明美
ピンポーン!
と言うインターホンの音で私は眼が覚める。
重いまぶたを擦りながら大きなあくびひとつ。
ん?と手を耳に当てるとヘッドホンが
昨日は夜遅くまで仕事してたっけ?
ピンポーン!
とまたいつもの目覚ましが
私は、ささっと服を着替えるとバタバタと
音を立て玄関へと向かう。
そしてドアを開けた。
明美「遅いじゃない!」
明美がぷくっと膨れた頬でこちらを見ていた。
ごめん!ごめん!
昨日は仕事で寝不足なのよ!
そう言って彼女のご機嫌をとる
明美「この前のDVD面白かったね!」
それだけで起こしにきた!なんて言わないでしょうねー!
こんな退屈な日常が、私の日常。
私は前から独り身で隅にいる影みたいな存在で
人見知りだし、
ほとんど友達もいないから
ほとんど、部屋にこもりっきりで
趣味の恋愛小説に夢中 自分の妄想のカタカタと
パソコンに打ち込む。
それが私の趣味であり、仕事である。
そんな日常に舞い降りたのが
「明美」ってわけ
最近、私の住むアパートの隣に越してきた
新人さんなんだけど、
まぁ、性格がね
マイペースっていうか、なんていうか、
ドジっ子?残念な美人?みたいな?
彼女が越してきて 1週間、
私達はすぐに仲良くなって、
私の小説の第一号ファンになった
明美「今日ねー、じゃーん!」
明美は満面の笑みでバックから取り出したのは
ひとつのDVD。
また!またDVD借りてきたの?
明美「いいの、あったからさ!みよ!」
明美は映画鑑賞が趣味らしい
かなりの映画好きで
毎週必ず、私の所にDVDを持ってくる。
そして、どんなに断ろうとも
家に上がり込み映画鑑賞をする
それがもう日常になっていた。
恋愛小説好きの私的には恋愛映画が一番なんだけれど、
彼女の趣味はホラー映画なのだ。
ホラー以外はあまり見ないようで
ホラー以外のジャンルには興味ないようだ、
光の入らないようにカーテンを閉めて
映画館を演出、そしてなによりありがたいのが
明美が買い込んできたお酒だ。
私はホラーはあまり得意ではない、
好きでもないし、嫌いでもない、
と、言った感じだ。
明美のワクワクした表情をみたら
断ることができない、
今日もまたホラー映画鑑賞会だ。
カーテンを閉め、
机の上いっぱいの缶ビールとつまみ、
明美「早くみよ!」
そんな焦んないで!笑
古いテレビをつけ
DVDを差し込む…
ふとテレビに目線を向けた。
キャスター「6月8日に@街に住む、白石夫婦が何者かによって殺害されました。
犯人は未だ逃走中の模様……」
なにこれ、怖いねー
明美「……………ん?なんか言った?」
明美はスマホを手に
はい?っとばかりに困惑している。
相変わらずマイペースなんだから笑
さっ観よう!そして飲むぞ!
明美「ちゃんと観てよ!お酒ばっかじゃなくて!」
そして、映画が終わると
すぐさま私は立ち上がり 大きく深呼吸をして
両手を上に伸ばす。
ふぅー、疲れたー、
明美「はぁー面白かったね!」
そう?スプラッター過ぎて逆に怖くなかったよ、
明美「えースプラッター過ぎるからいいんじゃない!ホラーの良さわかってないなー」
今日観たのはかなりのスプラッター映画。
正直言うとかなり気持ちわるいものだった、
グロ全開!って感じで
なんとも言えないものだ。
それを、目を輝かせてみていた明美は
それほど、ホラーオタク様だってことだ。
きっと、オカルトオタクってやつは
ホラーなグッズとかを集めるのだろうか?
明美とは仲が良いが、一度も明美の部屋に行ったことはない。
何度か聞いてみたが、すらりと交わされるだけで部屋に上げる気はないようだ。
マイペースな明美のことだ。
ゴミの溜まり場にでもなっている気がしてならない。
明美「あ!もうこんな時間か!そろそろ帰るね!」
バタバタと明美はサンダルを履くと
勝手に出て行ってしまった。
ちょ!ちょっと!片付けはー?!
最近、明美は忙しいようだ、
一ヶ月前ほどの彼女なら
これから飲みに行く?などと言っていただろう、
仕事が忙しいのか?それとも彼でもできたのかと少々気になっているが、
それはもうどうだっていい。
私の目の前には、先程映画鑑賞会で飲んだ空き缶やつまみのカスやらなんやらで
部屋はグチャグチャになっているからだ。
私は、潔癖症よりだから
特にこれは酷い有様だった。
そして、片付け洗濯などをこなしていると
時間あっという間に過ぎていた。
かなり綺麗になったけど、
疲れたーーーー!!!
もう時間は8時を過ぎている。
夕飯は、お決まりのカップラーメン。
私は、モテない女子お決まりの料理がまったくできないのだ。
家で食べるのはほとんどがカップラーメンや冷凍食品。
さぁ、ご飯ご飯!頂きますー!
