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想い出のバラ園  作者: 月野メグ
9/10

第9話 思い出したもの

「秀!!」

和葉が呼び掛けると、秀はこちらを振り向いた。目線を下に向けると、秀は再びバラを眺める。和葉は歩いて、秀の横に行った。

「バラ、眺めてたんだ、キレイだね……」

「……ああ」

秀は素直に答える。冷たい感じは、どこか薄れていた。

「……その、ごめんな、和葉」

「え?」

いきなりの秀の言葉に、和葉は少し驚く。

「昨日、僕が放っておいてくれないかって言っただろ?あの後和葉、泣いたって橋本から聞いたんだ。泣かせるつもりはなかったんだ。本当に、ごめん」

「え……橋本って……加奈から?ううん、いいよ、気にしてないから」

秀がまともに話してくれて嬉しかったのか、和葉は笑顔になって言った。

和葉の頬が、ほんのりと赤く染まる。

「ねぇ、秀、昔バラ園に行ったこと、覚えてる?」

秀のキレイな横顔を見ながら、和葉は言う。

「ああ、覚えてるよ。それをちょうど思い出して、バラ、見てたんだ」

「そっか……」

和葉の心が、じんわりと温かくなる。何だろう?この幸福感は。

「そのバラ園でね、二人で約束したこと、覚えてる?」

「約束?」

「うん、私、今それを思い出したの」

秀は首をかしげる。

《私達は大切な友達。何かあったら、どんなことでも秘密無しに話すこと》

「……!」

秀も何かを思い出したようだ。

「でね、これは私の一方的な約束」

秀は薄茶色の瞳を大きく見開いた。

「よくそんな昔のこと、覚えてたな」

秀の顔が、少しほころんだ。

「秀は覚えてないの?」

「いや、うっすらと覚えているよ」

秀はクスリと笑う。まだ元気はないが、元の秀に戻った気がして、和葉はすごく嬉しかった。

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