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異常図書焼却課アーカイブ  作者: 稲生葵
17/42

[閉架図書館]異常図書████-█-█[███████]

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異常図書1412-4-1[おまもりノート]は特別秘匿指定されています。いかなるデータも持ち出すことはできません。


分類:異常知識

人気推定値:126vol

状況:掲載物・原稿の焼却

発見時の脅威:暴露/赤 家族関係の破綻

現在の脅威:暴露/黄 政府関与 中度の再制作の危険


作品の概要

 2018年度の道徳教科に用いる補助教材として文部科学省が制作し、全国の中学校に無償配布した小冊子。

 思春期の精神的問題に対する助言とイラストが掲載されている8ページと、日記を書くことによるストレスコントロールの実践用として用意されたメモ用紙8ページからなる。


異常の発現

 1ページから8ページに仕掛けがあり、9ページから16ページまでのメモ用紙部分が表示部になっている。家庭に人間関係の問題(潜在的なものを含む)を抱えている児童が9ページから16ページを開いた際に異常を発現する。

 メモ用紙部分に家族の考えていることが記述され、児童がそれに触れてしまうことで、家庭内の問題が顕在化、深刻化する。

 児童が抱え込んでしまって精神疾患に至る場合もある。


発見と対応

 2018年6月8日、愛知県豊明市前後交番に「助けて、お姉ちゃんがパパとママに殺される」と言って少女が駆け込んできた。

 対応に当たった巡査部長が詳しく聞いたところ、異常図書1412-4-1の存在と異常性を確認。この時、異常図書1412-4-1には、異なる2つの筆跡、異なる2つの筆記具(万年筆と鉛筆だと思われる)で少女の姉を殺害する計画が事細かに記述されていた。

 明確に異常性を示したことから、即時回収、焼却を行ったが、既に356世帯で異常図書1412-4-1に起因すると見られるトラブルが発生し、家族関係が破綻していた。このうち192世帯で殴り合いの喧嘩、101世帯で虐待、63世帯で心中に発展し、176人が死亡。784人が負傷した。

 また、202人の児童がストレス障害の症状を訴えている。


異常発現の原因

 内容をデジタル処理して半透明にし、重ね合わせたところ魔法陣が出現。

 偶然に形成されたにしては非常に緻密であることから、文部科学省に問い合わせたところ、信州堂という出版社に業務委託していたことがわかった。

 さらに、この信州堂は特異集団[神州文化保存学会]と資本的な繋がりがあり、恐らく技術的な繋がりも持っているものと思われる。

 信州堂への業務委託プロセスを詳細に調査したところ、文部科学省高官の関与を疑わせる通信記録を発見。

 本異常図書事件は政府主導で行われた疑いが強く、特異集団[神州文化保存学会]が政府内にまで根を張っていることを示唆している。


音声1

「神州の正しき姿を再現するには膿を出さなくてはならない。まずは子供のいる家庭からだ。膿んだ血統を絶ち、純化を進める必要がある」

 異常図書1412-4-1の制作動機を語ったものと思われる。


現状

 文部科学省から指示を受けたため、異常図書1412-4-1のデータを外殻サーバー[飾り棚]から削除。異常図書1412-4-1を特別秘匿指定し、電子データを特秘サーバー[閉架図書館]、書類や証拠品を特秘ロッカー[白ポスト]に移転。

 警視庁と協力して調査を継続中であるが、警視庁が特異集団[神州文化保存学会]を資金の動きまで含めて監視していたにも関わらず、本事件をまったく予見できなかったことに留意せよ。

 本事件に関して、我々は孤立無援かもしれない。

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