人は魔王に認められるか?
ネタバレ:変態お断り
一週間の特訓を経て、合格ラインに到達したと判断されたのか、僕達2人は王座の間に招かれた……色々と違いはあるが、シチュエーションとしては王様が勇者を送り出すような場面に近いだろう。本来冒険の目標となるべき魔王は目の前にいるのだが。
「ユウ、そしてユート……あなた達はわたしとコンコルドの試練をよく乗り切ったと思う……あまり期待していなかったけど、予想以上の戦力になりそう……」
「はい! ありがとうございます! おっぱい揉ませてください!」
「変態君はこういう時ぐらいは自重して……」
ディアボロスさんとの防御特訓をしていた僕には分かったのだが、「揉ませて」という言葉の辺りで変態君の耳をめがけてもの凄い勢いの包丁が投げつけられていた。
「……コンコルド、この変態の矯正を……」
「すまんなディア、そいつは根っからの変態だったらしくてな……それこそ、記憶を飛ばしでもしない限り」
「一周回ってダメでした」
「………………」
「………………」
両手をワキワキさせている変態君を「ダメだこいつ」と言わんばかりの顔で見るコンコルドさん……ディアボロスさんは顔には出さなかったものの、そう思っているという事は明白だった。
「嫌ですね皆さん、変態じゃないぼくなんてそれはぼくじゃなくて永本ユウという別人じゃないですか?」
「とりあえずお前はちょっとは隠す努力をしろよ。モテねぇぞ?」
「………………………………」
「何故そこで黙った」
「自分、現状でもモテてるので良いッス」
嗚呼、どうして彼はアダカさんという人がいながらもそれで満足せずにハーレムを広げようとするのか……
これこそが強欲という人の大きな罪なのか。
「……ユート、とりあえずあなたはマコトの組織に内定。変態は……お祈り」
就職氷河期のこの御時世、企業からのお祈りが珍しくなくなってきている中においても、ここまで酷い仕打ちは有り得るのだろうか。一週間の研修期間のみでクビとは、あまりに悲しい結末ではないか……
次回からギャグ軸の中長編の予定です。若干前作(というよりイズモの過去)の要素も入りそうですが、読まなくても問題無さそうです。
ダリナンダアンダイッタイ




