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人はモン娘達と相部屋で生活できるか?

長々と書いたハズなのに4000字ェ……

「ここがボク達4人の部屋だよ〜」

 真理ちゃんに寮内に連れてこられた先にはごく普通……というにはあまりにも広いのだが、四人部屋だった……

 ところで……

「四人って、他にも1人居るの?」

「……融通のきかないアイアンヘッドドラグーンですの」

「生徒会副会長で通称『強暴竜娘』、『意識即落ち』、『冥獄凍土コキュートス』、『氷結竜娘』、その他諸々の呼ばれ方をする、高貴なドラグーンだよ〜」

 通称から、とんでもない女の子ということが、だいたいわかった。つまりツンドラで凶暴な女の子ということなのだろう。多分……

「ところで、もし聞かれていた時の事を考えていたりするの?」

「……大丈夫ですの。彼女は生徒会長不在の際に生徒会長代理としての権限があるから、今日はまだまだ帰ってくるハズが」


「誰が、まだ帰ってくるはずがない、と?」


 扉を塞ぐようにして、黒髪赤目の少女(おそらく件の少女なのだろう)が、たいそう不機嫌そうな表情で仁王立ちしていた。

「……ご機嫌よう、ドラグ」

「色々いいたい事はあるのだが、まず先に1つ聞く。その少年が留学生か? わたしの記憶が正しければ、留学生は天使の少女だったハズなのだが……」

「…………マリ?」

「……人助けの一環だから問題ないし〜」

 目をそらし、震えた声で言うマリちゃん……

「はぁ……まあいい。向こうの神にはわたしから謝っておく……だからマリ、もう一度森に行ってこい」

「…………はいはい」

 凄く嫌そうな返事をして、マリちゃんは……窓を開いた

「ちゃんとこっちから出て行けと、何度言ったら」

「じゃ」

 ドラグさん(仮)の言葉を無視して、窓から飛び出した……

 某アナザーなら死んでますね、これ……ブリッジのような落ち方をして、シリアスな笑いを醸し出した死に方しそうだよね……

「ところで、お前の名は?」

「僕は小杉遊斗、たまたま森をさまよっていたら……マリちゃんと出会って、なし崩しに……」

「遊斗か……フッ、貴様、運が良かったな。まずマリに出会っていて……バ会長が魔王殿に聞いた話の受け売りなのだが、あの森の番犬は侵入者を追い返すように調教してあるケルベロスでな…………まあ、とりあえず無事で良かったな」

「それって、本来の留学生さんが大変な目にあっている可能性があるってことじゃないのかな?」

 魔王がどうとか、この世界はどういう世界なのかとか、色々と聞きたいことはあるのだが、向こうの質問に答えてからの方が良いだろう。

「大方、真理と同じ世界から来たのだろうな……ああそうだ、聞きたいだろうから教えておくのだが、ここはお前達のような人間が住んでいるような世界ではなく……魔界という」

「モンスター達の跋扈する、とても人の住める場所ではない世界……みたいな?」

「……察しが良いな。そして、今代の魔王と勇者が婚約しているが故にこの魔界は比較的人間達の世界からかなり近い場所に建てる事が出来たために、」

「…………はい?」

「魔王と勇者の婚約か? 気にするな。わたしも聞いたときは耳を疑ったからな……話を戻すが、人間の街からさほど離れていない立地であるが故に、極稀にだが、人間が学ぶために……一部は別の目的もあったのかもしれんが……留学することがあった。とはいえ、今年は事故などがあってお前1人になっているのだがな。」

「…………え、留学が確定してるの?」

 いつの間にか、この学校の生徒にされているようだ。ドラグさんカッコカリの中では。

「では1つ聞こう。あてもなくさまよい歩きモンスターに喰われて肉塊と成り果てるのと、留学生としてしばらくこの学校で学ぶのではどちらが賢い選択だ?」

「あ、なるほど…………一応僕を助けてくれるのかな?」

「五月蝿いマリの遊び相手になってもらいたかっただけだ。ああ、1つ忠告しておくが……わたし達、魔物の喧嘩に首を突っ込もうとは考えるなよ? ……虫けらより呆気なく死ぬぞ?」

 ドラグさん(予定)から、とてつもなく怖い忠告をされた。

 ……まあ、さっきミラさんに吊された時点で逆鱗に触れることがどれだけ危険かがなんとなく分かったけどね。

「……ところでドラグさんの本名って」

「ドラグリア・ディアス・バルキュリエ、ドラグもしくはドラグリアと呼べ」

「……ドラグさんのままでいいかな?」

「……構わん。それと、最後に1つ……死にたくなければ、今すぐ退室しろ。そして10分は戻って来るな」

「分かった」

 そのまま、脱兎の如く部屋から逃げ出した……

 何が始まるのかはだいたい把握したから……喧嘩の巻き添え食らって死にたくはないから退散した。後は2人の自己責任だ。怪我をしようが、誰かに仲裁で酷い目に遭わされようが、それは僕の管轄外だ。

「ねぇおに〜さん、ひょっとしてまた喧嘩してたりする〜?」

「……ひょっとしなくてもね」

 いつの間にか戻って来て、廊下で待機していたマリちゃんと2人で呆れ……ん? あれ?

