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Chapter 032_最終演目

『はぁ~…って!意気消沈してる場合じゃねーぞ!!次は真打登場!!いちねーん!1組ぃ!!プゥリモォ!!…フォーーニア~~~・シェバリエ・ピアニ↑ッシモぉっ~!…頼むぜ魔女様ぁあ!!』

「「「「「ウオォォォッ!!!」」」」」

「「「「「きゃぁぁぁ~~~!」」」」」

「魔女様ぁ~~!!」

「フォニアちゃぁあぁ――ンン!!」


・・・はぁ。



「・・・ん。」


・・・正直、クリスティアーヌ先輩には同情する。

そりゃあ、彼女の性格は些か難ありだし、子供の稚拙な嫌がらせ・・・とはいえ、私をイジメた事は許せない。

けど・・・



『頼むぜ魔女様!!この場であんたを知らない人はいないと思うが…先ずは自己紹介からだぁ!!』


・・・けど。

大勢の前に引きずり出され、無理を強いられ、小さな失敗でここまで弾劾(だんがい)されるのは哀れだ。

同情は・・・するよ。



「・・・1年1組フォニア・シェバリエ・ピアニシモ。・・・魔法が得意。」

「「「「「あはははっっ!!」」」」」

『魔法が得意だぁ!?ナンジャそりゃぁ!!!魔女様が魔法が得意じゃ無かったら、誰が得意だってんだYoooooo!!!』


でも、同情はするけど・・・それだけかな。

彼女は紛れもない包まれ娘・・・・ドーファン公爵令嬢(公爵が治めるオルソート領はノワイエ領と領地を接していないものの国内でも屈指の小麦生産高を誇り、商業的な繋がりが深い。領主であるドーファン公爵家は国王派の重鎮)だ。

今回は失敗したとはいえ・・・所詮は文化祭のミスコン。ただの遊び。綴られたページの小さなインクの染みに過ぎない。

公爵令嬢で容姿端麗。トロワの実力まで持っている彼女の未来は・・・よっぽどのことが無い限り・・・明るいだろう。


・・・さて。

人の心配はこれくらいにして・・・



『魔女様、今日は何を見せてくれるんだいぃ?』

「魔女様ー!!龍みせて!りゅーーー!!」

「天使さまぁぁぁぁ!!!飛んでぇ!舞い降りてっ!!」

「ドーラゴンッ!!、ドーラゴン!!」

「マジ天使っ!!!」


さっさとこのお祭りを終わらせないとね。


・・・

・・
















……

………


「ファニアったら、もうっ…何言ってるのよ!?」

「さすが…舞台慣れしているね。」

「…大物。」

「ボクには真似できないな…」

「ほ、ほんとだ…ね。」


フォニアちゃんは舞台の上でも、いつも通りのフォニアちゃんだっ…た…

こんな大勢に見つめられたら、私ならあっという間にアガっちゃって声なんて出せないよ…



「それにしてもフォニアちゃん…結局、侍女服のままで出ちゃったのね?」

「まあ…いいんじゃないか?…可愛いし。」

「むぅっ?…な、なによジル?あんた…ああいうのが好きなの!?」

「え?い、いや。そういう訳じゃないが…。実際可愛いだろう?」

「むぅ~…なるほど。分かった。」

「…?」


何かを決意したエミー先輩と、よく分かって無さそうなジル先輩…

エミー先輩は…やる気っぽいけど…?



「・・・唱えます。」

「「「「「ワァァァァァッァアアアアーーーーッッ!!」」」」」


隣で話す2人に気をとられていたら、舞台の上ではフォニアちゃんが指輪を嵌めた右手を掲げて構えの姿勢をとり、聴衆は大声援を送っていた。


彼女は夏休み中に発動子としてメインに使っている指輪が壊れちゃったうえ、今日は部活の為に指輪の数を減らしちゃったから本気は出せい。なんて言っていたけど…



「・・・すー」


フォニアちゃんの事だ。きっと凄い事をしてくれるに違いない。

何を見せてくれるのか…楽しみ!



『記憶の願い 去り逝く(そら)を映さんと 陽炎染めて (から)写し 影の森を往く』 ミラージュ!」


フォニアちゃんが選んだのは…か、風属性の魔法かな!?



陽炎魔法(ミラージュ)!?な、なんでまた…って!?まさか、この範囲を!?』


司会の先輩の言葉など気にも留めず、完唱したフォニアちゃんが



『パチィンッ!!』


と、指パッチンをすると。

広い野外公会堂がサイコロ型の魔法印に覆われた!!



