人は学を修められるか?その5
変態VS働き蜂娘……ファイッ!
「アバババババ!」
「変態メ……貴様如キガイアリ様ニ近付コウトスルナド、百万年早イ!」
「ダリア、やりすぎはよくないですわよ?」
2日目の夕方、変態君が諸事情あってホテルの周辺で合流したイアリちゃん達(そもそも学生じゃない気がするんだけど)に近付こうとして、ハニ子さん(仮)もといダリアさんに細い毒針で滅多刺しにされていた。
道端で危険を省みず、そして彼女も省みずに突撃する方もする方だが、それを放置する彼女も彼女だし、滅多刺しにする方もする方だ。
さっきから少し離れて観察しているのだが、地元のおばちゃんは生暖かい視線を2人に送るわ、観光客はビデオで撮るわで散々な目に合っている。
ところで、十中八九アナフィラキシーショックを起こすんじゃないかと思う程に刺されていたけど、何故か(おそらく変態君だから)恍惚とした表情をしていたので本人としては満更でもないのだろう。
「ところでチビ、なんで学生ですらないあなたが修学旅行に着いてきたんですの?」
「マコトとかいう人間がハニーと一緒の修学旅行を許可したのですわ、デカヘビ」
2人の間で見えない火花が散っている間にも、変態君は滅多刺しにされ続けていたが、2人を仲裁しろと言わんばかりにダリアさんに投げられ、ようやく解放された。
「…………ぁ、なんでぼくが働き蜂だけで……遊斗さんは女王蜂ちゃんを……」
変態が悪役寄りのライダーのような事を口走っているけど、そっとしておく。変態君が「代わってくれないかなぁ?」などと口走ってもう一回滅多刺しにされない事と、話をややこしくさせないためだ。
そんな変態君を見かねてか、アダカさんが変態君に駆け寄った。
「ユウ……大丈夫?」
「…………今日の夜……一緒にお風呂……お風呂で可愛い女の子の触手でニュ」
「イアリ様ニオゾマシイ知識ヲ植エ付ケルナ!」
「くっはー!」
ドドドドドドドドドド、と16発/秒の突きが再び変態君を襲った……
今回に関してはちょっと理不尽かもしれないとはいえ自業自得だから、放っておこう。後で救助はするけど。
「…………アダカ、ちょっと同情しますの……」
「流石にハニーがあんな性格だったら……嫌ですわね」
アダカさんを挟んで、2人ともとりあえず和解したようだ……
……ところで、ダリアさんは変態君に何発打ち込むつもりなんだろうね……秒16発のペースが維持されてるとすると、かれこれ1分、60秒で……960発。
「もうやめてあげて! 変態君のライフはゼロだから!」
「じゃあさ、ぼくのかわりに……しん」
「あと1分延長して、どうぞ(妖怪手の平返し)」
「…………仕方ナイナ。他ナラヌ婿殿ノ願イダカラナ」
「ひえぇぇぇ! ひ、ひえぇぇぇぇぇぇ……」
この後無茶苦茶細い針で刺されてた。
「死ぬかと思ったー……」
「普通の人間なら確実に死んでたでしょ……なんでピンピンしてるの……?」
あれだけ刺されておきながら10分で復活したが、変態君の生命力は無限に近いのだろう。
変態「毒針?効きませんよ。ぼくは変態ですからね!」
???「自信満々に言うな!」




