蹂躙
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『・・・想像してたより少ないかも。』
所定の位置に近づいて行くと、段々とプレイヤー達の姿が見えて来たのだが、大討伐にしては集まる人数が少ない。
普段ならば千人は集まるんだけど・・・
『ってそりゃそうか。アップデートの日だし、新しいマップ行ったりしたいもんね〜』
それにたかだか最初の街に出るレベルだと思われてるだろうし・・・
『まぁ、少ない方が助かるけどね』
うんうん、気にしても仕方ないし、深く考えるのはやめよう。
さて、そろそろ着くし、さっき考えた感じに登場しようっと。
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『どや?カッコいいでしょ?ねぇねぇ、カッコいいでしょ?』
森の奥から風が吹く→威圧感(魔法いっぱい)を出す→姿を現す→吠える
うんうん、カッコいいと思う!まぁ、風吹かせるだけのつもりが何でか鎌鼬的なのが出たけど・・・カッコいいからいいよね!
しかも何人か当たっただけで倒せたしね。火力どうなってるんだろ?
「やつが今回の討伐対象だ・・・正直、勝てる気は全くしない。しかし、ここで引くわけにはいかない!何故なら後ろには守るべき者達がいるからだ!」
あれは確かギルドマスターだったかな?相変わらずダンディだなぁ
そう言えば、仮に僕が勝ったら街がしばらく機能しなくなるんだったかな?
うーん・・・人に迷惑は掛けたくないけど、最初にやって来たのはそっちだからね?そこら辺忘れないでね?
「魔法使い、及び狩人達は攻撃を開始。近接職は奴を近付けさせるな!支援職は彼らの支援を!」
さて、それじゃあ始めようか。
『いざ!尋常に勝負!』
―――――
「はっや!」
やべぇよあいつ!なんだよアイツ!足はっや!攻撃力たっか!え?これどうすりゃいいの!?
いやいやだってね?まず走りながら後ろにあった魔法撃ってきたんだけど、最上級職の聖騎士が一撃で体力半分持ってかれたんだよ?
支援職の人もめちゃくちゃ頑張って回復させたりしてるよ?でも間に合わないのよ!回復してもだいたい一撃で体力消えるんだもん。
次に魔法使いとか狩人とかの攻撃ね。
ほぼ当たってないのよ。全部避けるか魔法で相殺。もうめちゃくちゃでしょ。
・・・勝ち目、あるのかなぁ。
――――――
これはヤバイ・・・楽しすぎる・・・。
いやもうこれ勝ったでしょ。聖騎士ですらまともに食らったら即死だし、素早さが凄いから回避がすっごい楽だし、
『《スカーレットフレア》!』
大きな爆発と共に赤黒い炎が撒き散らされ、その炎当たったプレイヤーはもれなく体力が尽きるまで燃やされる。
火力が高いのに魔力は無尽蔵。誰も倒すことの出来ないモンスターでしょ。
『それにッ!』
戦士が振り下ろしてくる剣を避けると、追い打ちとばかりに飛んできた魔法を魔法で相殺する。
『僕もそこそこにはこのゲームやってるしね!』
普通のモンスターのAIでは出来ないことが色々出来るから、どうやっても勝つ未来しか見えない。
『これじゃあまた苦情が来るんじゃないのかなぁ・・・?』
モンスターのステータスがそもそも高いのに、中身が人間っていうのはやりすぎ感がある。
と、そうこうしている間にもうプレイヤーは半分位しか居なくなった。
もうこれは楽勝かな?と思った時、
「オイオイなんだ!楽しそうなことしてるじゃないか!」
真上から突然声が聞こえ、上を見ると――
・・・大男が、目前に迫っていた。
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