表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
90/124

人は拾った幼神を保護出来るか? その9

「……クク、怒りに身を任せ我を斬ろうとするか……」

 仮面の男が口を開いたが、即座にその顔は縦に斬られた……

 ……魔力の剣は魔女先輩に使うなと言われた禁じ手だが、切り刻んでも斬り刻んでも気が済まないこいつを斬るにはこれぐらいしなければなるまい……

 魔女先輩やラト、それに真理ちゃんを傷付けただけでなく……もし本当に『禁誘屍人デッドマン』というニャルラトホテプなら……かつて人間だった頃の魔女先輩やラトを言葉巧みに唆したような悪人だ。

「無駄だ人間風情が!」

 仮面の男が首を掴んで持ち上げてきたが、両腕を斬って再び急所を斬る……

「不死身の『禁誘屍人』たる我にそのような温い攻撃が通用すると思うたか!」

 今度は『禁誘屍人デッドマン』の抜き手が頬を掠めたが、一切顧みず首を落とした

「やめやユートはん! そいつの命削るには効率悪すぎや! それに……そもそも、アンタの体が耐えきれんやろうが!」

「…………止めないで……下さい……」

 『禁誘屍人』の心臓を貫き、魔女先輩に対して呟いた……

「その手は最後の手やから、使わな死にそうな時か確実に相手を殺せる時にしか使うなゆうて」

「…………こいつを殺し足りなくて殺せなくても……僕が……絶対に殺して……」

 脳天への狙いが逸れて目を貫いた……

 ……予想以上に消耗が激しく、疲労状態からくる眩暈で狙いが逸れてしまった……

「………………」

 限界まで刺し続けていたからか、口を開くのも難しい程の疲労が僕の全身を襲った……

「………………ま、だ……」

 まだまだ戦いたかったのに、僕は眠るように倒れた……



「ク……クク……クハハハハ! 所詮は愚かな人の子の業、これでは犬死にではないか!」

「ユートさん!」

 『禁誘屍人』はボク達の目の前で、まるで見せしめのようにユートさんを持ち上げた……

「こいつの命が惜しいか? クク……ならば選ばせてやろう、神河イズモの命か! こいつの命か!」

「…………」

「卑劣な奴デス……!」

「そんなん……選べるわけないやろうが!」

 『禁誘屍人』は片手でユートさんを掴みながら、もう一方の手でダアトちゃんを指差し言った……

「ダアト、貴様が選ぶのだ……片やわずかな時間とはいえ仲良くなった少年、片や切札である神の少年……貴様はどちらを殺し、どちらを生かす?」

 ダアトちゃんは肩を震わせながらボクの方を振り向き……

「…………ごめん……なさい……神河、イズモ……」

 ボクへと歩み寄り、手に握っていたナイフでボクを刺した……


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