Chapter 046.5_お茶会(ゴウコン)<閑話>
林檎です!
皆様お待ちかねのお義兄様のお話です!
いってみよー↓
「・・・いらっしゃいませ。」
「「「「「お、おじゃましまーす…」」」」」
お義兄様と約束したお茶会。
友人達に声をかけてみたところ皆ノリ気で、アッサリ実現できたのだった。
因みにメンバーは
「さぁ!フォニア!しっかりと奉仕なさい!!」
「・・・ありがたき幸せー」
ナターシャちゃんと、
「ご、ご招待頂いたのにそんな言い方しちゃダメだ…よ!…き、今日はお招き頂きありがとうございます。魔女さ…まっ!」
「・・・んふふっ。楽しんでいってね!」
コレットちゃんと、
「やーやー我こそは〜…」
「ターニャ…それはもう、いいわよ…」
「ありゃ?飽きちゃった?…テンドンは2回までかな?」
「ははは…。ところで、テンドンって何だ?」
ターニャ先輩、エミー先輩。あと、ジル先輩。それと・・・
「はぁっ…魔女様のお家にご招待頂けるなんて…夢のよう!瞳に焦げ付くまで焼き付けなくっちゃ!!…あ。コレお土産のシュトレン。今朝焼いて来たの!」
「・・・お心遣い感謝します。先輩!」
お菓子作りが趣味という・・・言動がアブナイけど女子力は高いレベッカ先輩。
あと、男性陣(ジル先輩は爆破枠)は・・・
「いやぁ…寮にいても暇だからね。誘ってもらえると嬉しいよ!」
「・・・んふふっ。なら良かった!・・・アラン君もお土産のリンゴをありがと!」
お土産と言って箱でリンゴをくれたアラン君!あと、
「ふーん…フォニアちゃん家は、こんなんか…」
「・・・ルクスくんは来るの初めてだものね。」
「…他のみんなは泊まりに来たことがあるんだっけ?」
「・・・ん。・・・ルクス君も来れば」
「それは遠慮しておくよ。」
「・・・・・・そ。」
優しかったり距離を取ったり・・・よく分からないルクス君。
最後に本命の
「…ウェルカムフラワーまで置いているなんて…センスあるね。」
「・・・んふふっ。ありがと!うちの庭師さんが用意してくれたの!」
「…なるほど。…この家、フォニアちゃん以外はみんないいセンスだ。」
「・・・・・・どいひー。」
いちいちdisるチコ君(ちなみにチコ君は今日もセーラー服である。普通にカワイイ。スカートから覗く華奢な白い足が男子のものとは思えない・・・)と
「…」
「・・・お義兄様?」
「…」
「・・・お義兄様もホストなんですから。緊張してないで皆様に挨拶してください!」
「おを!?お、おぉ…」
本日の主役 お義兄様!
・・・みんな知人というこの状況。
合コンじゃないとおも・・・
「…レオン・ピアニシモ?…え?同い年?…ねぇ、ジルベール。こんな奴…同級生で居たっけ?」
「知らん。はじめましてだな。」
・・・あ、あれ?
それなら合コンでいいのかな?
男女で人数違うし、リア充混ざってるし、血縁者混ざってるけど・・・
「んだと!?何年一緒だと思って…!?」
「はじめまして。レベッカよ。」
「ジルベールだ。よろしくな。」
「知ってるよコノヤロー!!」
・・・そんな事どうでもいいか。
それより、お義兄様が不憫でならない。
可愛そう・・・
「・・・み、皆さん!本日は私とお義兄様が精一杯“おもてなし”をさせて頂きます!・・・楽しんでいってね!」
義妹は全力で応援させて頂きます!
上手くいくといいね。お義兄様っ!!
・・・
・・
・
「…美味いな。レベッカお前。意外と女の子らしい所あったんだな。」
「し、失礼ね!今まで何だと思ってたのよ!?」
「いやぁ…ははは。スマンすまん。だが…本当に美味いぞ!」
「ジ、ジル…あんた。横に彼女がいるのに他の女を褒めるんじゃないわよ。」
「は?何でそうなる?美味いものはうまいだろう?」
「…タラシめ。」
「うむむー…今年のサマポ(“サマーホープ”という茶園の略)はいつもより軽やかだねぇ!マスカットみたい!」
「ほんと!爽やかで美味しいわ!!」
「・・・今シーズンは寒暖差が激しくて、いつもより出来が良かったそうです。」
「にゃぁるほどね〜!じゃあじゃあ、お隣の“リーブシン”も同んなじカナカナ?ターニャちゃんのお気に入りなのだ!」
「リ、リーブシン!?ちょ、ちょっとターニャ!あんた、何でそんなことを…」
「・・・どうでしょう?リーブシンはあまり飲まないので・・・ローズさんは知ってる?」
「リーブシンはサマーホープより標高が高い茶園ですので、まだ流通前ではないでしょうか?おそらく、情報もこれからかと…」
「むむぅ…そう言えばそうか。もちとしたら調べてみっか!」
「ターニャ、お茶の知識なんてあったの!?意外すぎるんだけど…」
「ほぇ?」
「ふーん…焼きリンゴのタルトか。初めて食べたけど、なかなか美味しいね。」
「え?」
「初め…て?そうなの?ルクスく…ん…」
「そうだけど…?」
「え、えぇと…ほら。タルトに限らずリンゴのお菓子ってこの国には多いだろう?だから初めてなんて珍しいなって…」
「………と、父様がリンゴ嫌いなんだよ!それで…」
「「ふーん…」」
「…っ………」
思い思いの話題で盛り上がる中、当の二人はというと・・・
「チ、チコちゃん!こ、このビスケット。お…美味しいねぇ!!」
「…これはスコーン。」
「…プ、ププププレーン味だけどお茶に合っていると思わないかい!?」
「…これはメープル味。」
あぁ、お兄様!美食の国出身のグルメマスター︰チコ・デ・ペデロ次期公爵閣下に食べ物の話題を振ってはメだと。絶対に付いていけないと。
あれほど注意したのに!
