人は魔王と稽古出来る……か?
A.出来ませんでした(小声)
「遅い」
「……っ」
基礎練習として行った特訓でさえ、ディアボロスさんには一蹴されてしまった……おもちゃのハンマーによる一撃で。
「…………あのディアボロスさん、何の特訓ですかこれ?」
「瞬発力の特訓、あなたが一撃でもわたしに攻撃出来れば、もしくは一撃でも防げば」
「違いますそうじゃないですもっと根本的な場所です…………なんで僕達こんな遊びをやってるんですか?」
「遊びじゃない、真面目な事」
命も世界も、プライドさえも賭けていない「叩いてかぶってジャンケンポン」を真面目にやれと言われても、ちょっと困惑してしまう。命を賭けた遊びはVRMMO(ただし創作だが)やカードゲーム(創作……?)ぐらいしか知らないし、ましてや世界を賭けた遊戯なんてカードゲーム(創作)ぐらいしか知らない。
「……真面目にやらないのなら、わたしにも考えがある」
僕の表情からなんとなく察したのか、ディアボロスさんはそう言って懐から包丁を取り出し、僕の目の前のテーブルに突き立てた!
「…………え、あの、いったいこれは」
「……もし本気でやらないのなら……グサッと」
「今までのはノーカンにしてください! 今度から本気でやりますから!」
この後無茶苦茶コテンパンにされた。
「…………はっきり言うけど、ただのかかしを相手にしているのかと思った位に弱い。コンコルドに基礎レベルを叩き込んでおいて欲しいって頼まれたけど厳しい……」
「ぐむぅ……」
余りにも弱かったからか、今僕は正座させられた上でディアボロスさんに睨まれている。変態君にとってはご褒美だったかもしれないが、僕にとってはただの説教だ。
「……単刀直入に言うけど、諦めたら?」
「…………あの、半ば強引にやらされたのにそんなバッサリって……酷くないですか? というかなんで僕を選んだんですか?」
「……あなたと変態以外に条件を満たすような人を探すのが面倒だから……」
「……条件?」
「……うん。魔界との交流が多い人間で、無職もしくは就職先が決まっていない学生で、魔人達への好感を持っている人間……さらに魔人に好かれやすい性格及び体質となると、あなた達2人しかいなかった……アダカ以外の子が留学した所も、手違いとかでパートナーが3年生か家業を継ぐ子しかいなかったから……イズモは神をやっているし、マコトはメタトロンが嫉妬深いから……」
長々と説明されたが、要は僕と変態君しか候補がいなかったという事らしい。
「……仕方がないから、説得役に特化してもらうしかない……かも?」
「……最初からそうすれば良かったんじゃないですか?」
「…………あのへんた……変態と組んでもらうつもりだったけど、あなたにはミラ達と組んでもらう。変態には……来世までの地獄にも付き合ってもらえるような子達と組んでもらう」
「あ、はい」
「…………特訓する日にはミラを通して呼び出すから」
「分かりました」
そんな流れで今日の特訓は解散となった……一方的に叩かれただけの気がするが。
魔王様がちょっと辛辣ですが、妹分のお気に入りなのでまだ全然優しいのでしょう。夫にはヤンデレですが……




