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Chapter 060.5_理の紐解き② 観測手(スポッター)の役割<閑話>

林檎です!


久しぶりに、フォニア先生の登場です!!



いってみよー↓

「なぜ…なぜあんな!ライフルなどという悪魔の兵器を彼女に授けてしまったのですか!?」


ライフルを手にしてたスナイパー部隊の進歩は目覚ましいものだった。



「そうだそうだ!アレのせいでブリジットが…あぁ!ボクのブリジットがっ!?」

「か、彼女を導く事が生きがいだったのに…」


僅か1ヶ月の間に8割以上のスナイパーが100mの狙撃(スナイピング)に成功。

座学も発展的な内容に移行できたし。ベアトリス先輩はじめ、数人は300mに挑戦している。

狙撃が出来るようになったスナイパーの皆さんは練習に余念がなく、メキメキと上達している。部隊の雰囲気も活気に満ちている。

陛下やレオノールさん。部隊長のアドルフさんも大喜び!


私もやっと「ほっ・・・」と息をつく事が出来たのだった・・・



「もうアナタは要らないと。そ、そう…。」

「悲劇だ…」


けれど・・・一難去ってまた一難。

トラブルが去ったと思ったら新たな問題が・・・というのが世の常。

異世界も楽じゃない。



「顧問殿。魔弾の…射手はいいとして。…導手の連中が騒いでいるのは知っているだろう?連中はアレで優秀だ。失うわけにはいかない。それに、2年も一緒にいさせた手前、今更引き離すこともできん。」


しかも今回は人間関係も絡んだ複雑なモンダイ。

男女間で適正属性が偏るため


スナイパーの女性

スポッターの男性


という(ペア)が多い・・・という事も影響している。



「何とかしてやれないだろうか…?」


大の大人である隊長自ら、未成年の私に頼むことじゃないだろう!?と。

思わなくもないけど・・・



「・・・分かり・・・ました・・・」


無視はできない・・・か・・・


・・・

・・
















……

………



「・・・では始めます。今日のテーマは“すぽったー”の役割。よろしくお願いします。」


いつものように淡々とした口調で魔女様が講義を始めると、いつもとは違い数人の隊員が驚いた表情でノートから顔を上げた。


かく言うボクも…



「…」


導手(スポッター)について…か。それじゃあ。あまり聞く必要は無いかな…


魔弾部隊の主役は何と言っても【射手】だ。ボク自身が“そう”であるように。そして、魔女様自身が“そう”であるように…



「・・・ライフルの導入によって“すないぱー”の方々がその実力を発揮できるようになりました。超長距離からの致命の一射・・・それは間違いなく強力です。弾丸を生み出すのも、敵に狙いを定めるのも、“とりがー”を引くのも“すないぱー”の皆さんです。けれど、だからと言って・・・“すぽったー”など不要。などと考えてはいけません。射撃が“すないぱー”のモノとなった今でも“すぽったー”は“すないぱー”に必須のパートナーです。それは他でもない、私自身が一番に考えていること。・・・今日はそれについてお話します。」


魔女様がこんな話を始めたのは…てっきり。

導手のメンバーや…他でもない。自身が導手でもある…アドルフ隊長に言われたからだと思っていたのだけど…


魔女様自身が必要だと考えている…?



「・・・まずは・・・そうですね。私自身の経験についてお話ししましょう。私はこれまで86回ほど100m以上の“すないぴんぐ”の経験がありますが、周囲に仲間がいない・・・つまり単独の状態で行使したのは1回だけです。」

「「「「「!?」」」」」


その言葉に部隊のほぼ全員が驚きの顔をあげた。

創始者であり唯一“ホンモノの魔弾”を行使できる魔女様が…た、たったの1回!?



「・・・その1回というのも、救うべき人の前に“秒”を争う危機が迫っていた為、やむを得ず行った事です。開けた雪山の小高い丘の上という・・・見晴らしがよく、周囲の状況を把握しやすい場所で。風魔法をいっぱいに拡げて何かあればすぐに分かるようにして・・・万全を期して唱えました。」


か、風魔法で周囲を警戒しながら 魔弾を…

魔弾には高い集中力が求められるというのに。平気でアンサンブルする魔女様にも驚かされるけど…



「・・・なぜそこまで警戒するのかというと・・・答えは単純。“すないぴんぐ”の最中は極めて無防備だからです。スコープの先に全神経を傾けるのですから、当然、周囲への警戒が(おろそ)かになってしまいます。敵が後ろから迫ってきていたとして・・・それに気づく事ができますか?」

「「「「「…」」」」」

「・・・今は練習だからいいですが・・・いずれ“すないぱー”の皆さんは敵地のまっただ中に向かう事になります。どの方向から敵がやって来るか、分かりません。その時、その身をどうやって守るおつもりですか?」


こ、この身を守る…



「・・・例えば・・・私が敵なら。相手に“すないぱー”のような兵種が在ると分かっていれば、いち小隊をもって数で押します。“すないぴんぐ”は連射が出来ませんし、1射で倒せる敵は基本的に1人・・・貫通や跳弾の効果を狙っても3人は超えないでしょう。どんなに優れた“すないぱー”だとしても、十数名の兵があれば楽々と無力化できます。・・・違いますか?」


