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魔王幹部との死闘

次話は一週間後くらいにだしたいですね!

って考えていたら一か月以上たっていました……。

連続短編だったらすぐ書けると思ったのですが、書けないもんですね(笑)

構成は出来ているので、後は僕のやる気だけです。はい。

 「決戦の時はきた!覚悟はいいか!!」


 私は二人の仲間、弓使いのライト、魔術師のアーデルンに鼓舞(こぶ)する様に言葉を放つ。勿論、自分に対してもだ。


 「ああ、ルイスの情報が確かならこの先に魔王の幹部のトップがいるはずだ、いままでの幹部どもとはレベルが違うだろうな」


 「そうですね、ルイスの助言を聞いて力を温存しておいて正解でした。しかし、リューク1人の体力の消耗が心配です」


 「心配はいらない、私の体力は有り余っている。……さあ、行こう!」


 2人は頷き、私の後に続いて足を運んでいく。―――ルイス……お前の死は無駄にはしないぞ。


 探索士(たんさくし)のルイスは先程命を落とした。敵の不意打ちによってだ。 

 彼の役目は敵の罠の発見や地形の把握が主であった。

 このフロアに着くなり、「俺が周りを確認する、合図をするまで動くなよ」と、私達に言い聞かせ、一人で行動を始めた。……思えば、そんな危険な事を止めるべきであったと猛省(もうせい)する。


 暫くして遠くからルイスの叫び声が聞こえた。

 私達は急いで声の元へと飛んできたが遅かった。

 ルイスの左手は何者かに食い千切られていたのだ。

 急いでアーデルンに止血の呪文を頼んだが、既に大量の血を流していたため、助からないとルイス自身が言ったのだ。


 「……みっともない姿だな、敵の巧妙な罠に引っかかるとわな。でも大丈夫だ、このフロアの罠はもうない。後は敵を叩くだけだ。……これから、俺の言う事をしっかりと聞いてくれ――――」


 ルイスは自分の出来る限りの情報を私達に伝え、息を引き取った。

 ルイスの説明をライト・アーデルンの二人は渋面を作っていた。色々と思う所があるのだろう。

 

 「単純な罠に引っかかっのではないか?」


 「一人だけ財宝を独り占めしようと考えていたとかないわよね?」


 「何を言っている!ここまで戦ってきた戦友に対して言う台詞ではないだろう!」


 私は大声で二人に怒りをぶつけた。仲間を失った事で神経質になっていることはわかるが、言っていい事と悪い事がある。そう彼らに説法をした。


 「……すまない、わかってはいるさ」


 「ええ、その通りです。ただ、実際に見ていないので空想を考えてしまったのです」


 二人は首を項垂れてそう言った。皆、わかっているのだ。死んでしまったルイスと同じ状況になるかもしれない、次は自分の番かもしれない。と、そんな恐怖を遮る様に他の者を下に見て安堵しようとする。


 「私に任せてくれ!ルイスの仇は必ず取る!!」


 二人は強く頷き、歩みを強める。


 暫くすると、大きな扉が姿を現した。そして、扉の向こうから強者が放つ圧力を感じる。

 肌がピリピリと毛立つ。

 私は両手の汗を拭い、観音開(かんのんびら)きの扉を開く。


 重々しい音と共に扉が開いていき、大きな広場が見えてくる。そして、中央に武装したゴブリンの姿が見える。


 瞬時に理解する。奴がルイスの言っていた()()()()()だと。


 幹部はまるで私達を塵と思っているのか、前掛けをしていた。鎧を身に着けていないのだ。

 持っているのは敵を切り裂くのに適しているであろう鋭い爪を、櫛状にして長い棍棒を柄に取り付けていた。

 掃除に使われる熊手を彷彿(ほうふつ)とさせる形をしているが禍々(まがまが)しさがそうとは思わせない。


 幹部は私達を見て微笑する。挑発だろう、望む所だ。


 私は聖剣アルタイルを抜き、剣先を奴に向ける。


「この剣で友の仇を取らせてもらおう!」


 私は叫び声と同時に幹部の所まで駆けていき、剣を大きく振り下ろす!―――幹部は両手で棍棒を持ち、一撃を受け止める。……何という怪力だ、私の一撃を心持たない武器で防ぐとは!


 幹部の身のこなしは流石と言えようか、俊敏に動き、無駄がない。

 私より頭一つ分大きい体は、怪力で相手を倒す様な動きではなく、軽快に動き相手を翻弄させる戦闘姿勢だと悟る。現に力で押されることはないが、素早さで不利な体勢にさせられるからだ。


 私は戦えている、魔王の幹部と!


 何度かの打ち合いをし、距離を取ちながら私はそう感じた。

 確かに力や速さ等の基本的な戦闘力は今まで戦ってきた者とは明らかに違っているが、決して敵わない相手ではない。相手は一体、私達は三人。ここは数で押し切らせてもらう。


 私が二人の姿を探すと、いつの間にか広場の外れにある下へ下りられるであろう螺旋階段へ脇目も振らずに駆けていた。

 

 流石の判断だと眼を大きくさせる。


 彼等は遠距離の戦闘を得意とする、ならば敵に気付かれずに適当な距離を保っている今は最高の状態と言えよう。

 逃げ場となる階段付近を選んだのも良いと言える。もし負傷した場合、直ぐに撤退し、治療、準備を行う事が出来る。


 「良くやった、二人とも!援護を頼む!」


 もう距離は十分だ、あまりにも離れられてしまうと援護の意味がない。


 「――――!!」

 二人は虚を突かれたかのように体を震わせ、こちらを睨む。何故睨むのだろうか、そんな疑問を持っている時であった――一本の棍棒が弓使いのライト目掛けて飛んでいた。


 幹部の攻撃だ!

