人は幼神と妖塊の間に挟まれるか?
前回の魔界生存録は!
ユート「タイトルちがーう!」
真理とダアトが仲直りして一件落着……とおもいきや! そこで終わらないのが和久名流!
真理「はぁ?」
ダアト「まるで意味が分からないわ!」
それでは本編をどうぞ
ユート「ほぼ振り返りすらしないただの予告だこれ!」
「……あのさぁ、2人とも……何をやっていたの? 頬がスゴい赤くなってるんだけど? あれだけの事があったのに、最終的に喧嘩でもしてたの?」
真理ちゃん達の元に急いで駆けつけたは良いのだが、大した怪我は無かったものの、まるで喧嘩後のようだったというか……しかも喧嘩して友情が芽生えたどころか以前より険悪にさえなっている気がした。
「躾と称しての暴力があったんだけどさぁ……家庭裁判所まで行く案件だよねぇ? ユート?」
「都合の悪いときだけ自分を子供扱いとは……まるでモンスターペアレンツね、小杉遊斗?」
「僕に振らないで! あと、どういう経緯があっていつも通りに戻ったの!? 怨敵を見るような殺意に満ちた目でダアトちゃんを見てた(らしい)のに!」
「うん、まあそういうこともあるよねぇ? 早く氷で冷やしたい〜……」
そんな事はどうでもいいと言わんばかりに、真理ちゃんは僕の腕にしがみついた。
「いやいやいや! 何があったの! ちゃんと仲直りしたの!?」
「まあ……そうなるわね」
「じゃあ何があって」
「分かった、教えるからそのダアトオバサンを島流しにして?」
「……考えておく」
考えるという事自体が嘘だけど。
「…………神河真理、人間の創造した物語にはこのような言葉がある……『人を殴るときと、挑発に無駄口を叩く前は殴られる覚悟をしておけ』とな……頬を差し出せ」
真理の答えも聞かずに、パァンという音が暗い森に響いた。
「…………」
「…………」
パァン! パァンパァンパァンパァン!
「……子供相手にムキになって恥ずかしくないのかなぁ? オバサン?」
「黙りなさい、これは躾よ」
「そっか。じゃあボクのも躾になるかなぁ? ダアトちゃん?」
「無駄口を叩いている隙に叩かれる覚悟はしているのかしら……!」
「やれやれ、これだから見た目は子供中身はおっきな子供のオバサンは……!」
「みたいな事が、仲直りした後にあってねぇ……」
完全にダアトちゃんが大人気なかった……どう考えてもダアトちゃんの責任が一番だった。
「ダアトちゃん、とりあえず謝ろう。話はそれから」
グーで顎を殴られた。
……補話的に、ダアトと真理を追った可哀想なミーミルの話をしよう。
『ミーミル、まだ真理達は見つかっていないのかしら?』
「こちらミーミルデス、2人ともまだ見つからないのデス」
ミーミルは苛立っている本心を隠しながら、イズモの側に寄り添っているルシフェルへと探索状況を報告した。
目的が2人の探索であるために、勿論といってしまえば勿論ではあるのだが、迂闊にも中空を飛びながら前方斜め下しか見ていなかった。
かといって、木に正面衝突して墜落したために、ユートに先を越されたのではなかった……
上方から飛来する妖艶な黒い影に気付けなかった為だ……
影の主は魔皇リリス、魔界全土を統べる女王にして、魔界における善意のトリックスターであった……
「隈無く探してるのデスが、まだ発見できてないの」
「うふっ、ライダーキック。かしら?」
「ですぅぅぅぅぅぅぅ!」
哀れ、ミーミルは嫌な予感を察知出来なかった為に、ミーミルによる探索を良しとしなかったリリスによって泉へとたたき落とされていたのであった……