よ、よし!ここは・・・
「・・・お、お義兄様!チコ君は青き国の出身なのに泳ぐのが苦手だそうですよ!今度、教えて差し上げては?」
だ、男子にいきなりそんなコト提案されたら私なら引くけど・・・ど、同性なら問題ないだろう!うん!
私がコレットちゃんにダンスを教えて貰う感覚だ!たぶん!
ちなみにリブラリアに水着はない。
泳ぐときは服を着るか、下着。
女子を泳ぎに誘うのはセクハラです。
「えぇぇっ!?い、いや。イキナリそんな…」
な、何を恥ずかしがっているのだお義兄様よ!!
ちょっとくらい大胆にならないと男の娘は落ちな・・・
「…無理に泳ぐ必要はない。…海は見るもの。」
チコ君もチコ君だよ!
達観したようなこと言わないでよ!!
「だ、だいたいフォニア!教えるったって…どうやってだよ!?」
「・・・う?どうって・・・普通に。川や湖で?」
因みの因みに、水着はないけど【遊泳場】みたいな場所はある。
エディステラは北方にあるとはいえ、夏になればそれなりに気温も上がるから人気スポットだったりする。
もっとも、泳ぐのは男の人だけだけどね・・・
「はぁ!?む、無理だろ!!」
「・・・う?なんで?」
「いや!だ、だって…は、恥ずかしいだろう?」
?
「・・・男の子同士で遠慮する必要など無いではありませんか?チコ君は確か。去年の夏休みにアラン君と・・・」
去年の夏休みにチコ君はアラン君から泳ぎを教えて貰ったと聞いた気がする。
そう思ってアラン君に聞いてみると・・・
「え?あぁ…ま、まぁ。確かにレダ川の遊泳場には行ったね…。お、泳いだと言っていいのか…」
「…か、川も見るもの。」
「・・・チコ君。センスない」
「…ぐ。」
んふふふっ!普段の仕返しよっ!
そんな会話をしてからお義兄様を振り返ってみると・・・
「…」
「・・・う?お義兄様?」
あ然とチコ君を見つめるお義兄様の姿。
そして・・・
「っ………な、なあ?」
「・・・う?」
席を立って私の横に来たお義兄様は、私にだけ聞こえる声で呟いた。
イヤな予感・・・
「チコちゃんって…“ちゃん”だよな?」
「・・・」
・・・え?
本気で言ってるの!?
全(?)女子の期待を裏切る最高にツマラナイ勘違いを言ってるの!?!?
「お、おい!どうなんだよ?お前、あの子を同級生の女子だって紹介しただろ?」
あぁ、お義兄様よ!!期待外れとは情けない!!
「・・・そもそも紹介していませんが?」
「んなこた、いいんだよ!それよりさっきの…」
「・・・何度も呼んでいる通り、チコ“君”です。」
ここで嘘をついても・・・
「えぇっ!?お、漢ー!?…でも好き!!」
とは、なりそうも無いので・・・
「!?!?………う、うそ…だろ?」
そんなお義兄様の様子に…
「フォ、フォニアァ…まさか…」
青い顔をするナターシャちゃんと…
「…っ」
口に手を当て、言葉も出ないコレットちゃん。
みんなも察しているに違いない・・・
「い、いや!だって…あんなにカワイイ…」
「・・・チコ君は私から見ても可愛いと思います。」
「だよな!」
「はい!」
一抹の希望を胸に、そう言ってみたものの・・・
「だが…を、をとこ…」
期待薄。
しかも・・・
「…ねぇ。何かすっごく不愉快な話をされている気がするから言うけど…ボク。故郷に許嫁いるからね。…第4王女。」
「「「「「!!!!!」」」」」
チコ君から齎されたのはトドメの“あいし〜び〜えむ”だった・・・
「お、王女…男…」
「…みんな失礼。」
「・・・」
か、返せ!!
私達の夢を・・・悦びを返せ!!
期待していたのに・・・
ガッカリだよ!!!




