氷獄竜と恋愛狩人
「この変態が……! 恥を知れ変態!」
「アバーッ!」
最早日常茶飯事でチャメシ・インシデントな出来事になってきたが、またしても変態君がドラグさんにセクハラを働いた結果お仕置きされた。ちなみに今日のお仕置きはアッパーだった。非常にどうでもいいが。
というか、変態君は何がしたくてここまでドラグさんにセクハラを働くのか……毎回返り討ちに遭うが、何がここまで変態君を駆り立てるのか……今の僕には理解出来ない。
「…………ぐふぅ……ボクは……まだまだ……戦え……パタッ」
…………そっとしておこう。
「ねぇねぇ遊斗君、ドラグ姐さんに好きになってもらうにはどうすればいいかな?」
蘇った変態君が、開口一番に僕に相談してきた。
「変態君みたいな不誠実極まりない人があのドラグさんと恋人同士になろうとするのなんて、マッチで永久凍土を溶かすような無謀な挑戦だし、諦めたらいいんじゃないかな?」
かなり冷酷な回答だったがなかなかに的を射た回答だったハズだ。
2ヶ月弱一緒に暮らしてきて思うのだが、ドラグさんの好みは分からなくとも、変態君がドラグさんの好みの真逆に位置するのはなんとなく分かる。
だって変態君への態度を見る限りでは明らかに嫌っている感じだしね。
「無謀? 無謀って何さ、それって挑まない事に対する言い訳じゃないかな?」
「……いや、でもやめた方が」
「いいや、ぼくは行くよ! 壁は高いほど越えたくなるじゃない!」
そう言って変態君は諦めることなく、再びドラグさんへと突撃していった……
変態君はドラグさんにボコられて倒れてしまった。これからも変態君は懲りずに変態的な事をし続けるのだろう。
「それでもぼくは諦めないよ! 屈しないんだよ!」
言ってることはかなり良いことなんだけどね、うん……とりあえず変態君は今の2割で良いから変態的言動を慎むべきだと思う。
「まったく……本当に腹立たしい!」
ドラグはそう言って持っていた資料を机に叩きつけるように置いた。
「おいドラグ、いくら超弩級の変態君ことユウに引っ付かれてるからって八つ当たりは」
「分かっているのならば何故注意をしなかったのだ! ギン!」
鬼のような形相で睨み付けたドラグに対し、ガイギンガは流すようにこう言った。
「いや分かっているけどなぁ……自覚してねぇだろうが、ユウに制裁を加えてる時のお前がイキイキしてるっつーか……楽しそうっちゅーか……まあ、ビミョーに嬉しそうな顔をしてるから、なんか止めづらくてな」
「…………、…………愚図め」
「ぐっ……! いくらなんでも愚図は酷くねえか!?」
「知らんな、観察力の無い貴様にこれほどちょうど良い渾名はないであろう?」
ドラグは八つ当たりするように呟きながら、一番上に乗った資料を読み込んだ……
……その資料に書かれている陳情を読んだ直後、資料をビリビリと破き、そっとポケットにしまった。
「ギン、ちょっと用事が出来た」
「ちょっと待て、今破った資料を寄越しなさい」
ちなみに、資料にはとある変態によるセクハラの被害報告がかかれていた。
ドラグさんがデレる予定は今のところありません。遊斗にも変態にもデレる予定はありません。別に自分がしなくてもいい変態へのお仕置きを率先してやっている辺り、隠れサディストなのかもしれませんが……