ぱっぱと食事を済ませて、
ソファーに横になり。
テレビをつけた。
キャスター「@町で男性が行方不明。
@@@@さん54歳。
彼の家には血痕が複数残されているため
負傷しているとされています。」
え、また?怖いなー、、
世の中物騒だな、
夫婦殺害に、男性行方不明、
あ、そうそう、
確か、一カ月まえほどだっけ?
怖い事件他にもあったなー
ある学校の生徒が団体自殺だっけ?
そうそう!焼身自殺!
あれはかなりニュースでもやってたし!
怖いよなー、でも自殺か?
これがアニメでよくある実は他殺でー
みたいな?笑
そんな独り言を言いながら
私はうたた寝を始めた。
は!私、寝てた?笑
ま、昨日は疲れてたしー?
私はテレビの上の時計を見る。
3時、、微妙な時間ね、
あ!ゴミ捨て忘れてた!!!
明日の朝までじゃ間に合わないよ!
明日は編集部に原稿持っていかないといけないし、、、
これから行くしかないか、
トボトボと深夜の夜の道を進む、
ここの近所は、あまり人が通らないせいか
灯がほとんどないため、
アパートをでれば真っ直ぐな暗い道が伸びている。
私は、アパートの階段を降り、
ゴミ捨て場へと向かった。
すると、ゴミ捨て場の向こうの道に人影が見えた。
少しずつ目が慣れてきたのか
その人影は、明美だった。
私はゴミ捨て場にささっとゴミ袋を置くと
すぐさま、明美の所へ駆け寄った。
明美!あーけみ!聞いてんのー?
明美「……………………。」
ちょっと!明美!
私は明美の肩をたたく。
すると明美は振り返る。
だが、いつもの明るい明美とはなにかが違った。
暗い眼差しに黒いコートを着込んでいた、
こんな真夏に、、
そして表情も彼女のものとは思えないものだった。
狂気に満ちた目の色、、
そんな事を思わせる目だった、、
私は、困惑して これ以上声をかけることはできなかった。
明美「……………ちっ……」
明美は私を睨みつけると舌打ちをする。
そして、夜の闇へと消えていった。
私は混乱しながらも、自分の部屋へと戻った。
ベットに入った後も先程の明美の様子が気になって眠れなかった。
そして、翌朝。
私は寝不足で大きなクマができていた。
素早く身支度を済ませると、
私は仕事に出かけた。
まぁまぁな成果だった、
編集者はじっくり読ませてもらうよ
と、言っていたが
………大丈夫だろうか?
これで小説になって、映画化して、一気に監督!なんて、そんな甘くはないよね、
仕事が終わり、家で一息ついていると、
あることが頭によぎる。
やはり、明美のことが気になる。
あの時の明美はどうみても様子がおかしかった。
私は、心配になり、
彼女の家に行くことにした。
明美の部屋は隣だから
すぐ行けるから楽だ。
少し戸惑ったが、
私は、迷いながらもインターホンを押した。
ピンポーン!
ガチャ、
ドアが開いた。
そこには変哲もない明美の姿があった。
明美「なに?どしたの?」
ぽけんという表情で私を見ている彼女に私は問いかける。
あのさ、深夜に昨日なにしてた?
私、ゴミ捨て場に行ったんだけど、
なんかいつもと違う雰囲気で外にいたでしょ?
なんか、気になってさ笑
すると、思いがけない返事が帰ってきた。
明美「え?なんのこと?深夜って私熟睡してたと思うけど笑
なにか見間違えたんじゃない?寝ぼけてた、とか?」
あれは見間違い?
確かにあの時はかなりの眠気だったが、
本当にあれは寝ぼけていたからだろうか?
はっきりとしなかったが、
その時は、明美に頷くことにした。
ごめんごめん、見間違いだねー
と、謝りその場から離れた。
そして、自分の部屋に戻りベットに腰下ろそうとした時、
ピロロロン♪とスマホが鳴る。
重い身体をまたもや持ち上げると
スマホに手を伸ばす。
はい?あれ?真也?
真也は高校からの付き合いで
少ない友達の一人。
最近は連絡をとっていなかったが、
久しぶりの電話だった。
真也「お!でたでた!笑」
なによ、久しぶりじゃない笑
真也とはかなり仲が良かった。
私はあまり女友達がいなかった為、
男と絡む事が多かった。
その中でも、特に真也とは仲が良い。
そして、初恋の相手であり。
告白なんてする柄じゃないからと
告白はしなかった。
真也「久しぶりだなー三ヶ月ぶりくらい?」
四ヶ月くらいじゃないの?笑
真也「ごめんごめん笑 最近はどうよ?仕事うまくいってる?」
うーん、ぼちぼち?笑
真也「今度読ませろよ!お前の溜まりに溜まった妄想小説をさ!笑」
妄想っていうな!これは、とーっても感動する愛の物語の小説です!
