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変態は真人間になれるか?

前話と順番が逆?聞こえんなぁ~?

「ミラちゃんの下半身ヘビ、この鱗の紋様が素晴らしいよ、ホント……」

 変態ユウ君ことユウ君が、ミラさんの下半身を撫でていた……

 ただ、いつもアダカさんにするセクハラのように変態的な手付きではなく、まるで本物の動物を撫でるような手付きだった……

「ふん、変態にしては良い観察眼を持っていますのね」

「ミラさん、僕は変態じゃなくて紳士なんだよ」

 いつもの変態ユウ君なら変態という名の紳士だろうとツッコんでいたかもしれないけど、今のユウ君は変態ではない紳士だ。マトモな意味での紳士だ。英国紳士も裸足で逃げ出すほどの紳士なのだ。

 ……どうしてこうなった。どうしてこうなった。どうしてこうなった!

「…………ねぇユート、正直言っちゃいけないけどさ……キモくない? 今のユウ」

「それは いけない 考えです」

 カタコトっぽくなってしまったが、正直今のユウ君は違和感しかない。違和感100%だ。違和感単色だ。

「ユウ……」

 僕達としては(相当違和感があるとはいえ)こちらの方が良いのだが、今の状況を気に召さない娘が一人いた……

 変態ユウ君の彼女、アダカさんだ……変態ユウ君のセクハラに慣れていた彼女にとって、今の変態ユウ君じゃないユウ君はもはやユウ君ですらないのだろう。

 こんなユウ君に誰がした。犯人は誰なのだ。というかなんでアダカさんは僕の部屋にこの案件を持ち込んだ。ちなみにドラグさんは生徒会室でドツキ漫才の最中だろう。

「ぼくは美しい物が大好きだもん、もちろんアダカさんの事も大好きだよ」

「……!?」

 ユウ君が変態じゃないけど変な性格になってるんだけど……ギザったらしい元変態ユウ君なんて、絶対に放っておくわけにはいかない。

 万が一にもこの元変態ユウ君が開放されて所構わず口説いてオトした後に変態ユウ君に戻ろうものなら……ラク○ンシティで起こった生物災害バイオハザード以上のパンデミックが起こるだろう。

 ……想像しただけでも恐ろしい。あのイズモ君さんでさえついかっとなって炎の洪水インフェルノウェイブで全て流しかねない。

(グイッグイッ)

「……ん?」

 裾を引かれ振り返ると、ピンク色のウサギが裾を引いていた。

「…………あ、もしかして魔女先輩から伝言?」

(コクッコクッ)

 あまり部屋の外には出てきてないので、魔女先輩にはラト以外にも助手がいることを忘れかけていた。

 この子は説明しなくても大体想像がつくだろうが、いつぞやのゴーレムの中の人(幽霊だったが)だ。

(ブンッブンッ)

「え……?」

 思いっきり手を振っている……というより、手招きしている?

「……来いって事?」

(コクコク)

 どうやらユウ君には秘密の話のようだ。


 こっそりミラさんと真理ちゃんを連れて部屋から抜け出し、魔女先輩の部屋に向かうと……

「このまま変態ユウをほっといたら、後に待っとるんは世界の破滅や!」

「な、なんだって……!?」

「なんで!? 超展開なんで!?」

 この部屋はいつからMMR(魔女先輩ミステリー調査隊)になったのだ。というか話が飛躍しすぎていて、まるで意味が分からない。

「ッシ全員揃ったな? 丸太持ったな? ……ってなんでやユートはん! なんで丸太を持ってきとらんのや!」

「……ユート、どうして丸太を持って来なかったんだい?」

「……いや、知らないしそもそもなんで丸太が必要なの?」

「吸血鬼を相手にするのに丸太は必須だよねぇ〜? ユートは知らなかったのかなぁ〜?」

「まあ、知らないのも無理は有りませんのよ。こちらの世界だけの常識だから知らなくて当然ですの」

 色々とツッコみたいのは山々だったが、そっとしておくことにした。

「アタシらとしても想定される最悪のシナリオでもまだ初期段階の内にいきなり武力行使っちゅー真似はしたくないわけやから、丸太はなかったら無かったでええよ。ただ、な……ちょ〜っと軽くて人を殴って気絶させられそうなもんがあったらええかな〜と思っとるわけやさかい……な?」

(ガサゴソ……テッテレテー)

「鉄パイプ! あんがとな、ラビ!」

 ……なんでこの子ラビに鉄パイプなんか持たせてるの?


 そんなこんなでユウ君の根城と化した666号室にカチコミ(突入、ではあるのだがこちらの方が状況を良く示していなくもない)しに行き、まず初手に魔女先輩が魔法で皆を昏睡させてユウ君を鉄パイプで殴った。

 『昏睡DV、暴力ヒロインと化した先輩』だった。

「……これにて一件落着やな?」

「…………まあ……一応は、かな……?」

(…………コクッ)

 身内からも暴力的過ぎて引かれている魔女先輩の心境や如何に……?


「アババババババババババ!」

「変態! ヘンタイ!」

 あの後、目が覚めた……というより、ダリアさんに叩き、もとい刺し起こされた……ユウ君は何故か気持ちよさそうな顔をしながら、戦国式陸上競技をやらされていた。

「アバババババッ、次はお尻に欲し」

「断ル」

「アバッー!」

 ……あまりにも変態的……もとい残虐なため、以後の変態ユウ君達の状況などは省略とする。これ以上は僕の精神も限界だし。

 この後の変態ユウ君だが、変態ユウ君に落ち度はないと判断されてお咎め無しで済んだ。

 ……ラトと魔女先輩の追加攻撃で、精神的肉体的マゾの変態ユウ君はほぼイキかけたが。


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