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Chapter 029_灯

「さぁ、盛り上がって来たぁ!!このまま頑張ってくれよぉ!!…次のコンテスタントはぁ!我らが4年のセコンドォォ!!レェベッカァァァ――――・リースマァーン!!!」

『『『『『ワァァァァァッァアアアアアアーーーーーーーッッッ!』』』』』


ベアトリス先輩が後下がり、エドワール先輩に呼ばれたレベッカ先輩は・・・



「ちょっとぉ…今の見た後で、それ言う?ハードル上げないでよね!」


そうは言いながらも、堂々とした足取りで前に出た



「それじゃあ、レベッカ!自己しょ」

「レベッカ・リースマンよ。…始めるわ。…み、見ていてください!!」

「ちょっ!?、おま!オレにかぶせ…」


エドワール先輩の言葉を無視して、レベッカ先輩は高揚した顔(緊張してる?)で私達の方をチラッと見ると



「ふぅ~…」


・・・と。息を突き。


腰に佩いた短剣を濃紺の空に向け・・・



『灯よ』


唱えた



『静寂を穢す者』



スカルボ!!」


唱えた!!



「レダ戦で…第2階位の魔法?」

「だ、第2って。そんなっ…」

「マジで?初級じゃんかよ…」


鬼火魔法(スカルボ)はみんなが言う通り火属性第2階位の初級魔法だ。



「ベアトリス先輩の、あの演技の後で…ねぇ?」

「勝負する気あんのか?」


階位だけ見れば先程ベアトリス先輩が唱えた第6階位の銀翼魔法に大きく劣るけど・・・



『ポッ…ポ…』


「へ…?」


『ポッ、ポッ、ポッ…」


「ちょ、ちょっと…」


『ポポポポポポッ……!!』


レベッカ先輩は…指先に乗る程の小さな小さな灯を会場いっぱいに散りばめたのだった!!



「す…」

「すごっ…」

「まるで…蛍みたい!?」

「キレイ…」


個人的には何処かの深淵で目にした光景を思い出すので、ちょっとアレだけど・・・



『ポポポポポ…』


「なっ…何て数…」

「こ、これ全部…制御してるんだよな?」

「やべぇ…レベッカ先輩まじヤベェ…」


知っての通り、火魔法は制御の難しい魔法だ。

鬼火魔法はそもそも攻撃用じゃないから火力のある魔法ではない・・・とはいえ、物理現象としての【火】を生み出している事に変わりは無い。

ちょっとでも調整を誤れば、たちまち会場は火の海になってしまうだろう。

百を超える火を生み出し。しかも、観客席のすぐ側でそれをやるなんて・・・



「っ…」


制御するレベッカ先輩は・・・無言で。目蓋を閉じて。一心に。

ただただ、己の歌に集中していた。


皆が皆、

その姿に・・・光景に・・・



「お、おい…」

「…」



魅了され・・・


「あぁ…」

「…」



だんだんと・・・



「「「「「…」」」」」


静まり返り。


つい先ほどまで熱気で満たされていた公会堂はレベッカ先輩の・・・“たった、ふた節”のひと唱えで静寂と灯に塗り替えられたのだった・・・



「・・・綺麗・・・」

「っ///」


・・・

・・






「…っはぁ~、はぁっ…あ、あはははは…も、もう限界っ…かなっ。。。はぁ~…わ、私の演技はここまでよ。ど、どう…」


玉のような汗を流して息を突いたレベッカ先輩が言い終わらないうちに、会場からは



「「「「「わぁぁぁあああ――――――――――――――ッッッ!!!」」」」」

「きゃっ!?」


大喝采が巻き起こった!!!



『レェベッカァァァ!!結婚だァァァ!!結婚しようzzっぜー!!』


袖から戻ってきたエドワール先輩に



「はぁっ!?だっ、誰が!?…死ねっ!!お祭り男爵!!」


レベッカ先輩は剣を振り上げながらそう言った。

お祭り男爵って・・・



『ちょっ!?しゃ、洒落にならんって…』

「はぁ~、はぁ~っ…つ、次言ったら(えぐ)ってやるからなっ!!」

『こわっ!!』


と、冗談もソコソコに・・・




『ま、まぁ~…それはさておき…レベッカ!今のって…火魔法の…第2階位だよなぁ?なんでそんな低位の魔法で勝負したんだ?』


本題を話し始めると・・・



「はぁ~…まったく。余計な事言わずに、そこから話を始めなさいよねぇ…。…今のは火属性魔法第2階位 鬼火魔法よ。私は…まあ、一応セコンドだけどね。でも、あんまり高位の魔法は得意じゃないの。こ、この場じゃ、緊張しちゃうし…」

『ほ~…その瞳の色と…今の技を見る限り、そーは思えねぇけどなぁ…』

「べ、別に“宿してない”って訳じゃないわ。ただ…」

『ただ?』

「安全に…大勢の前でも自信を持って制御出来る!って言える魔法は、ここくらいまでかなぁ…って思って。…ほら、火魔法って危険でしょ?簡単に暴走させちゃうし…遊びで唱えていい物じゃないわ!」


そう言うレベッカ先輩は、何故かターニャ先輩を睨んでいた。


一方、睨まれたターニャ先輩は?というと・・・



「ほぇー…」


レベッカ先輩を見ていない。空を見ている。



『なるほどなぁ!』

「………。み、みんな、ホイホイ唱え過ぎなのよ!!危ないじゃない!!」

『お、おぉ…そ、そりゃそうだが…』

「自分は制御できてるから大丈夫って分かってても周りはそうじゃ無いのよ!!それで周りの人に迷惑かけて…信じらんない!!」


うっ・・・

先日の苦い記憶がよみがえる。私も肝に命じなきゃ・・・



『ど、どうした急に…レベッカ!?何を怒って…』

「あんたに怒ってんのよタチヤーナ!!ちょっと!ちゃんと聞いてるの!?」

「ふぇっ!?」


輝く一番星に目を奪われていたターニャ先輩は突然名前を呼ばれ、変な声を上げる。



「わ…わたし!?」

「そーよ!あなたよタチヤーナ!!何よ5日前の醜態は!」

「5日前!?な、なにかした…」

「魔法失敗して魔女様に鎮火されてたでしょ!!」


なんでそんなこと知ってるの?



『お、おいレべ』

「8日前もそうよ!!会長なんだから後輩の面倒はあなたが見なさいよ!!なんで魔女様の手を煩わせるのよ!!」

「え?え?え?」


お祭り男爵の言葉を無視してレベッカ先輩の言葉は続いた。



「魔女様にご教授してもらっておいて、未だに不真面目なのは何故なのよ!朝練に参加してる時も1人だけ魔女様の馬とジャレるばっかで、全然真面目にやってないじゃない!!」


この人ホントに、なんでそんなこと知ってるの?

もしかして・・・覗いてた!?

ストーカー!?



「だってぇ…わ、わたしは…」

「だってじゃない!!真面目にやりなさい!!」

「は、いー!!」


え、えぇと・・・

レベッカ先輩はターニャ先輩が不真面目な事が嫌で・・・

それで怒ってた・・・ってこと?


脈略がなさ過ぎて意味わからないんだけど・・・



「あと魔女様の邪魔するんじゃない!!なに、勝手に魔女様の唱えた柵魔法燃やしてんのよ!!」

「えぇぇ!?あ、あれは…だって。フォニアたんが!?」

「“たん”って呼ぶな!“たん”って!!“様”を付けろ“様”を!!」

「!?!?」


・・・なんで私を絡めるの?

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