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人は魔女の家から無事に生還出来るか?

魔女SNPI「お待たせ!冷たいお茶しか無かったけどええかな?」

遊斗「……ありがと」

「さて、と……アンタが噂の新しい留学生かいな?」

 目が覚めたら、見知らぬ少女によって、ベッドに縛り付けられていた……

 ……うん、なぁにこれぇ? 改造人間にでもされるのかなぁ?

 ……じゃあ、せめてちゃんと人間に戻れるタイプか、もしくは見た目人間のままで戦闘力を強化出来るタイプがいいなぁ(諦め)

「あたしゃ見ての通りの魔女や、分かるでしょ? ん?」

「まあ……だいたいは……僕の世界だと空想の産物だと思ってたけど」

「本物なんてアタシも見たことないんやけどな」

「…………?」

「ああ細かい事は気にしない気にしない。ただ他のマッドな魔法使いに会ったことがないって話や」

 若干誤魔化された感じはあるのだけど……まあ今はそんなことよりも

「なんで僕縛られてるの?」

「……ん〜アタシがセクハラしたいからかねぇ?」

「!?」

 今明かされる衝撃の真実!

「あ、大丈夫大丈夫、ショタコン極めすぎて処刑されたバカなおっちゃんとはちゃうから。ちゃんと手だけ使ってワサワサするわ。ちょっとくすぐったいだけや」

「はーなーしーてー!」

「足掻いてもムダムダライオネルやー助けなんて来んで〜!」

「ぎゃぁぁぁ! けーだーもーのー!」


 デーデーデーと、某挑戦状なクソゲーの、ゲームオーバー時のBGMが脳内で流れた……


 ……意味が分からなかったけど、とにかく酷い目に遭った……

 ……でも一応大丈夫、ただ腹筋が無くて柔らかい腹と太ももをウィンウィン撫で回されてスリスリ頬擦りされただけ……でもなんだろう、この目から溢れ出るしょっぱい水は……

「ん〜……やっぱ子供はええなぁ…………自分が儲ける事しか考えとらんくてムッコロしたくなる腐りきった教会の信者と役人共とは違ってめちゃ癒されるわ……おっちゃんがこっち逃げたのも無理は無いわな……かわええもん」

「…………?」

 今、サラリと言った言葉から、この少女の心の闇を感じた……

「あ、あの」

「あ、すまんすまん……ついあたしの心ん中の野獣を抑えられんくてな……アンタが飲むアイスティーに睡眠魔法と記憶消失魔法を混ぜてもうたんやわ」

「…………へ?」

 鬼ヶ嶋先生に会った少し後から記憶がないと思ったら……!

「すまんね〜あ、改めて自己紹介しようや。あたしは魔女。名前はもうない。魔女先輩と呼んでや? あたしの方が遥かに年上やし。なんせ……百年戦争の頃から生きとる人間やし」

「…………ゑ?」

「ああすまんすまん、普通の一般人に言っても「はぁ? なんやこいつ?」ってなるわな? 説明しとらんかったから今説明するけど、あたしは最初っからあんまし年をとらん不老体質やったんやけど、事故『とか』でそれに不死の体質も加わってな……火で炙られてもへっちゃらなぐらいに不死身なんや」

「……なるほど、そういうことね」

 原理は分からないけど、だいたい分かった……けど、まるで火で炙られた事があると言わんばかりの言い方が若干気になる……

「さて、と……次から週一で触らせて? な? お礼に守ったげるから、ええやろ〜?」

「……はぁ、あのね……仮にも女の子なんだから、もう少し」

「ああ! なら男装すれば触っても」

「もっと駄目!」

 駄目だこの先輩……頭にネジの代わりにダイナマイトでも仕掛けられているのかっていうくらいに……ワケが分からないよ。

「なあなあ、こ(↑)こ(↓)あたしの部屋の地下室なんやけどな……上にドラグはんらちが居るんよ……そんでさぁ……口裏合わせ、してくれへんかな? あたしハッピー、向こうハッピーでウィンウィンウィンウィンや」

「僕のメリットは……」

「真理はん、ああ見えても自分の物に関しては嫉妬深いからなぁ……今夜お楽しみなっても知らへんでぇ〜? ウェヒヒっ」

 これは脅迫というものか?  いえ、これは忠告ですよ、クリス兄様

「分かりました。こっちで紅茶を飲んでいた事にしますから、とりあえず鎖を外して下さい。お願いします! 僕がなんでもしますから!」

「ん?」

「……ごめん嘘」


「……っちゅうわけや。ただあたしらは紅茶飲んでだべってただけなんよ。それこそ……時間を忘れるくらいに。なぁ? ユートはん?」

「そうだよ(口裏合わせ)」

 3人とは対面でテーブルに座りながら、先輩に言われた通りに受け答えした。

 ……もし矛盾した場合、裁判で逆転された真犯人のような地獄がまっているから、念には念を入れて、どのような事を話したか、まで決めてある。大まかに、だが

「ほんでな、ユートはんを迎えに来たんならええんや。続きはまた今度話せばええんやしな……せやけど」

「何ですの?」

「何かな〜?」

「どうかしたか?」

「あたしに対して臨戦態勢取り続けるのはやめ〜や」

 こっそり机の下を覗いてみると、こっちに尻尾と体を伸ばしているミラさんマリちゃん、そして右手を竜化させているドラグさんだった。

「当たり前だ。万が一、お前が暴れ出した場合、3人がかりで速攻対処してやっと抑えられるぐらいの超危険人物だからな……具体的にいえば、性癖、性格、潜在魔力……この重要要素の3つ、どれをとっても危険な人間だからな」

「あーあー、聞こえないーマイクチェックは眼鏡装備の後でー。ほいじゃあたし地下室に戻るかんね〜」

 手で両耳を塞ぎながら、逃げるように地下室へと戻っていった……

「……変態先輩の話相手に疲れたから、後の部屋には明日回ることにしよう、ね?」

「……マリ」

「レロレロレロレロレロレロ」

「!?」

 部屋に戻ろうと、魔女先輩の部屋を出ようとしたらマリちゃんにしがみつかれ、物凄い勢いで顔を舐められた。

「この味は嘘をついてるね〜?」

「拷……尋問が必要ですのね」

「火か水か蛇か、選べ」

「い……いやだぁぁぁぁぁぁぁ」

 僕の夜はまだ始まったばかりだ(白目)


人は無事に生還出来なかった。

      fin


※まだまだ続きます

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