真也「はいはい笑 ま、それは置いといて
お前、彼氏とかできたか?笑」
は?できないよ笑 てか、仕事が忙しいです!
恋の暇さえありません!
真也「お前はする気ないだけだろ笑」
いきなりなによ笑?んー?彼女でもできたか?
真也「ま、まぁな笑」
以外な彼の言葉に少し戸惑ってしまった。
高校の時ずっと好きだった彼に彼女が出来たか、、、
少し寂しいなんて感情に自分自身が驚いている。
真也は、高校の時モテていた方だったが、
あまり付き合うとかしなかったみたいだったし、私が彼女作らんの?と聞くと
彼は、恋より友情!と言うのが口癖であったために、
先程の言葉に私はびっくりするのも不思議ではない。
今もなお、少々未練があるのかもしれない。
真也「最近付き合い始めたんだけどさ!笑
めっちゃ可愛いの!」
なに〜?彼女の事自慢したくて連絡したの?
真也「まぁ、聞けって!
俺と同じで純情っていうか、すごく清楚な感じ!本当に可愛いんだよー♪」
彼はノリノリのテンションで
彼女の自慢をする。
私にとっては複雑なものだ。
真也「黒髪のロングでー♪白いワンピースがすげぇ似合うの!マジで最高!」
その時ふいに頭によぎる。
そういえば、明美もそんなんだなー
なんて、考えていたら
真也「ちょっ、聞いてんの?」
考え事をしていると
真也の大きな声で我に帰る。
ご、ごめん(´・ω・`;)
考え事してた笑
真也「おいおい、大丈夫かー?仕事で疲れてじゃね?ま、俺の自慢大会はここで切り上げてやるよ笑」
そう言った後、高校の時のくだらない昔話をした後電話を切った。
そして、私はベットに横になり
眠りについた。
次の日、私は消し忘れていたテレビの音で目が覚めた。
重く閉ざされた目を覚まそうと
一気にカーテンを開ける。
太陽の光が一気に差し込み、
っとばかりに目をつむる。
そして、顔を洗い
ポットでお湯を沸かすと
カップスープに注ぐ。
コプコプと言うお湯の音が心地よく聞こえる
一息つき、ふとテレビに釘付けになった。
キャスター「@町に住む男性が重体で意識不明となっています。
原因は、強盗と鉢合わせになり部屋にあったバットで殴られたことによる。
損傷によるものでした。」
私は、また事件か、最近ここの街で多くの事件が多発している。
殺人やら、行方不明やら、
なんて、軽くテレビを見ていたはずだったのだが
私を驚かせたのは、
意識不明の重体だという男性の
写真が映った瞬間だった。
彼は、私のよく知る人物であり。
昨日会話すら交わした、真也であったからだ。
私は一瞬頭の中が真っ白になったが
すぐその状況を把握した。
すぐさま、テレビに映し出されている。
病院名を見た後、
着替えを済ませ、玄関をでる。
急ぎ足で階段を駆け下りると、
後ろから声がする。
明美「どうしたの?そんな慌てて笑」
明美だ。
だが、明美に構っていられるほどの
余裕はなかった。
ごめん!今、急いでるの!
とばかりに明美の言葉を突き放したが
明美はそんな私に、
明美「私も行く!」
予想していなかった明美の言葉で
私の足は止まった。
え?
一瞬、脳内が停止した私の横をすり抜けると
明美「タクシー!」
アパートの横にタクシーが止まっているのが見えた。
明美「私もこれから出かける用事があったの!
けど、いいわ!とにかく行くわよ!」
明美は私の腕を引っ張り
タクシーに乗る。
明美「@@病院へお願いします。」
私は、我に返ったがタクシーに乗る長い時間の中、真也の事が頭に浮かび
心配と不安でいっぱいになった。
病院につき、
私は、気づかぬうちに走り出していた。
真也の病室に入ると、
いつも元気いっぱいで明るい真也なんて
ここにはいなかった。
チューブで繋がれた身体。
頭には沢山の包帯。
意識不明の重体って言われなかったら
死んでいると思わせるほど
…………酷い状態だった。
明美「大丈夫……?この人は?」
私がうつむいていると、
明美が心配そうに声をかける。
え、えぇ、まぁ高校時代の友達だよ、
明美「………そう、」
私は、明美の顔は見れなかった。
辛すぎて涙が溢れてくる、
私は、人の前では泣いたことがなかったが
目の前で横たわる真也と、心配そうに声をかける明美の声に、
目にはいっぱいの涙で前は見えない
涙で霞む真也の姿、
ポロっ
自分のズボンに涙が落ちた
小さな丸い涙の後にまたひとつと涙が落ちる。
明美「……………大丈夫…?」
明美の顔も霞んで見える、
こんな顔を見せられないと思った
ご、ごめん、ちょっと今は
明美「そうだよね……私、お手洗い行ってくるね、ごめんね、」
そう言って明美は病室をでた、、
せっかく一緒に居てくれたのに、
冷たい言い方しちゃったかな、、
明美が謝ることなんてないのに、私馬鹿だ。
はぁ、一度落ち着こ、
コーヒーでも飲めば落ち着けるよ、
私はそう思い、
真也の顔をみて 立ち上がり病室をでた。
病院の一階にある、カフェで一息つきコーヒーを飲む。
病院のカフェにしては、コーヒーが美味しかった。
私は、疲れのためか瞼が重く 眠くなっていた
その時、一人の看護師が私に駆け寄ってきた。
看護師「あ、あの、大変なんです!」
私は軽く寝ぼけていたのか、
その看護師の顔をじーと見つめると
先程、病室に案内してくれた看護師だとわかった。
私は重い瞼を擦ると、
えっと、どうしたんですか?
