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からかってくる後輩に反撃の一撃をくらわすとこが!?

作者: れをん。

 今年で高二となる俺(菅原 敏明)は、毎日のようにとある後輩(賀久実 のあ)にからかわれている。

梅雨を明け本格的に夏シーズン。暑さにやられストレスも溜まってしまう。

「敏明せんぱーい!!」

 通学なう! の俺に声を掛けてくる奴なんて親友かこいつ、賀久実くらいだ。背中をポンと叩き俺の視界に割り込んでくる。

「おはようございます! 敏明先輩!」

 朝からうるさい……ムシムシとする通学中にキンキンと脳内に響く女声。眉間にシワが寄ってしまうのも無理はないだろう。

 だが……まぁ、可愛いから許しちゃうんだけどーー。

 周りからは羨まれているようだし、鼻の下は伸びる……。

「敏明先輩聞いてます?」

「あぁ聞いてる。今日はめっぽう暑いな」

「めっぽう? ってか敏明先輩ネクタイ緩んでますよ」

 賀久実は俺の胸元に手を伸ばしネクタイの結び目を触る。

「めっぽうとッ、いうのは、まぁ……「メチャクチャ」とか、いう……意味だ」

 俺が説明し終わると同時にネクタイの緩みは調整されていた。

「出来ましたよ。で? めっぽうがどうたらって……」

 どんだけネクタイに集中してるんだか。というかネクタイを整えるって最近のカップルでもしないだろ??

彼女出来たことないからわからんが、こんなリア充なことカップルでもない俺達がやってはならないんじゃない?

 ……勘違いをしてしまいそうだ。

「なんでもない。それよか、髪切ったんだな」

 ミディアムからショートへと変わっていた。まぁ夏だからか。

「き、気づきました!? 夏だし、イメチェンもあり!? かと思って!」

「最近のJKは大変だなー。髪長いと夏はやっぱ首元熱いの?」

 賀久実は毛先を靡かせながら言う。

「めっぽう暑いですよ!!」

 と――。

 可愛いのはいいが、「めっぽう」の意味知っとるんかい! てか若い女性(可愛い女性)が「めっぽう」を使うと一段と可愛いと思う……のは俺だけか?


「敏明先輩は夏休みどうするんです?」

「あぁー……三日後には夏休み入ったりするのかー」

「そうそう」

 何も考えていなかった。去年は……バイトしてたっけか。今年もバイトかなー。

「うーん……まぁダラダラしようかと。あんまり外出てると肌焼けるし」

「ですよねー」

 賀久実は少し困った表情で返した。

「で、でも花火大会とかは夜ですよ!?」

「バイトしてそうなんだよなー」

「そ、そうですか」

 またもや困った表情……察してしまう。俺はそこまで鈍いわけではない。

 だが! 人生において女性をデート? に誘ったことなど一度もない。どうやって誘えばいいのやら。

「プフフッ」

「ん?」

 賀久実がいきなり笑いだす。

「どしたん?」

「困ったような表情したら誘ってくれると思ったのに!」

「えー」

 あっぶねーー!! 思惑通りに事を進めてしまうとこだったのか!! 卑怯な後輩だことで。からかわれてちゃ終われない!!

「敏明先輩が若干あたふたしてて笑ちゃった」

「じゃ行こうか」

「えッ!?」

「だからさ。花火大会俺も行きたいから、一緒に行かないか? ってこと」

「そ、それは……本当ですか……」

 恥ずかしいのか? 照れてるのか? わからないが賀久実の声量は右肩下がりに。

 それから賀久実はモジモジとしながら。

「い、行きたいです」

 これが俺の人生初の「女性を誘う」行為であった――

 からかわれた分は変えせれただろうか……。

「それならよかった。じゃ連絡先、交換……しない?」

「あッ! そ、そうですねッ。 は、はい!」

 賀久実はあたふたと携帯を取り出し、よく見ると指が震えていた。緊張しているのだろう。顔を赤らめながらそっとQRコードを差し出してくれた。

「ど、どうぞ」

「あ、ありがとう」

 QRコードを読み取ろうと俺の携帯をかざすも、どうやら俺も緊張気味らしい。手をプルプルと震えていた。

 無事に連絡先を入手したとこで学校に到着。

「これで敏明先輩と離れていても会話できますね!」

 賀久実は携帯で口元を隠しながら俺をみつめてくる。

 どうやら俺が出した反撃は倍になって返ってきたらしい。

 めっぽう可愛いぃぃぃぃ!!!!

「敏明先輩、顔赤いですよ?」

「そ、そんなことはない……暑いだけだ!」

 視界を下にずらし、そう返すと賀久実が覗き込んできた。

「本当ですかぁー?」

 からかっているような、ちょっぴり楽しそうな表情な賀久実。

 慌ててまた視界をずらしてしまう。図星じゃないか!? 

「本当だ! じゃ、じゃあ教室向かうから……」

「はい! 今日も頑張ってくださいね! また今日も一緒に帰りましょ!連絡しますね!」

 賀久実はこちらへ笑顔を向けながら手を振ってくれた。

「あ、あぁ……お互いにな」

 そう言って二人は玄関目の前の廊下を二方向に別れていった。

 

 今日は本当に暑いらしい。猛暑じゃないか。

 俺はこの夏、生きていけるだろうか――



 

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