人は拾った幼神を保護出来るか? その3.5
ダアトちゃんが退屈だからと世界を滅ぼそうとしたので(色々とおかしいがツッコんではいけない)、仕方がなく午後の授業もサボらされ、2人で遊びに行くことになった。
……何故か少し離れた魔界の街に。ちなみに、ファンタジーRPGでよくある城下町をイメージすればだいたいあっている。魔界なのに……
「……まあ、悪くはないわね」
「ねぇ、ダアトちゃんは何様のつもりなのかな?」
雲の上から見下すような上から目線に、ついついツッコんでしまった。
「さて、小杉ユート……なにか美味しい物を奢りなさい」
「……まあ、そうなるよね……」
流石にいつもの半分だったので、2時間の移動時間で既に少しお腹が減ってきた。
「じゃあ、どこかにクレープとか」
「あらぁ、あなたが小杉遊斗さんかしら?」
歩きだそうとし、急に後ろから肩を掴まれた……肩を『掴まれた』……
逃がさないと言わんばかりに、痛くない程度の強さで肩を掴まれていた……
嫌な予感を感じて、背後を振り返ると、ディアさんのお姉さんらしき人が僕の手を握りしめていた。
「ちょっとお話、いいかしら?」
選択肢を間違えたら即刻DEADエンド直行のこの場面でNOと言えるほど僕のメンタルは強くなかった。
「わたくし、現魔王ディアちゃんの母親で、魔皇のリリスなの」
半ば強制的に連れてこられた喫茶店で、ディアさんのお姉さんらしき人、もといリリスさんが三つ指をついていた。
他人事だと思っているのか、ダアトちゃんがケーキを食べながらコーヒーを一口飲み……僕の頼んだアイスティーとトレードした。
ダアトちゃんには後で色々言わなければなるまい。
「……あの、僕に何か用事があった、の、ですか……?」
「ええ、わたくしの親友のミロンにあなたを誘拐して欲しいって頼まれ」
「ダアトちゃん、支払いはこの人に任せて逃げるよ?」
「冗談よ……あの子は今あなたにバーニングラブを伝える為の特訓をしに、ガイバーン火山に行っているの。それと……ディアちゃんの数百倍は強いわたくしに勝てると思っているのかしら? ねぇ、小さな神ちゃん?」
「んぐ……っ……! と、突然話しかけてこないでくれるかしら?」
「あらあら、イズモ君と同じくらい強かったダアトちゃんがケーキを喉に詰まらせかけたぐらいでそんなにかっかしないでちょうだい?」
「だ、誰がそんな些細な事で……って、あなた、いったいどこまで知っているの……!?」
ダアトちゃんが突然音を立てて立ち上がった事で、周囲からの目線が強くなった……かと思いきや、向かい側にリリスさんが居たからか、即座に目線を逸らした。
「5年前にあなたがイズモ君達と戦った後何があったのか、あなたが力を失った原因……更にいえば、どうすればあなたが再び神の力を取り戻せるか……だいたい知っているわ」
「……あなた、いったい何のつもりかしら? 全て分かっているというのなら、わたしがとりねない行動のリスクも分かって……」
「そうね、でもまあ……今のあなたには教えられないかしらね?」
「知っている」とは言ったが「教える」とは確かに言っていない。しかし、しかしだ。力を失っている(じゃあ世界を壊す発言は嘘かな?)とはいえ神様を手玉にとる辺り、かなり無謀に思えた。
「……あなたがわたしをコケにするというのなら……わたしはこの魔界を」
「破壊出来るような力もないでしょう? 今のあなたが使える神力はせいぜい角砂糖を粉々に粉砕するぐらいの威力よね?」
「………………」
あ、黙った……ひょっとしなくても図星なんだ。
「弱体化した破壊と創造の神である今のダアトちゃんが、幸福の神であるイズモ君に勝てる可能性は、イズモ君の手加減を抜きにすればだけど、わたくしが全力で遊斗さんの童貞を奪いにいって遊斗さんが無事にあひらずに居られる確率とほぼ同じくらいかしら?」
そんな、縁起でもないと言いたくなるようなたとえ話をされた僕はそっと椅子を後ろに下げた。
「あくまでも喩えよ。あくまでも……ね?」
リリスさんの飢えた狼のような眼光を察知した僕はそっと席を立ち、一目散に逃げ出した。
「さてダアトちゃん、遊斗さんが居なくなってしまいましたし、ガールズトークをしましょう? 遊斗さんの前では話せなかった事を……ねぇ?」
「……最初からそれが目的だったのかしら?」
「さて、どうかしらねぇ?」
睨み付けるダアトの視線を受け流し、リリスは飄々と続けた。
「あなたが力を取り戻す方法……一応教えてあげるけど、2つばかりお願いを聞いてもらえるかしら?」
「……まあ、条件次第では……聞かない事も無いわね……」
「そう、それじゃあ一つ目の条件は、イズモ君と妹の真理ちゃんを傷付けない事。そして2つ目は……くれぐれも『禁誘屍人』という男の策中に嵌らないように用心してちょうだい、ね?」
「……肝に銘じるわ」
「それじゃあ、あなたが力を取り戻す方法だけど…………」
別にイズモちゃん君さんお兄ちゃんの設定(後付けとも言う)は本人の異能生存体(ダアトによる直接的干渉を除く)ぶりに思い付いたわけでは……ありませぬ
以下、本編に載せるまでもない(オイコラ)エキドナさんの火山での修行シーンです
エキドナ「ファイヤー! からの、バーニングラーヴ!」
サラマンドラ「温い!ナメてるのかお前! そんなんで娘から男の子寝取れると思ってるのかこの化石オバサンが!」
エキドナ「オバサンって言うなー!」
サラマンドラ「もっと熱く!」
エキドナ「バーニングソウル・ヴァジュラァァァァス!」
サラマンドラ「今の熱さで大技!いいよこいよ!」
エキドナ「バァァァァニング・ラァァァァァァァァブ!」
サラマンドラ「あつぅぅぅぅぅぅぅぅい! 説明不要にあつぅぅぅぅぅい! 今の熱さを忘れない内に火山に浸かってこぉぉぉい!」
エキドナ「イエスマム!」(補足:女性に対してはサーではなくマムが良い…らしいです)
サラマンドラ「……なかなかの熱さだな、あのエキドナ……ったく、どっかに良い男でも転がってねぇかな~?」