看護師「あの、、」
看護師は言い辛そうに私から目線をそらす
そして、看護師は口を開いた。
看護師「………先程402号室の真也さん亡くなりました、、」
私は、少し時間が止まったかのように感じた。
真也が死んだ?
真也が?
全く状況を把握できない。
さっきまでは息があって、
医者も今の所は安定していると
言っていた。
なぜ、、?
そんな事を考えていると、
看護師「えと、ここではアレですから
上でお話しを、、、」
そして、別室に通された。
先程の看護師と真也の担当医と三者面談のような形で席に座ると、
医師がこんな話をした。
医師「あ、あの。言いづらいのですが、よく聞いてください。
真也君は、意識不明の重体でしたが、
すぐ手術を行いましたので
頭の傷は縫えました。
ただ、出血が多かったために
輸血する時間が長引いたために重体とお伝えしました。
しかし、輸血が無事終わり、
その後、目を覚ますのに時間はかかるとは思いましたが、
重体は抜け出たと私は思っていました。
先程、貴方が一階に降りられている間に、
こちらの看護師が真也君の点滴を変えるために部屋に入りました、
その時は彼は息をしていなかったそうです
緊急を受けて私はすぐ向かいました
できるかぎりの処置はしましたが…
彼は亡くなりました。
ただ、これが事故ならば問題はないでしょう
気になる点がいくつか、、、
看護師が部屋に入り、彼の意識を確認した時
彼のマスクが外れていたんですよ、
彼が起きて外した、などとは
考え辛いですしね、
もちろん、看護師もそのような事はしません。
これは、事故ではないかもしれません。
何者かが心拍停止にするためにマスクを外したとなれば、これは事故でなく、、、」
殺人ですか、、?
医師「え、えぇ、まさかとは思いますがね、」
殺人?
真也は何者かに殺された?
でも、なんで、
…………確か、真也は強盗と鉢合わせになって
は!もしかして、真也君犯人の顔をみた?とか
犯人は殺していたと思い込んでいたけど
ニュースで真也は意識不明の重体だと
知ったのかも?
………っ口封じのため?
顔を見られている。 彼は生きていた。
そんな、こと、、、
そんな悪い妄想で頭がいっぱいになる。
医師は事件性があると言うことで、
警察を呼んだ。
私は、真也の友達と言うことで
事情調査に協力することとなった。
長い事情調査も終わり、
時間はもう夜になっていた。
何気なくスマホを手に取り開いてみると
LINEメールが一件。
一日中大忙しだったから
スマホを開いていなかったな、
いつもは毎日のようにスマホをいじっているスマホ依存症の私であったが、
仕事とこのような不運続きのためか
スマホすら触っていなかったのか、
と、私はため息を漏らした。
私はスマホの電源をつけると
LINEに一件メーセージが入っていた。
誰だろう、と気を楽にしていたが為に
メーセージの送り主に私は……
……………真也だった。
真也と電話した日だった。
俺、殺される。
え?真也が強盗にあう前に送ったってこと?
私は、恐怖に体がブルっと震える感触がした。
彼からのメッセージはその一件のみ。
俺殺される?なぜ殺されると思ったのだろう?
強盗が入ってきてすぐ打つことなんて不可能だし、
私は、頭にふと思い出した。
真也は昔から日記を書く癖があった。
高校の時、日記をみせてくれたことがあった、
もし、その癖がまだ残っていたら
なにかわかるかも知れない。
と私は思い。
警察に向かった。
私の思った通り、真也は日記を書いていたようだ。
彼の所得品の中に高校の時の見覚えのあるノートが目に入った。
私は、警察の了解を得て、真也の日記を預かることになった。
そして、早々に家へと帰ると
私は仕事部屋の電気をつけると
真也の日記を開く。
ペラペラとページをめくると
あるページに目が止まる。
@日 今日はなんと!俺に彼女ができた!
今まであまり彼女を持つことに興味なかった俺だけど、彼女とは趣味も合うし!
あいつみたいだなーなんて笑
あいつって私?
そんな事考えてる場合じゃない!
