番外編 人は聖夜を平和に祝えるか?
騒動が大きくなりすぎた以上、イズモ君は目的の為にはああするしかありませんでした。空気を読んでないですけど、目的の為にはあれが最善手だったはずです
全身に包帯をぐるぐる巻きにしたイズモ君さんが、長々とクリスマスのルーツなどといったどうでもいい……もとい、微妙にタメになる気がする事を言った後、セイント・シャン・メリーというシャンパンが注がれたグラスを掲げ、乾杯の音頭を取った。
「本日という聖夜を皆さんと過ごせる事に対して……カンパイ!」
『カンパイ!』
『……カンパイ』
イズモ君さんやマコトさんが招待した悪魔や天使、そして留学生の子達は高いテンションで乾杯をし、イズモ君さんをボコボコにしてしまった人達は居心地悪そうに乾杯をした。
「さて、今夜は無礼講です! 未成年の方はお酒を飲んじゃダメですけど、楽しんで下さいね!」
「え〜飲んじゃダメなの〜?」
「ダメだからね。特に真理ちゃんは遺伝的にお酒弱そうだし」
「ぶーぶー」
「オチビちゃん達、早く帰ってサンタクロースの来訪に備えたらどうかしら?」
「サンタクロースが居たとしても、イアリの巣にたどり着けませんのよ!」
「わたしも、サンタさんはひるにくるからもんだいないよー?」
「ぐぎぎ……」
「ウラミ……ハデス☆」
「裏切リ者……」
「本当に裏切ったの……ユラ達を……」
「……確かにわたしはギンの部下かもしれないが、僕になった覚えはないぞ?」
「…………靴下……あげる」
「え、僕に? ありがと…………なんでサイズが測ったようにピッタリなの? いつの間に測られたの僕? ちょっと怖いんだけど……」
「……これはわたしのだから渡さない……」
「お義姉ちゃんのバアルゼブルさん、良くないよねぇ、こういうのは〜……2つの箸で同じ物をつかんじゃ駄目なんだよ〜」
「…………真理、わたしが先だったんだけど……」
「ユート」
「なに?」
「クリスマスは本当に良いものですのね……」
「フフッ……僕も同感かな……」
「……なあニャルラトホテプ、アタシがアンタを此処につれてきた理由は分かるな? ユートはんと過ごすクリスマスを蹴ってまで、この665号室の地下室に連れてきた理由……」
「まさか……道連れにするつもりかい……! 1人クリスマスの道連れに!」
「せや……アタシみたいにぼっち暦長かったような輩とはちがって、常に誰かをいじり続けてアイデンティティを保ってたアンタが……いじれないアタシと一緒で、いつまで精神が保つやろうなぁ?」
「……や、やめ……」
「地獄まで失楽の聖女と相乗りしてくれや! ニャルラトホテプ!」
「……ァァァァァァァァァァ!」
「…………マイン……」
「………………なに、おねぇ?」
「…………来ない……」
「………………もうちょっと待ってみよ? ちゃぶ台返しは悲報の後で、って言うし」
「…………言わない……」
「あ〜ユートさーんー! あーとーでーちょーっと666号室の人達と一緒にですねー付き合ってもらいたい場所があるんですよーいわゆる二次会のような感じですねー!いいですかー!」
「え、ああ、別に良い……ってテンション高っ!」
「おにい〜ちゃ〜ん〜伸びた言い方はね〜ボクの先輩特許なんだよ〜!」
「真理ちゃんがメタ○スライムからスライムベスに退化してる!? ってお酒臭っ! 兄妹揃って酔ってこうなったの!? 酒癖悪っ! ていうか2人とも近い!」
「酔ったイズモはそういう性格だから諦めなさい。それと…………イズモが浮気しないか見張っていて頂戴」
「え、あの、ちょっと……た、助けて〜」
「嫌よ」
「えぇ〜! あんまりだよそれ〜!」
「……え、ちょ……! イズモ! 何モブキャラ少年とキスしようとしてるのよ! するならわたしにしなさい!」
「やーめーてー! 痛い痛い! 引っ張らないでー!」
「………………マイン」
「………………なに?」
「…………誰も来ませんね」
「…………みんな忙しかったんじゃ」
「メぇぇぇ〜〜リぃぃぃぃクリっスマぁぁぁーーースぅ!!」
「ひゃぁ〜〜はっはっはっはっはぁ〜〜〜っ」
「アイエエエ!? サンタナンデ!」
「あ、真理ちゃ……ん?……なんだ、馴鹿か」
「クリスマスプレゼント……とはちょっと違うけど、みんな連れてきましたよー!」
「え、あ…………シーホースさんごめんね、遅くなって」
「ユートさん……」
「……遅くなりましたけど、ちゃんと来ましたのよ」
「ミラちゃん……!」
「私達が来たのだ。だからそんな悲しい顔をするな……」
「ドラグ姐さん!」
「ね~! ボ~クのお兄ちゃんがフォロ~してくれたんだよ~!」
「トナカイさん……! みんな……! ありがとう!」
「…………なんでボクだけトナカイさんなの?」
「真理ちゃん、細かい事は気にしない気にしない」
「…………細かいかなぁ……?」
「それじゃあ……遊斗さん、合図を」
「うん……平和な聖夜に乾杯!」
『乾杯!』
僕達のクリスマスはこれからだ……!
俺達の満足もこれからだ!




