補話:二重舌の暗躍者
二枚舌? いいえ、二重舌です
「ラト、総理による記者会見の件なのだが……予定が変更になった」
ぼくの住む部屋を訪れてきた相棒のアナスタシアが開口一番に言った。
あくまでも人型モンスターや魔人に対して友好な側(日本政府側とも言う)のアジトが盗聴した限りではいつも以上にガヤガヤと騒がしかったと思ったら、そんな事が起こっていたのか……
ぼくは好魔人側の組織にいながらも人間側陣営に情報を伝達する、いわゆるスパイだ。
ぼくは予定に関してはどっちでも良い。変わろうが変わるまいが、情報をぼくの味方(この組織の敵とも言う)に流すだけだけどね。その為にぼくは両方に着いているのだ。
常に強い方に着くという蝙蝠のようなやり方がぼくのお気に入りなのだ。
どっちが勝とうともぼくには関係ないから、このようなスタイルを取れるのだ。だってぼくは人間ではないし、魔人の側でもない。ぼくは神なのだ。邪な神と書いて邪神なのだ。
どちらかだけにつくという事はほぼない。もしどちらか一方に着くとすれば、それは日本政府側、魔人側……そしてそちらに着くとすれば、ぼくの定めたミッションにユート君がクリアした時だ。
まるでゲームのように考えていると言われるかもしれないが、ぼくにとってはまさしくゲームだ。人の1人や2人、国の1つや2つではすまない、世界規模のシミュレーションゲームだ。賭けるのは命、失敗すれば処刑されて死ぬ可能性もある……正にデスゲームだ。
「それで……予定はどう変わったのかな、アーニャ? 何日、遅くなったのかな?」
「いや、むしろ総理の都合で予定が早くなった」
「…………は?」
アナスタシアの言ったことが理解できずに、一瞬呆けてしまった。だが、そんなぼくに構わずアナスタシアは続けた。
「雨狸総理の意向で、明日の夕方に変更……それと、場所も変更になるらしい」
「………………は?」
「緊急の用事が入ったのか、虫の知らせでそうしたのかは我々には知るよしもないが、地方を訪問している内に会見を終わらせるらしい。野党の妨害、もしくはもっと別の組織の妨害かは知らないが、そういったものの影響を受けたくないという意図もあるのかもしれないな……」
……ぼくの事を分かっているのかどうかは知らないけど、的確な推理だ……
「それでな、ラト……我々から総理の護衛には2人が行くことになった。」
「2人?」
総理の訪問場所、2人という数、何か怪しい……
「私とラトだ。場所は…………いや、放課後、私が迎えに行く」
まさかね……ぼくを本気で疑っているのかな……? まさか、ぼくの行為がバレたのかな? ……いや、それにしてはぼくを護衛につかせるという行動がかなり軽率だ。まるで、ぼくに裏切って欲しいかのように……
……まあ、どちらにせよぼくは自分のやるべきことをやるだけかな……
それが渾沌、ニャルラトホテプの求めるカオス……
イズモ「今回紹介するのはニャルラトホテプ……ですよね?
ナイアルラ、ラト、ホテップその他諸々の通称がありますけど、とりあえずニャル(略)では長いのでラトと呼ぶことにします
ラトは他のモン娘達と比較して新しい存在ですね。まあ、1900年代の小説なので仕方がないといえば仕方がありませんけどね
役割としてはトリックスター、もしくは「黒幕」での出演が多いですね。「黒幕」といってもぼくじゃありませんよ?
それはともかく、最近ではゲームや漫画でクトゥルフ神話ほぼ無関係でも出演するパターンがかなり多いですね。具体的にはペルソナなどですね
歩く自己矛盾とか、リアル童貞、ゴルゴムの乾巧が変身するビートライダーズのディケイドとか言う人はおそらくニャルラトホテプに破滅させられますね」
真理「ねぇねぇ、ところでさ……お兄さん、いやお姉さん誰?」
イズモ?「真理ちゃん、なにを言って」
真理「隠しても分かるよ? ……お兄ちゃん、一人称は『ボク』なんだもん」
???「それではまたいずれ……ね?」