この日、真也に彼女ができたんだ、
@日 彼女は清楚ですごく可愛い!
女性って感じで癒される!
なんて、かなり自惚れてるな俺笑
@日 彼女が俺の家に遊びにきた!
一緒に映画鑑賞した!
まさかのホラー映画笑
俺、怖いの苦手だから少し焦ったけど
彼女との映画最高だな笑
@日 彼女の様子がおかしい、、?
いつもの彼女じゃないみたいだ、、
たまたま、外に出かけてたんだけど、
彼女に声かけたら怖い目つきで睨まれた、、
なにか、あったのかな、?
これ、、、
明美……にそっくり?
ホラー映画が好きで、清楚な雰囲気、
まさか、ね?
@日 やっぱりおかしい、、、
彼女とレストランに行ったけど、
途中まで楽しく会話していたのに
いきなり、彼女が席を外してそのまま、
帰って来なかった、、、
@日 おかしすぎる、
彼女は、彼女じゃない、
彼女であって彼女じゃないんだ、、
彼女の事は好きだ、だけど、もう怖い。
明日、別れよう、
彼女と別れよう。
”明美”と別れよう。
ここで日記は終わっている。
ちょっと、これ、、
明美だよね、、あの、明美?
様子がおかしいって、
あの夜のことと一致してるし、
この最後の日記の日、!!!
私と電話する前日だ、、、
真也は、私と電話した後、
彼女、嫌、明美と別れ話をしようとしたんだ。
そして、
………っ明美が殺したってこと?
そんなまさか、、ね?
声が震えるのがわかる。
ドンドン!!!
いきなりのドアを叩く音で私は飛び上がる
こんな時間に誰だろうと
私は悪い妄想の中、ドアに手をかけようとしたが私は覗き穴から覗くことにした。
”明美”だ。
明美はドアを睨みつけるように直視し
はぁはぁと息が切れているように息を乱している。
そして、ドンドン!と手をドアに叩きつけている。
私は怖くて全身震えていた
10分程たつと ドアの音は止んだ。
私は、気になりまた覗き穴を覗いた。
すると、
明美は深い深呼吸をすると、
先程とは別人のようないつもの明美だった。
でも、なにか違う、
そんな気がしてならないのだ。
すると今度は、笑みを浮かべインターホンを鳴らす。
ピンポーンと部屋の中に響き渡る
いつもなら、DVD鑑賞会ねーはいはいとばかりにすぐ扉を開けていただろう。
しかし、今、私の耳には
その音は恐怖の死の呼び声に聞こえていた。
そしてそれは、何度も何度も続いた。
さすがに朝になると明美は消えていたが、
その日はもちろん眠れるはずもなく
ただただ、恐怖の中うずくまるしかなかったのだ。
そして、3日がたった。
明美の事があり、外に出れなくなっていた。
しかし、家には買い置きがもう底をつきていた。
私は、恐怖に震えながら
外にでた。
明るく暑い太陽の下、
私は駆け足でコンビニに走った。
そして、出来るだけ買い込むと
私は早々にコンビニを出た。
コンビニは歩いて15分程の所にあるため
走っても10分はかかる。
いつも家にこもっていた事もあり、
体力が落ちていることを思い知らされた。
3分程走ったが、息が切れてしまった、
とぼとぼと歩いていると、
背後から声がかかる。
は!と後ろを振り返ったが
後ろには、見知らぬ女性が立っていた。
シュッとしたスーツを着た女性だった。
私はぽかんと立ち尽くしていると、
文「あの、、、」
女性が声をかける。
え、えっと、どちらさまで?
文「私は黒井 文と申します。(くろい ふみ)
黒井精神病院で監視員をしております。」
彼女は私に一つの名刺を差し出した。
ーーーーーーーー
黒井精神病院
黒井 文 080 ××× ×××
ーーーーーーーー
え、精神病院ですか?
私が困惑していると、
文「白石 ”明美”という女性をご存知ですね?」
え、明美ですか、、?