「「「「「おぉぉっ!!!」」」」」


私達がその威容に驚かされている…と!



「『花の願い』


「「「「「!?」」」」」


フォ、フォニアちゃんは…つ、次の詠唱を!?



『棘の海は我が(つるぎ) 茎の波は我が(よろい) ただ、1輪のため 花の森を這う』ローズガーデン!!」


完唱と同時にフォニアちゃんが手をついた舞台の真ん中には琥珀色の…ビッシリと紋様が張り巡らされた、複雑で大きな魔法印が拡がり



「き、木属性第5階位…」

薔薇魔法(ローズガーデン)…」

「すっげ…第5階位をソロでアンサンブル…」


次の瞬間…



「み、見ろよ!」

「何よあれ…く、茎!?真っ黒じゃない!?」

「お、おい!あれ…つ、蕾か!?」


何本もの真っ黒な太い茎が、グルグルと絡まりながら空へ向って伸びたと思えば、最後は真ん中で一本に絡まり、大きなピンク色の蕾をつけた。一方…



「き…」

「キレイ…」

「は、はは…花畑…か?」


最初の魔法の効果(?)で景色は一変し、空には満天の星空が。周囲には一面のお花畑が拡がっている。そして…



「お、おい…」

「咲いた…」

「なんてっ、なんて…」

「…ステキ///」


トドメと言わんばかりに、大きな蕾が綻び美しい薔薇の花が咲き…



「すっ…ごぉっ…」

「…1人でここまで出来るなんて…」

「フォ、フォニアちゃん…」

「すげぇなコリャ…」

「は、はは…これが…」

「ふーん…。さすがは魔女…といった所か…」

「フォニアちゃん…き、キレ…イ…」


誰もが魔女様の圧倒的な魔法に魅了されていた。


これが、魔女様のまほー…



「・・・すー。」


ここまででも十分凄かった。けど…



『霜よ』

「「「「「!?」」」」」


再び詠唱を始めた彼女に誰もが驚いた



『そなたは冬の使者』


「ま、マジか…。三度(みたび)の王宮魔法とか…」


『風を凍らせ』


「ど、どんだけ魔力あんだよ…」


『舞い降りて』


「しかも、全部属性が違うじゃない…」


『大地を白に染め上げる』


「コレが、マジョ…万象の魔女さま…」


「フロスト!!」

「「「「「!!!!!」」」」」


フォニアちゃんが完唱して魔法で生み出した薔薇の木に手を触れると…ま、魔法印の展開とほぼ同時に根元から凍り付いた!?

し、しかも…いつの間にか、周囲の景色も雪原に変わっているし!?



「あ、あんな大きい薔薇…き、木魔法を…い、一瞬で凍らせた!?」

霜魔法(フロスト)は…は、発現に時間がかかるんじゃ…」?

「しかも観客席は殆ど寒くない…。き、きっと効果範囲を狭めているんだよ…」

「み、陽炎魔法も…景色が変わっているって事は、イマジネーションしたって事…だよな?アッサリ同時行使とか…」

「ど、どんだけぇ…」


水魔法は…魔力さえ注ぎこめば簡単に効果範囲を拡げる事が出来るけど。逆に、ある程度以下に狭めるのがとても難しい。

それをあんな、本人が予備だという発動子でアッサリやっちゃうなんて…



「・・・ん。」


当の本人はというと、薔薇の花が先端まで凍り付いたと見るや、襟を引っ張って胸からナイフ(そんな物を…そ、そんなところに仕込んでいたの!?)を取り出し…



「・・・えい。」

「「「「「えぇぇっ!?!?」」」」」


氷の薔薇にサクッと挿し込んだ!?

すると…



『パシィーン!!』


と。

薔薇の木、全体に亀裂が走り



「「「「「きゃぁぁ~~!?」」」」」


悲鳴にも似た驚きの声に囲まれながら『ガラガラ…』と音を立てて崩れ。

散ってしまったのだった………



「「「「「…」」」」」」


魔法の極致に圧倒された観客が見守る中、彼女は…………



「・・・お終い。」


淡々とお辞儀をしたのだった…

林檎です!


投稿時間を少しオーバーしちゃったので追記になってしまいましたが・・・


活動報告書きましたので、もしよろしければご覧ください!



・・・よろしくね!(2022/01/16 16:05)

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