人は拾わない武器で防衛出来るか?
メタトロン(一番良い装備)「拾わない武器とは……?」
イズモ「……そんな装備ですかね?」
乃原さんに呼び出されたのは役場から少し離れた空き地だった……
一応イズモ君さん達には一言断っての外出だけど、あまり遅くならない方が良いだろう。
「……ああ、やっときたんだね、遊斗……」
「これでもけっこう急いできたんだけどね……」
しかし、何があって乃原さんは僕を呼んだのだろうか? いったい、どういう意図があって……
「ぼくが君を呼んだ理由が気になるかい?」
「んー、まあ、ちょっと気になるかなぁ? 乃原さんが護衛担当で合っているのなら、余計にね」
「へぇ……やっぱり推理していたんだね、ぼくが護衛をする事を……」
「まあ、なんとなくの推理だけどね」
ひょっとしたらそうなんじゃないのかな、程度にしか考えては居なかったけどね。
「ところでね、遊斗……少し眠っていてくれないかい?」
乃原さんはそう言って僕におそいかかってきた。
「……乃原さん、何のつもりで」
「ぼくが君を傷つけたくないから……今ここで眠ってもらうんだよ? 君さえ居なくなればぼくは向こうで容赦なく暴れられるからね……そうすれば雨狸の目的も朝倉の夢も全ておじゃんになる。それどころか、ぼくの期待するカオスさえ世界にもたらされる……! その為には君に眠ってもらわないと……!」
僕の首に手を伸ばしながら、乃原さんがまくし立てた。
「何のために! 何のためにそんな事をするの! 乃原さん!」
「何のために……? ッククク、娯楽には理由が必要かい? 意味が必要かい? 娯楽には……楽しむ以外の目的が必要かい?」
「…………!」
乃原さんに対して間違っていると言うことすら叶わず……僕の意識は深い闇へと堕ちていった……
「メタトロン! そっちは無事!?」
「こちらは問題ないのでありますが……先程の不意打ちによって雨狸総理が負傷したのであります」
メタトロンの無事を確認する間にも、怒声と銃声が響き渡る……
つい5分前までただの町役場だったその場所はもはや戦場と化していた……
「……誰なんだ、情報を漏らしたのは……」
非常に不機嫌そうな声で護衛その1のアナスタシアが呟いているのだが、もしかしなくても犯人は護衛その2こと乃原ラトだろう。
「日本に銃を持ち込まれるとはな……敵もなかなかやるようだな」
「雨狸さん! ボクがみんなを守りますから心配しないでください! ……っ、《無情結界の理想郷》!」
イズモ君が張ったらしい結界によって、うるさかった銃声がまるで聞こえなくなった……
「とりあえずしばらくはこれで……攻撃されないとは思いますけど………………はぁ……はぁ……」
「メタトロンは今のウチに総理の手当てをして! ぼくとアナスタシアは各個敵を……いや、一緒に敵の捕縛!」
踏んできた場数が違う、とはメタトロンの評価だけど、正にその通りだ。直接命に関わるような事は数えるぐらいにしかなかったけど、大企業の社長代理をやっている以上、取引は全て命懸けでやってきた。だから……
「命懸けで……絶対に守り抜く!」
ぼくは今日も本気だった。