”明美”という言葉に私が反応しない訳がなかった。
文「少しお時間頂けないでしょうか?」
彼女の言葉に背中を押されたのか、
明美の事という事もあって、
彼女に着いていくの事にした。
家と少し離れた 公園のベンチに腰掛けた。
すると、彼女は一つの封筒を鞄から取り出すと
私に見せた。
文「これです。明美の精神記録です。」
私の目の前に出された、
一つの封筒、それは精神病院で過ごした
”白石 明美”という女性の記録だった。
正真正銘、彼女はあの”明美”だった。
文「彼女の事を詳しくお伝えしましょう。」
そう言うと彼女は話し出した。
彼女は白石 明美。
元々は、佐々木 明美。
彼女は養子です。
明美は、12歳の時、養子になりました。
本当の両親は、母親は病気に倒れ
父親は麻薬中毒者でした。
そのため、学校にも通えず、
家では、暴力を振るわれる毎日、
彼女の精神は崩壊寸前まで追い詰められました。
父親の暴力が異常になっていく中、
明美は必死に耐えたのです。
やっとのことで父親は逮捕されました。
病死した母親と逮捕された父親、
そのため、彼女は養子になることになったのです。
新しい家族ができたのです。
はじめの数日は、楽しい毎日を過ごしていたそうです
しかし、一瞬で変わってしまったのです。
義父親が不倫をしたのです。
毎日毎日、夫婦で口論の日々、
そして、学校では昔の本当の父親の犯罪録など
家族の事などで虐められる毎日でした。
家族に虐めの話をしても
聞き入れてくれませんでした。
挙げ句の果てに、義理の父親にまでも暴力を振るわれ、
そんな暴力に気づいている母親にも無視されたのです。
そんな彼女は、酷い暴力の中
”彼”を生み出した。
それは、彼女であって彼女でない。
一つの”人格”を作りだしました。
自分自信を守るために、
痛みや辛い気持ちを全て彼に受けてもらう。
それが”彼”の役目であり。
全て終わらせるという事が、
”彼”の使命である。
”彼”の名前は、影。
彼女自信が作った。
人格であり、もう一人の自分。
そして、事件が起こりました。
いつもと同じく学校に行った明美(影)は、
私を虐めている、グループのリーダーを
女子トイレに呼び出しました。
リーダーはヘラヘラと笑いながら
彼女を見ていた。
そんないつもの状況は一変し、
リーダーの腕を引っ張り、
女子トイレの個室に引き入れました。
「ちょっと、なにすんのよ!あんた!っ!」
彼女の言葉を聞かず、
そして、頭を掴むとそのまま便器へと顔を押し込んだのです。
ゴポゴポと音を立てて苦しみ必死に水から出ようとする頭を明美(影)は押さえ込みます。
数秒、彼女は苦しんでいましたが、
力尽き動かなくなりました。
それが、明美の初めての殺人です。
そして、義理の両親は
明美を精神病院へと移動させ、
………明美を捨てました。
明美は、黒井精神病院に来ました。
いろいろな精神の回復に繋がる治療をしました。
そして、3年が経過し
明美は少しずつ良くなっていった。
と、今までの私は思っていました。
別人格の存在に気づくまでは、
彼女は20歳になり、
無事、治療も成功して、
今貴方が住むアパートの隣に住む事となったほです。
しかし、私は彼女を見くびっていました。
彼女が退院した後、
今までの監視記録、監視カメラの映像などを片付けている時でした。
一日の中で、彼女の様子が少しおかしな時があったのです。
目を凝らして見ないとわからない程度です。
数分、利き手が逆になる時があったのです。
元々の彼女は右利きですが、
反対に左利きであり、目つきが狂気に満ちているかのようでした。
彼女がもしかしたら、二重人格者なのではと
思い、
上司に確認したのですが、
もう、手続きは終わっており
証拠不十分ということもあり、
明美をすぐさま精神病院へ戻すことは不可能でした。
しかし、数週間前、
事件がありました。
とある学校の生徒の団体自殺、
夫婦殺害と、男性の行方不明、
………お分かりですか?
明美と重ねると全てが繋がります。
生徒の団体自殺、
ニュースでは、詳しくはお伝えしませんが、
明美のクラスメイトです。
夫婦殺害、
明美の義理の両親です。
殺され方はかなり残酷だったと聞いていました
自分を見捨て、痛みつけた両親への復讐でしょう。
男性の行方不明事件
これは、明美の実の父親です。
行方不明という事で、まだ見つかっていませんが、……殺されているでしょう、
今の彼女を生み出す原因とも言われるでしょう、
この三件の事件の犯人は”明美”だと私は思っています。
しかし、証拠はありません。
警察に行こうにも、証拠がなければどうにもできないんです、。
ですから、私は私なりに彼女の事を調べているんです。
彼女は深いため息をついた。
私は、明美の悲しくも残酷な過去を知った。
しかし、明美が何人もの人を殺している
殺人犯だとは、、
ずっと隣に住んでいた、友人が
血塗られた殺人犯であり
仲良くDVD鑑賞などといった行為をしていたと思うと身体の震えは止まらなかった。
ただ、そんな思いの中一つの疑問が湧き上がった。
真也は、真也はなんのために殺されたのだろうか?
