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Chapter 038_チョコテロアフター

「…ふふふっ。今日は大盛況でしたわね!」


カトリーヌちゃんはベッドの中で“ぎこちなさ"が無くなった

細い足を搦めてそう言った。

くすぐったいよ・・・



「・・・んふふっ。・・・売り上げ好調?」


無理をさせないように気を付けながら応えつつ、

喉でも答えると。彼女は悪戯っぽい笑顔を浮かべながら・・・



「う〜ん…。売り上げ…で言うと。今日は大赤字ですわ。お父様に怒られてしまいます…。どうしましょう?」


一昨年から準備していたバレンタインデーイベント。発刊の時期もベストタイミングで、まさに唱えた通りっ!

カトリーヌちゃんが言うように、今日1日で見ると成功とは言い難いけど・・・時間が経てば浸透して、数年の内に恒例行事となるだろう。

そうすれば、子供の頃から投資を続けていたチョコレート産業も軌道に乗るに違いない!

スグに模倣品も現れるだろうけど・・・カカオの木は栽培にコツがいるし、産業として育てるのには時間がかかる。

さらに、メンドくさがってやりたがらないアノ人に代わって【魔薬(エリクサー)】の商標も取った(因みに、リブラリアの商標権には“期限が無い”。綴られたモノは永久に不滅です!!)から、他企業の侵入はほとんど不可能!!つまり、こういう事・・・


チョコレート(女)王に私はなる!!


・・んふふー。これだから商売は辞められないね!


明日にでも甘いモノ好きのアノ人の為に大図書館宛でチョコレートを送ってあげなきゃ!


「・・・重版おめでとうございます!」


って。メッセージ付きでっ!



「・・・んふふっ。魔女の甘言(かんげん)(たぶら)かされた方が悪い。」

「ふふふっ…そう言われてしまうと言い訳も出来ませんわ!…あぁ、どうか魔女様。憐れな商売女にご慈悲を!甘い言葉を。もっと…」


数年に及ぶ、このプロジェクトをここまで持ってこれたのは間違いなく

彼女のお陰。

治って半年以上経つ・・・とはいえ、まだ長時間立っているのは辛いはずなのに。今日は1日、一緒に頑張ってくれた。

労をねぎらってあげなきゃね・・・



「・・・んふふっ。それじゃあ・・・砂糖の魔法を。ひと唱え・・・」

「あぅっ…と、溶かしてっ…魔女さまっ………///」


・・・

・・






……

………


「…」

「…」

「///」

「…」


バ、バレンタインデーの日の…夜。

いつもの様にジルの部屋(彼のルームメイトはいつ行っても不在。ま、まぁ…都合がいいと言えば、その通りなんだけど…。き、気を使われているようで恥ずかしっ)に上がり込んだ私はバイトの報酬として貰った“あの服”を…き、着て。


彼のベッドで。

彼の隣に座っていた。


な、なのに…



「…っ」

「…」


む、無言ってなによ!?



「なんとか言いなさいよバカッ!!」

「ぐわっ!?」


思わずぶん殴る!



「い、いたたた…お、おい!今、魔纏術行使し…」

「ひ、人の気も知らないで黙ってるほうが悪い!!」


わ、私がどれほど恥ずかしいか分かってるの!?

今日の為に…この服の為に…フォニアちゃんにお願いまでしたんだぞ!?私は!!



あの時の。あの子の。


「・・・あぁ。察し・・・」


って顔が今でも瞳に焼きついて離れないんだぞ!!



「…い、いや!その…」

「その…何よ!?もう一発いっとくか!?次は火魔法唱えたろか!?」


けど、

そう言って振り上げた私の腕を…



「…か、かわいいぞ!!」


ジルはバッと掴んで…



「よ、よく似合ってるエルミール!!」


そう言った…



「っ…//////」

「…」

「//////」

「…」


腕を取られたまま。沸騰している顔を見られたくなくて…し、下を向いていると…



「///」

「エ、エルミー…ル?」


ジ、ジルはそんな私を訝しんだのか、覗きこm…


…っ!



「バカァァ〜!!」

「がはぁぁっっ!?!?」



………

……






……

………



夜。

ルームメイトにこの顔を見られたくなかった…な、なんて事はないけど!?


き、昨日っ。置き忘れちゃった爪磨きの道具を取りに来ただけ…う、うん!そう!それだけ!!

…の、あたしは部室で1人。



「…///」


昼間に貰ってしまった魔薬の包を見つめていたのだった…



「そもそもアイツ…誰?」


学園はとても広いし、クラスごとに講義がバラバラだから

同じ学年の子ですら会うのは難しい。


まして、学年が違うとなると全然…



「でもアイツ。私のこと知ってたし…」


い、一応…上位二人に離されているとはいえ‥私もトロワ…学年第3階位だし!

火魔法研究会として新入生の勧誘も行ったから…

それなりに。顔と名前は通っているかもしれない。でも…



「で、でも…ほ、ほほほほんmй⒤!?…い、いきなりそんなっ…聞いてないわよ!!」


そんなっ。あたしは何もしてないのに!?

ただ、アルバイトでチョコ配っていただけなのに!?!?

む、むむむムムムも、コレットとかエミー先輩みたいじゃないのに!?

可愛くなんて…ないよっ!


なのになんでっ!?



「あうっ…」


お、思い出しただけでっ///



「ア、アイツ…ちょっとナヨナヨしてたけど…」


かっこ…



「っ~♀♂%トGo9*-§πにゃ~…!!」


お、おおおお返しどうしよう!?



「ぶtyΞ^〈¥$mgにょー!!!」


とりあえず…だ、だだダンスは無理だっ!!

私から誘うなんてムリっ!!無理無理無理!!!



「g”!pぺ&X^n+Y^n=Z^nにゅ~!?」


ぶぶぶぶ無難にチョコレートにしよう!うん!!


確か…しょ、小説全部読んだっていう、コレットとエミー先輩によると…だ、ダンスはあくまでも日付が一緒だから…というだけで。

お、お返しは同じものがいいって書いてあったって…

林檎です!


リブラリアのバレンタインは萌木の月1日・・・気候的には、異世界極東島国の5月半ばくらいになります!


もともとリブラリアには、こんなイベント無かったのですが・・・森羅万象と商人の娘が結託して、甘いモノとビジネスと愛のために唱えた通りにしてしまったのです!!

何という事でしょう!?


魔女きたない!

さすが魔女。きたない・・・



ちなみに、言わなくてもわかるかもしれませんが・・・

“萌木の月1日”なのは、11日後に行われる“春の女神祭”というイベントにタイミングを合わせたため。


チョコレートを贈って、そのお礼には・・・

 ダンスが、ベターで。

 チョコレートが、ベスト。


さすが魔女。きたない・・・

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