 奴は腰に付けていた短剣ほどの大きさの棍棒を槍を投げる様に飛ばしたのだ!


 「――ライト!!」


 私は警戒の念を込めて、ライトの名を叫ぶ!


 ライトは走るのに精一杯で戦闘準備が出来ていなかった、突然の攻撃に体が硬直しているのか。動けなかった……棍棒はライトの顔面に直撃したのだ!!


 ライトは後ろに大きく仰け反り、飛ぶように地面に倒れた。


「ラ、ライトーーー!!」


 私は腹の底から名を叫ぶ。

 ライトは全身を痙攣(けいれん)させながら仰向けで倒れている。生死判別をしたかったが、幹部がさしてはくれなかった。――すぐさま攻撃態勢を整え、私目掛けて飛んできていた。


 「――くっ!!」


 突然の攻撃に私も反応できなかった、叩きつける様な連撃を、剣で防ぐので精一杯だった。

 ルイスの様子が気になり、一瞬目線を外した時だった。……幹部の蹴りが私の腹に直撃する。


 「――がぁぁ!!」


 私は倒れそうな体を剣を支えにして、大きく体制を崩さない様に堪えた。しかし、膝が笑い、力が入らない。

 立っているので精一杯だからだ。

 骨を何本かやられている感覚もある。


――今攻撃されたら確実にやられる。そう頭をよぎったがそうはならなかった。

 幹部は負傷したライトと治療を行っているアーデルンの方へ足を運んでいるからだ。

 

 私を始末するよりも、先に数的有利を無くしたいのか。それとも、私の眼中で仲間の死を見せつけたいのか。……両方だろうな、魔王の幹部らしい軽蔑する行為だ!!


 2人の状況を見ようと目線を幹部から切り替えると、急いで階段を下りようとしているアーデルンの姿が見えた。


 ライトは以前倒れているが、顔から血が消えていることから、アーデルンが治療したのだろう。そして、回復中に幹部に気付かれたのだ。


 今の私には状況判断と、2人の安否を祈ることしか出来ない。……が、その祈りは届くことはなかった。


 幹部は無装備なライトに止めを入れる。

 ライトの武器である弓を奪い、アーデルン目掛けて射る。

 直撃である。


 一瞬の出来事、あっという間の死が訪れたのである。


 私の所為だ。


 私の所為で、幹部に位置を気取られ、攻撃を受けてしまった。私の声かけが早すぎた所為で戦闘準備が出来なかったのだ。


 私は自身を鼓舞する様に雄叫びを上げる。


 聖剣アルタイルに自身の生命力を注ぎ込む。


 この技は、魔王との戦いで使うつもりであったが、そんな悠長な事は出来ない。私の判断ミスで仲間を死なせてしまっているんだ。


「う、うおおおおおおおおおおおおおおぉぉ!!!」


 力を帯びた聖剣アルタイルを両手で構え、幹部に突撃する!――幹部も雄叫びを上げながら私に向かって駆けてくる!


 広場の真ん中、私の剣と幹部の棍棒が激突する!!


 バキッ!!!


 剣は棍棒をへし折り、幹部の胴体を真っ二つにした!!


「……はぁ……はぁ、やった、やったぞ、ライト……アーデルン――ルイス!」


 私は広場に倒れ込み。

 力が思う様に入らない、そして、涙が止まらない。


「すまない、みんな……」


 何度謝ったも、誰にも声は届かない。


「――やっぱり、()には無理だったんだ!!」


 幹部を倒した安堵か、周りに誰もいないからか、心の声が漏れた。


 そう、僕には無理な話だったんだ。


 だって、()()()()()()()()()()()()……



***

 僕はいつもの様に山菜を取りに森へ向かっていた。


 そこで、白髪白衣の老人に出会った。


 老人はこう言った、「勇者になりたくはないか?」と。


「なれる者ならなりたいね」


 僕は嫌味を込めて老人に言い放つと、老人は薄く笑い「これで今日から勇者だ」と言って、僕に聖剣アルタイルをくれたのだ。


 聖剣のお蔭で、膂力・知識・体力と自分では無い様な感覚に陥った――そして、()()となり、私の事を知らない離れた土地に(おもむ)き、勇者として尊敬される存在になれた……。



 弱音と涙を出し切ったと感じた時には、身体の力が幾分か戻ってきていた。


「……私は勇者だ、死んでいった者達が胸を張って言える英雄になるのだ。――待っていろ、魔王よ!」


 私は仲間達に別れを告げず、1人、奥の階段へと向かって行く。


「魔王を倒し、必ず帰ってくる……暫くそこで休んでいてくれ。」


 私は後ろを振り返ることなく、独り言を呟いて、魔王の元へと向かうのだった……。

 

 

 

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