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人は学を修められるか?その2

「ここは金閣寺、金閣寺であります。この金閣寺、見て分かる通り金箔が貼られているのであります。ちなみに相方の銀閣寺がありますが、諸事情によりそちらの方は銀箔が貼られていないのであります……いわゆる大人の事情というものでありますな」

「説明する上で何一つ間違ってないのが逆に腹立たしいですね本当に……!」

 銀閣寺にはオリハルコンが使われているなどと言い出したらどうしようかと思っていたから、常識の範疇で済んでいて良かった。……良かったのかな?

 ちなみに、銀閣寺に銀箔が使われなかった大人の事情とは、時の将軍足利義政が祖父の足利義満に習って銀閣寺(こと慈照寺)を建てたのだが、応仁の乱の直後だったために幕府の財政事情から銀箔を貼るのを断念した……という説を取った説明なのだろう。

 まあ、調査によって銀箔は貼られていなかったという事が証明されている以上、大人の事情という誤魔化し方で問題ないのだろう。

「ちなみに金閣寺の一枚天井という落語がありまして……(中略)……つまり、金閣寺はいくつもの板が合わさっている天井であるため、一枚天井は存在しないわけであります。……さて、そうすると、どこぞのかぐや姫が投げている物は何なのでありますか?」

「知りませんよ」

 というか僕を含めて修学旅行生はほとんど聞いてなかったのに、よく10分以上も説明しましたね、本当に……

「…………観光客でさえ、誰も聞いていないわけでありますか……」

「ねぇメタトロン、やっぱり金閣寺は自由行動にしておいた方が良かったんじゃないかな? だってほら、今だって自由行動じゃないのに観光客の人達と色々やっちゃってるし」

 マコトさんが指差す先には、外国人観光客に絡まれるみんながいた……

 まあ、まだ日本以外どころか日本でも極一部の街を除いて珍しい光景だから仕方ないね。


「次は清水寺でありま……あ、ディアボロス殿、清水の舞台から飛び降りる覚悟とは言うのでありますが、邪魔な従弟を落とすのは勘弁願いたいのであります。いくら……(ディアさんの小声)……まあ、仕方ないからバレないようにお願いしたいのでありま」

「バレたら犯罪だよ2人とも!」

 マコトさん、ツッコミお疲れ様です……僕はミラさんの尻尾を掴んで万が一にも転落しないようにしてるので精一杯でした……


「なんとな……時間がちょっと余ったので奈良に来たのであります」

 最早マコトさんでさえツッコまなくなったが、どうして第三者に説明するような口調なのだろうか?

 それ以前に、みんな鹿せんべいを買ったり鹿と触れ合ったり駄目会長が鹿にど突かれたりと、既にメタトロンさんの周りにはマコトさんと僕を含めほんの数人ぐらいしか居ないのだが。

「ちょっと待ってメタトロン、なんで奈良公園に来ちゃったの? 予定だと」

「……奈良と言えば鹿であります。ほら、ミーミル殿も鹿と触れ合うであります」

「え? 気付いたら鹿に包囲されてのデス……え? あ、やめろデス! ミーの羽根は紙でも鹿せんべいでもないのデス! やめるデス噛むなデス引っ張るなデスぅぅぅ!」

 ミーミルちゃんが面白い事になっていたけどそっとして……いや、面白い事になっているからそっとしておこう。

「そういえば真理ちゃん、鹿せんべいって美味しくないらしいから食べない方が良いよ」

「へ、へぇ〜……(既に一枚かじったなんて言えない……)」

「微笑ましい目で見てないで助けろデス! ミー捕食されかかってるのデス!」

「堕天使は楽しいゾ☆」

「嫌デス嫌デス! 堕天使になるのだけは嫌なのデスぅぅぅぅぅ!」

 ミーミルちゃんはこの後無茶苦茶噛み噛みされた。


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