「。。。」
目の前は綺麗な湖が広がっている。
この世のものとは思えないほど凄く美しく感化される。
何故私はここにいるのか…。
気が付けばここに…。
目的も辿り着いた方法もわからないまま。
今はそんな事考えたくもないんですけどね。
美しい。
この場に来るであろうハッキリ覚えている記憶の数ヶ月前である。
昔から私は人間観察が好きだった。
人間とは美しい生き物だ。
自分とは全く似ても似つかない上に、人それぞれが個人の個性で溢れている。
これはそんなある女性の物語である。
彼女は特別報われる様な出来事もなく平凡な毎日を過ごしていた。
決して頭が良かったわけでもなく。ずば抜けた運動神経もない。何処にでも居るような女子高生…
とある夕暮れの話である。
知らない番号から私に電話が掛かってきた。
出てみると何処か懐かしい。いやずっと一緒に居たかのような風格が漂う。
存在も確かではない者に身をすら委ねてしまうほどのこの温かさは一体?!。
いま確かに分かるのは電話の相手は女性だという事だけだろうか。
彼女は会話に入る隙がないぐらいに、ただただ一方的にマシンガントークを繰り出している。
相手が女性ということしか分からない今彼女の話を聞く前に何者なのか知らなければならないのに。。。
ですが彼女には何故か怒るどころか親密度さえ感じてしまうんです。
何故なら私も同じ様に相手の意見など聞き入れることなく一方的に会話をしてしまう事が多々あるのです。
友人や家族に有無を言わさず、ひたすら話し続け自分を正当化しようとする。
彼女は私と…私と似ている。
親密度さえ感じる彼女の会話にも慣れてきて…だが会話の内容は全く頭に入ってこない…。
同じ人間なんだからお互いに話を聴こうともしないのはあたりまえです。
少しため息が聞こえたでしょうか。
ええ、はっきり聞こえました。「はい」や「いいえ」などの頷きもない私についに愛想を尽かしたのか。ふと会話が止まりました。
感情すら入っていない謝罪の言葉がふと頭をよぎる。
数秒間いや、数分だろうか。
お互いに沈黙を続けて埒が明かない。
謝罪の言葉を述べその後電話を終了すればいいのに…
私の性格上そんなことできるはずもないのに。
結末とは予想外だ。
突如、通話が切れたのだから。
結局彼女が何者なのか、訳もわからないまま朝を迎えてしまった。
一体何が起きたのか。夢とでもいうのでしょうか。
今はただただわからない。
続く…。