今の彼女の話の中に真也はいなかった。
明美が真也に復讐する理由がない、
私はその話を彼女にする事にした。
話が終わると、
彼女は眉を潜めた。
文「まさか、明美がもう一つ殺人を犯しているなんて、、、」
私も信じたくはないが、
真也のメッセージといい、日記といい
明美が関わっている気がしてならないのだ。
文「とにかく、もっと明美の事を探ってみるわ!」
彼女は気合いを入れたかのように立ち上がると
私にも頭を下げた。
文「お時間ありがとう。今日は色々と情報を得られたわ!何かまた分かったらすぐ連絡頂戴ね!」
彼女は、忙しく去っていった。
気がつくともう夕方になっていた。
時間が経つのは早いなぁー
と思いながら、コンビニで買った重い荷物を持ち早々に家に帰る事にした。
そして、アパートに着き、
ドアの前に来た時、ふいに鍵を落としてしまった、
荷物も多かったため、深いため息を吐き、
荷物を一度床に置き、鍵を拾い上げる。
鍵を開けようとしたその時だった。
一瞬の出来事でなにか、タオルのようなもので口を塞がれた、
頭が真っ白になっていく、、、
っ、、、
目を覚ましたが、目が慣れないためか真っ暗だった、
頭が痛く、くらくらする。
頭をさすろうとしたが、両手は動かなかった、
少しずつ眼が覚めていくと
椅子に座っている事がわかる、
そして、両手は縛られている、、
ぽつんと水の滴る音が聞こえた。
私は音の方向に目を向けた、
薄っすらとだったが、
それは、人だった、
びっくりして、私は椅子に縛られたまま横に倒れた、
天井から男が吊り下げられていた。
裂かれた腹の傷からポチャンとばかりに血が流れていたのだ。
雨漏りを防ぐかのように、
男の下にはバケツが何個も置いてあり、
その中には体液なのか、血なのか、
ドス黒いなにかがたまっている。
私は、恐怖で頭が真っ白になっていると
ひとつの足音が聞こえた。
明美「あ、起きた?」
その声はまさしく、明美だった。
私は震える声で
明美なの?と声をかけた。
明美「ん?なに?明美だよ?それが?」
明美じゃない、影だ。
か、影………?
明美「僕の名前知ってるんだーそっかそうだよね、黒井に聞いたんだっけ?あ!そうそう黒井も殺さなきゃ!」
黒井って先程話した、彼女の事……
さっきの会話聞かれていたのか、、?
彼女も、って、私殺されるの?!!
明美「なんで皆邪魔するのかな?せっかく復讐を果たせたのに、
これから自由に生きていける筈なのにさー
僕と明美をまたあの監獄に引き戻すなんて、
酷すぎるよー」
復讐をしても、、それで貴方は満足なわけ?
貴方がした殺人って行為は、
貴方が受けた苦しみより深い罪なんだよ、
明美「は?なに語っちゃってるのかなー?
じゃあなに?明美を苦しめたやつらは正義なのかな?そいつらに罪はないわけ?
復讐はしないで仲良くねーなんてできるか?
あ?」
その人達にも罪はあるよ、
けど、殺すなんて、、
明美「殺すなんて可哀想だよぉーとか言うの?笑 話し合って仲直りしようっ!なんてそんな簡単なもんじゃねぇよ?
今でも、痛みつけられた身体は痛むんだよなぁー心の傷も深いし?」
その気持ちはわ、わかるよ、
けど、、、
明美「わかんねぇよなぁー?お前なんかに分かってたまるかよ!笑
クソみてぇに、部屋にこもってクソ小説書いてるだけのニートさんとはよぉ?
クソ小説なんかで食ってけんのか?あ?」
…………、
私は何も言い返せなかった。
夢の小説家になるなんて、ただの空想で
家に引きこもり小説を書き留めていて、
いつかは、小説家になって映画化されて!
なんて、ただの妄想、
けど、そんな小説を褒めてくれて
読んでくれて、ファンになる!て言ってくれたのが明美だった。
それは、全て嘘だったのだろうか、
あの時のあの表情、嘘とは思えなかった。
明美「あれ?泣いちゃった?ごめんごめんー笑
でも、クソ人間って事には変わりないからさー笑」
ねぇ、
し、真也……
真也は?なんで、殺したのよ、!
明美「え?あ、あぁーアレかー笑
邪魔だったから?笑」
私、手の縄はだんだん緩くなっていた。
その時、真也の事件の真実が邪魔だったからなんて理由だと知り、
悲しみより怒りが強かった、
そして、ついに縄が外れた、
明美「お、怒った怒った笑
仕方ないでしょ?邪魔なもんは邪魔なんだし笑
男は信用ならねぇしな笑」
私は明美の隙をつき、
彼女の腹に突進した。
明美「え、っ!!!」
彼女は床に倒れた、瞬間にとっさに
明美の持っていた包丁を奪い取り、
彼女に馬乗りになると、
包丁を突き出した、
そんな理由だけで殺したの!?
貴方にとって、命ってゴミなの!?!
明美「そこまで言ってねぇよ?笑
けど、まぁ、そうだね笑
邪魔なゴミはポイッてね笑」
そんな彼女の言葉に私は、
持っていた包丁で彼女の頬をかすめた、
シュッと斬り、
血が少し滲む、、、
明美「お!なに?怒った?」
彼女はなにもなかったかのように
クスッと笑う、
真也の事が頭によぎり、
今度は、腕を包丁でかすめたつもりだったが
今度は深く裂いたのか、血が溢れ出てくる。
私ははっと我にかえる。
明美「痛いねーでもさ、僕痛みに慣れてるから全然平気だよ?僕に復讐したいの?