反論は…出来ない…



「・・・今お話した通り。1回の“すないぴんぐ”で倒せる敵の数は基本的に1人です。と、いう事は必然的に。皆さんの標的は指揮官や伝令兵、騎兵や魔術師・・・場合によっては治癒術師・・・戦術的価値の高い相手となるでしょう。皆さんの1射が部隊全員・・・ひいては、すべての国民・・・その命運を変えることにもなります。・・・射撃距離や威力も勿論大事ですが、確実にその1射を唱える努力のひとつとして。その身の安全についても・・・真剣に考える必要がある。とは、思いませんか?」

「「「「「…」」」」」


ボク等射手はここ最近。魔女様の言う通り距離や威力の事ばかり考えていた…



「・・・“すぽったー”の皆さんも。です。パートナーの後を追うのが“すぽったー”の役割ではありませんよ?むしろ、“すないぱー”の道を切り拓く・・・皆さんが言う所の“導き手”となる事が、その役割のはずです。・・・以前お伝えした鷹の目魔法の応用である“超広角仮想魚眼レンズ”を宿しましたか?“音響距離計”はどうですか?」

「「「「「…」」」」」


“超広角仮想魚眼レンズ”は広範囲を観るために視野を大きく拡げる技で、“音響距離計”は距離を測定する技だそうだ。

どちらも風魔法の応用らしいので、ボクは詳しく無いけど…

かなり高難度。との事。


導手のうち何人が宿したか知れないけど。今の反応からして…



「・・・まだ教えていませんでしたが・・・300m越えの射手が現れたため、そろそろ超長距離射撃時に精度と安全の為に必要となる“仮想マズルブレーキ”についても教えないといけません。」


か、仮想まずるぶれーき…??

何それ…?



「・・・これは私の個人的な見解ですが、敵に全集中すればよい“すないぱー”に比べて、あらゆる事態を想定しなければならない“すぽったー”の方が、高難度かつ責任重大です。弾丸の準備と引き金を引く行為。それ以外全てが“すぽったー”に(ゆだ)ねられている。と言っても、過筆ではありません。」

「「「「「っ…」」」」」


生唾を飲む導手達の顔色は優れない。

これ程のプレッシャーを与えられたのだから当然だ…



「・・・“すないぱー”同士が組んでいた。いくつかの班については解散を認めましたが・・・それ以外を認めないのは。“すないぱー”と“すぽったー”は班行動が基本だからです。パートナーを(おろそ)かにしてはいませんか?・・・お互いに。」

「「「「「…」」」」」「「「「「…」」」」」」


「・・・今は単独行動をしている“すないぱー”、“すぽったー”の方々も同じです。何度かご提案させていただいたと思いますが・・・パートナーを見つようとしましたか?」


ライフルを導入した後…

魔女様はボクにも導手を見つけるようにと忠言してくれた。

「今更…」と思って。そのままにしていたけど…



「…」


今の話を聞いた後では…






「・・・では・・・」


沈黙するボクたちを見た魔女様は…何故か。

教壇の横に置いた自身のポーチを背負い。



「・・・んしょ・・・っと。」


その身を示す黒い帽子を被り…



「・・・今日。このあとは皆様が親睦を深める・・・パートナーを見つける・・・その為の時間とします。誰とでも。何処へなりともご自由に。お邪魔なお子ちゃまは退散します!」

「「「「「なぁっ!?」」」」」


そう言った魔女様はボクたちの叫びなど聞こえないかのように、風よりも速くドアに飛びつき。

そして…



「・・・・ごゆるりと///」


全てわかっている。とでも言いたげに。

頬を染めながら扉を…



『パタンッ…』











「「「「「…」」」」」


残されたボクたちに…ど、どうしろと!?



「…ベ、ベアトリス君。…ちょ、ちょっと…いいかい?」

「ア、アドルフ…た、たい…ちょう!?」


どうしろと!?!?



………

……
















・・

・・・


「・・・お待たせ!」

「…」

「・・・う?・・・怒ってる?」

「怒ってなどおりませんわっ!!…先に約束したのは私なのに…なんて。子供みたいなコト。思ってませんわ!」

「・・・やっぱり怒ってる。ゴメンね。」

「フォニア様が謝る事では…お、お仕事ですもの。仕方ないですわ…」

「・・・明日の朝までは一緒にいられるから・・・それで許して?」

「明日の、朝…あさ………」


「・・・じゃあ、あさご」

「はいっ!ランチまでですわねっ!」

「・・・・・・ん。・・・ランチまで。」

「そうと決まれば早速行きましょう!!少し早いですが…“今日の”ランチにしましょう?」

「・・・ん!おなかへた。」

「赤ワイン煮込みが名物のお店を予約してありますわ!お肉ホロホロッ!とろ〜り濃厚!とっても美味しいんですのよ!!」

「・・・じゅるり」

「ふふふっ!それじゃあ早速…」

「ん!・・・あ、カトリーヌちゃん。」

「…はい?あっ…///」


「・・・んふふっ。繋いでこ?」

「は、はい…はいっ///」

林檎です!


林檎は理系ですが、ミリオタではないので。

この手のお話をするために、めっちゃ軍事関係のお勉強をしちゃいました :p


お世話になった配信者様にはお礼を・・・こ、ここで言っても届かないかもしれませんので。

今度スパチャしときます :)



さてさて。それはともかく・・・

活動報告うPしましたので、よろしければご覧ください!!


満を持して!

4th Theoryの情報を上げましたっ!!


・・・よろしくねっ!!

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