」

「…願われ。す〜…」


「コレットちゃんはこっちを手伝って!!」

「勿論っ!」


皆の動きは日に日に良くなり

今では危うさも殆ど無くなっていた!



「…第2矢、射貫け!!」

『グゲッ!?ゲゲゲェ!?!?』

「…ナターシャちゃん!ボクが牽制(けんせい)するから特大のをお願い!!」

「願われたわ!!…すー…」


「グラベルアロー!!『ゲギョ!?』…今だよアランくん!!」

「うおぉぉぉーーーッ」


全員が全員自分の役割を分かっているし・・・

何より声が出ている。

集団で協力しながら戦う時は個人の実力以上に、この2つがポイント



「『焦熱の獄火』バァーン!!チコ離れてぇぇ!!」

「…よし来た」

『ドグォォオーーンッッ………』


「コレットちゃん!1尾逃げていくよ!」

「…させない!すー『滝よ そなたは小路 命紡ぐと 地を掛ける』ウォーターカーテン!」

『グギョ!?』

「アラン君っ!おねがぁー…い!!」

「願われたあぁーっ…せいっ!!」

『ギャゥ!?…グ…ググッ………』


たったの3日でここまでできるなんて・・・みんな本当にセンスがあると思う!


これなら残りの復路も大丈夫に違いない!

・・・たぶん。






「アラン。ナイスッ!!」

「ははっ…ナターシャちゃんも!!」

「…コレットちゃんも…水帳魔法(ウォーターカーテン)は流石だね。」

「えへ…へ…。チコ君も、火矢魔法(ファイアーアロー)はさすがだった…よ!」


「・・・みんな!お疲れ様っ!」


労をねぎらうみんなに近づくと・・・



「ふふーんっ!!どーよフォニア!?」

「け、けっこう上手くやれたんじゃないか…な?」

「連携もバッチリだったね!」

「…今のは良かった。」


みんなも手ごたえを感じているようだ!

もちろん、私の感想も・・・



「・・・とっても良かったよ!」

「「「「イエーイッ!!」」」」


ハイタッチして喜び褒めあう皆をほっこり見守っていると・・・



『『パチパチパチ…』』

「えっ!?」

「…うん?」

「な、な…に!?」

「えっ!?あ…」


皆は気付いていなかったみたいだけど・・・

折り返し地点である岬から拍手とともにやってきたのは



「おぉーっ…やるじゃね~かオメェ~ら!」

「ははは!…本当にお疲れ様ですよぉ!みんな!!」


「「「「先生!?」」」」

「・・・こんにちは。セドリック・ビコント・バイヤール先生。ロドリゴ・ビスコンデ・パルマ先生。・・・ご機嫌麗しゅうございますか?」


ちょい悪オヤジ然とした魔法科のセドリック先生と

優しい笑顔の、ちょび髭ちょいポチャオヤジ。商業科のロドリゴ先生がやってきた!



「…そこの緑の…えぇと…」

「…チ、チコです…」

「おぉ!そう、お前!!…お前の火矢。なかなか良かったぞ!射撃精度は申し分ないから…あとは威力と矢自体の速度を上げると良い。お前の戦闘スタイルに合っているからな!」

「…あ、ありがとうございます!」


「ナターリア君の業火魔法(バーン)と、アラン君の突きは威力も高くて、とっても良かったよぉ!強いて言うなら。そうだなぁ…ナターリア君はもう少し炎をコンパクトにして。アラン君は下半身を鍛えて反動に耐えられるようにすると良いかなぁ?…いや。もちろん!今のままでも十分強いんだけどね!」

「はい!!精進します!!」

「ありがとうございます!練習メニューを考えてみます!」

「あぁ!そうするといいね!」


そして・・・



「傘の…コレットだったか?」

「…ふえ?えぇっ!?…ク、クロード先生!?」


遅れてやってきたのは騎士科のクロード・シェバリエ・ヴィクス先生。

明るい艶やかな青髪ロングを垂らしたイケメンで知的なメガネが素敵!!・・・と、女子の間で大人気。

実際、この人がロングソードを構えている姿は絵になる!



「今の水帳魔法(ウォーターカーテン)は良かった。発現の早さも規模も申し分ない。あとは…そうだな。折角2属性ともうまく使えるのだから今後は土属性を重点的に鍛えるといい。もう少しイマジネーションに具体性を持たせれば強度も増すだろう」


・・・さすが先生達。専門外の魔法なのに、とても的確なご指摘です。

よく見てらっしゃる・・・



「は、はい!頑張ります!!」

「お前は…騎士科に進むつもりだったか?」

「はい!…い、いちお…う…」

「…そうか。楽しみにしているぞ。」


それを聞いたコレットちゃんは満面の笑みで・・・



「はいっ!!よろしくお願いしますっ!」


と、答えたのだった



「…ふふっ。良かったわね!コレット!!」

「…えへへ///…う、うん!」


そして、嬉しそうなコレットちゃんの横顔を見た・・・



「…」


・・・アラン君は微妙な表情。


あぁっ。青い春だなぁ・・・


・・・

・・






「うーみー!!!」

「広い…ね!!」

「大きいなぁ!!」


マスティアラーネ半島は大陸から海に突き出した形をしているけど、実地訓練は半島の付け根から内海(うちうみ)を回るルートだったため・・・

折返し地点である岬まで辿り着かないと外海(そとうみ)を臨むことは出来ない。



「・・・広い。」

「…海だからね。」

「・・・チコ君は毎日こんな景色を見ていたの?」

「…そう…だね。少し距離はあったけど、実家は丘の上にあって。2階に上がればいつでも海が見えていたから。…フォニアちゃんは…初めて?」

「・・・ん。・・・たぶん、皆も。」

「…そっ…か。そうだよね…」


リブラリアの生活圏は陸上にあり。海はごく一部・・・それも、近海しか・・・利用されていない。

理由は幾つか有るんだけど、主に・・・


①海には人じゃ太刀打ち出来ない凶悪で巨大な・・・災禍級の・・・魔物がウヨウヨ生息している。

②陸地に対して海岸線が短い(勿論、すべての国で・・・という訳じゃないけど)

③海洋技術がまったく進んでいない


そして、いちばん大きな理由が・・・



「この向こうに【喜びの島】が有るのね…」

「ほ、本当に有るのか…な…?」

「綴られているんだろう?なら…」

「…きっとある。」


海の彼方にはエルフ達の聖地【喜びの島】があるという。

これは、エルフの歴史書【森の息吹】という本に綴られている・・・誰一人・・・【北の森】に暮らすエルフたち自身でさえ・・・確かめた事の無い“事実”だという。


客観的証拠が歴史書(しかもこの歴史書は天地創造とか神話とかが綴られた、御伽噺みたいな内容)1冊しかないのに、それを信じろなんて無茶な話。


でも、何千年ものあいだ海が神聖で・・・不可侵な領域であるとされてきたのは、この伝承の為。


エパーニャ・リアナ王国の、さらに西に【ヌワーラーアェ】という諸島があるんだけど。そこに暮らす人々が漁業や海運を生業にしているせいで(さげす)まされ、野蛮だと言われているのも。

リブラリア人が(やろうと思えばできるはずなのに・・・)いつまで経っても外洋に出ようとしないのも。



「・・・鷹の目魔法で見てみようかな?」

「止めなさい!」

「ダメだ…よ!」

「や、止めなよ!」

「…刺されるよ?」

「・・・むぅ・・・」


・・・これが原因。

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