そんな傷じゃ、人間死なないよ?」
明美は慣れた手つきでtシャツの裾で腕を押される。
止血をしているようだ。
見慣れない血を見たせいか、
一瞬、頭がくらっとした。
その時、明美がその隙に包丁を奪い取ると
逆に私に馬乗りになった。
明美「ここ。」
明美は私の左の胸に包丁を当てる。
明美「ここだよ?僕を殺したいならここをどーん!ってさ笑
一突きしたら復讐は完了。
僕も今君の命を握ってるね笑」
私の命を弄ぶかのように、
包丁を揺ら揺らと揺らしている。
明美「そろそろ疲れてきちゃったー
ここにある心臓さんを眠らせちゃおうか!」
狂気の眼つきと包丁を握りしめる
明美の姿に、私は死を覚悟した。
私は死ぬんだ、、
明美「そーーーれ!」
明美は包丁を振りかざす、
私は右手がなにかに触れた
ガラスの破片?
今にも突き刺そうとしている明美目掛けて
渾身の力を込めて、私はガラスの破片を刺した。
すると、一瞬の出来事だったが
明美に命中したようだった。
彼女は左耳を抑えるとフラフラと悶え
座り込んだ、。
やった、私は生きている。
死んでいない、
私の攻撃は彼女の左耳に直撃したようだ
私の手のひらには先程のガラスの破片、
破片の先には生暖かい血が付着していた。
明美「っっ!!!………………。」
痛み踠いていた彼女だったが、
バタンと倒れこむと、
明美「…………あれ、っ!!!!」
明美の様子がおかしい、
あまり状況が把握できていないのか、
私の顔を見て 困惑しているかのようだった。
明美「あ、あ、ぁ、ごめんなさい!!!」
明美は、困惑した後、すぐさま土下座した、
ごめんなさい!とつぶやきながら頭を何度も何度も床にぶつけて何度も頭を下げる。
明美「わ、私は、、」
明美は血を流しながらも何度も何度も頭を下げていた。
どう見てもこれは、
明美だ。主人格の明美だ。
明美、、なの?
ほ、本物?
明美「う、うん、そう、、、」
明美、、、?
明美「ん、、?」
明美、、真也の事、なんで殺したの、、
邪魔だったから?
なにか、秘密でも知られたから
殺した、そうなの?
先程、明美(影)に聞いた事と同じ質問をした。
答えが違うと信じたかったからだ。
明美「違うの、、、」
え?
明美「私は、真也君の事好きだった、」
私は思わぬ返事だった為に困惑を隠せなかった。
明美「私は男の人恐怖症だった、男の人は皆暴力すると思っていたから、、、
真也君と出会ったのは偶然だった、
私の落し物を拾ってくれた。
ただ、それだけの小さな出来事だった。
真也君は私に色々優しくしてくれた。
私は、純粋に嬉しかった。
けど、私の中にある。
男性に対しての恐怖。
それは消えない。
でも、真也君と一緒にいると、
凄く楽しくて、趣味の話色々な話をして
そんな私が憧れていた普通の日常、
どんどん彼と過ごす時間が長くなっていった。
そして、真也君に告白されて、
私は少しも戸惑う事なく、
私も彼の気持ちを受け止めた。
長い時間彼と過ごすたび、
私は、真也君の事が好きなんだ。
と実感したんだ。」
じゃあ、なんで!
なんで殺しなんて!
明美「私は殺してない、影がやったの、
影は、私の男性恐怖症そして暴力、痛みから分裂した私の分身。
ある日から、彼と過ごす時間の中から
影が出てくる事が多くなった、
影が出てくるのは、痛みと苦しみ、復讐そんな感情の時のみなんだけど、
男性に対して酷く強い感情を持っているの、
男性は皆同じだと、
そして、私に代わって、、、
………………殺した。
病院に行った時は、あまり覚えてないのだけれど、泣いていた、、、でしょ?
あの時、トドメを刺したのも、
影なの、、、。
私が、、殺したの、。
明美は涙を流しながら、震える声で話してくれた、。
いつもの明美だ。
今の話が嘘な訳がない、、、
そして彼女は瞼を擦ると、
下に落ちている包丁を手にすると
自分の左胸に押し当てる。
え、ちょ!
私は、慌てて彼女を止めようとすると、
明美は、ニコっと微笑む。
明美「自分の罪は自分で終わらせなきゃ、」
あ、明美!!!
明美「ごめんなさい…………。」
グサッ!明美は自分の心臓に包丁を突き刺した。
そして、彼女は目を閉じた、
私は、明美の死を見た。
彼女が死を覚悟し、
彼女自身を殺め、影を落とした。
私は、警察に電話した。
私の足元に映るのは、
自分の影と彼女の光と影
(サイレンの音が聞こえる。)
「さようなら…………”明美”。」
そして、
私は部屋を後にした。
終。 「明美。」