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Chapter 019_滝洸大聖堂

林檎です。


本話。文書体裁のためにあえて難読漢字のルビを振っておりません。


ご面倒おかけします・・・



林檎です。

一部の漢字が統一されていなかったので修正しました。

・・・よろしくね。(2022/03/27 10:50)

夕日の赤


滔々と堕ちる万雷の水


巨大で緻密なステンドグラス


銀に輝く翼



『ザァァァァーーーーーーッ』

「・・・///」



エディアラ王国は大地の王国であると同時に水の王国でもある。

肥沃の大地を支える2つの大河


レダ川

ラウナディア川


一億の国民を支えて、なお余りある命の飛沫は悠久の時を越え、流れ続けていた。

これが命の営みか・・・・・・・・・







『ザァァァァーーーーーーッ』


滝洸大聖堂は王都エディステラの断層・・・滝・・・の内側に築かれていた。

鉄門を開いた先・・・床も壁も天井も。銀一色の聖堂の先には、人と人が手をとる・・・治癒術の場面が描かれたステンドグラスがあり、その向こうには滝があり、その向こうには今日の終わりを告げる夕日の赤が透けていた。


銀と赤


生と死


治と癒


手と手


リブラリアの命の理は、

今日も

昔も

未来も

なに一つ変わらない・・・


それを確信できる光景だった。


ただ、美しかった・・・
















『ザァァァァーーーーーーッ』


「…久方ぶりの来訪者か。待っていたぞ…治癒術師。」


聖なる殿堂には1柱の天使がいた



「・・・サリエル。」

「あぁ…その名を呼ばれるのは本当に久しぶりだ。」

「・・・やっと・・・逢えた。」

「…」


その身を滅ぼしてなお、人を救うために。

死の理に背き堕天させられた、銀の翼がそこにあった。



「第1階位」

「・・・診断魔法(ダイアグノーシス)


「第2階位」

「・・・介抱魔法(テンド)


「第3階位」

「・・・下級外科処置魔法(リカバー)


「第4階位」

「・・・下級内科治療魔法(ケア)


「第5階位」

「・・・解呪魔法(ディスペル)と、鎮痛魔法(カルマン)


「第6階位」

「・・・上級外科処置魔法(トリートメント)


「第7階位」

「・・・上級内科治療魔法(キュア)・・・やっぱり・・・あったのね。上級内科治療魔法。」


「もちろんさ。…第8階位」

「・・・ブ、蘇生魔法(ブレス)・・・死んだ人を・・・よ、蘇らせる!?」


「鼓動を止めた直後に、限るがね…。…第9階位」

「・・・恵賜魔法(ギブ&テイク)・・・なんて、なんて・・・」

「卑しい魔法…そうだろう?」

「・・・」


「…第10階位」

「・・・優羽魔法(ジェントリーフェザー)

「まさか、これを宿した術者が現れるとはね…」

「・・・たまたまよ。」


「第…」

「・・・11階位 書換魔法(リライト)。・・・すー『リブラリアの理第7原理 綴られし定理を今ここに それは願い 滔々と続く命の願い 今を認めぬ愚者の願い 理の冒涜者の願い 天より堕ちて、なお願う 綴られしページに墨を引く もう一つの理… 祈り込めて書き換える』リライト・・・・・・やった・・・やっ・・・た・・・っ・・・っっ・・・」

「…驚いたな。さすが…と言うべきか?」


「・・・っ・・・っっ・・・やったよっ・・・」

「…」

「・・・約束・・・だもん・・・ねっ・・・」

「…」

「・・・っ・・・ぐすっ・・・」

「…」

「・・・っ」

「…」


・・・

・・
















「・・・」

「…」


気付けば・・・聖堂は銀色に満たされていた。


夕日が沈み。

代わりに月が。


リブラリアを銀に濡らしていた。






『ザァァァァーーーーーーッ』


治癒の理が綴られたステンドグラスの向こう


命の水の遥か彼方


天使が持つ鎌のような細い月が世界を優しく照らしていた・・・



「・・・第・・・12階位」

「…子守唄魔法(ララバイ)と…鎮魂歌魔法(レクイエム)

「・・・」

「…君には必要ないだろう?」






『ザァァァァーーーーーーッ』


「・・・いいえ。・・・必要。」

「なぜ…」

「・・・・・・そこに在るからよ。」

「…強欲は身を亡ぼすぞ?恋人を助けたいのだろう?」

「・・・それだけじゃ・・・足りない。」

「…」

「・・・目の前に真理がある・・・それを瞳に映しておいて手を伸ばさないなんて・・・どうかしてる。」

「…」

「・・・人はそうやって生きてきた。時には失敗もしたし、傷も負った。けど・・・だから今がある。挑戦せずに諦めるなんて、私には出来ない。」

「…」

「・・・沢山の人が理を求め、叶わず、命を落としてきた。でも、それでも次の挑戦者はやってきた。何度でも、何度でも。何千年経とうとも・・・私がそうであるように。」

「…」

「・・・それが、理・・・でしょ?」

「ふふふ…。そう…だな。」






『ザァァァァーーーーーーッ』


「・・・すー・・・はぁ~・・・」

「…始める前に言っておこう。」

「・・・う?」

「この鎌は…」

「・・・触れると即死する・・・とか?」

「…」

「・・・そういう事は言わない方がいいと思うけど?」

「君に勝って欲しいんだよ…」

「・・・んふふっ。天使の癖に強欲なのね?」

「それが理だろう?」

「・・・んふふふっ。・・・仲良くなれそうね。」

「ふふ…」






『ザァァァァーーーーーーッ』


「・・・じゃあ・・・さっさと終わらせてここを出よう。」

「そうだな…」

「・・・あなたは天使であって神様じゃない。引き籠るなんて許さない。人に唱えさせる前に・・・働け。」

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