「ねぇマリちゃん? 本物の留学生はいったいどこ?」

「え? ああ、うん、それがね……」

 語調を濁し、どう伝えようかと言わんばかりに目を逸らし……

「ボクの姿を見た瞬間帰っちゃった、テヘッ」

 開き直って、舌を出してウインクしながらそう言った。

「テヘッ、じゃなくて……! 可愛いのは認めるけどテヘッじゃなくて! 大丈夫なのそれ!?」

「ん〜? 大丈夫大丈夫、ボクのお兄ちゃんが神様だから、ちょっと謝ったら月島さんぐらい優しく許してくれると思うよ〜」

「月島さんって誰! あとマリちゃんのお兄さんが神様ってどういうこと!?」

 見知らぬ人物の名前を、あたかも一話から主人公の一行にいた仲間のように持ち出されても困るんだよ……

 あと、サラリととんでもない事を言わないでほしいな……良くないんだよねぇ、そういうのは……

「詳しく話せば短編10話分ぐらいにはなりそうだから割愛するけど」

「なんか言い方がメタいんだけど……なんで?」

「要約すると、ボクはスライムと化した幽霊で、お兄ちゃんは神様と化した幽霊なの。分かった〜?」

「え、それってつまり……マリちゃんは」

「そもそも生まれる前に死んじゃったから、命がどうとかイマイチ分からないんだよね〜だから、お兄ちゃんにこっちで学んでこいって送り出されたのもあるんだけど……ぶつぶつ」

 兄のちょっとした悪口をつぶやいているけど、なんとなく分かる。一般的な兄妹より少しだけマリちゃんはブラコンのようだ。

 それにしても、死んでいないしかつ生きてすらいない幽霊とは哲学的でさえある。

 生と死って……なんだろうね?(哲学)

「一応ユートには言っちゃうけど、ボクの家族はみんな死んじゃってるんだ。でも、お婆ちゃんは高速道路を元気に走り回ってるし、大叔母ちゃんは元気に天使やってるし、お父さんとお母さんは三途の川の向こう側で元気にしてるってお兄ちゃんが言ってたし、お兄ちゃんはお兄ちゃんで天使に囲まれてそこそこ幸せに……まあ、自分から事件に干渉していく悪癖を抜きにすれば、ちゃんと神様やってるしでさ〜……ボクの家族はボクを含めて、生き生きとしてるんだよね〜生きてないけど」

「……最後のそれが言いたかっただけじゃない?」

 最後のしょうもないギャグのせいで、色々台無しだった。

「それでさ、ユート?」

「あ、まだ続くの?」


「ユートの心の中にある、モンスターへの無意識下の恐怖心……根は人間と同じって思えばすぐに克服できると思うよ〜満足無手技ハンドレスコンボと同じぐらいにね〜」

「例えが分からないけどね……」

 まあ、確かに……無意識の中で恐怖心を抱いていた可能性はありそうだ。手を繋いで僕の頭を覗いていたマリちゃんが言うのだ。おそらく本当の事であろう……

 そして、その克服方法……短い角しか無かったドラグさんはともかくとして、下半身が蛇のミラさん……確かに慣れるまではちょっと怖いかもしれない。だけど……

 マリちゃんの家族が幽霊でも元気に生きている(生きている、というには少し違うかもしれないけど)ように、ミラさんだって人間と同じように生きている、その本質は僕らと変わらないのだ。

「……ふふん、モズク風呂に入るまでもなくボクの言葉でちゃんと克服してくれたね」

「そもそもモズク風呂なんて入りたくないけどね」

 軽口を叩き合いながら、そろそろ頃合いかと思って部屋の扉を開けた……

「…………」

「…………」

 部屋の扉を開けてビックリ……巨人か鬼人らしき男性が、ミラさんとドラグさんの2人を正座させていた……

「……おお神河 マリ、それに……お前も留学生か?」

「え? あ、僕ですか? 一応予定にはなかったんですけど、留学生になるというかなんというか……」

「……まあいい。おれは鬼ヶ嶋おにがしま 財賭さいと、みての通り鬼人だ。よろしく頼む……といいたいが、おれの担当は生徒の鎮圧だ。……精々トラブルに巻き込まれないようにな」

 それだけ言って、後の処分は委ねたと言わんばかりに、鬼ヶ嶋先生は僕達の横を通り、部屋を出て行った……

「…………2人の自業自得だよね」

 減刑を求めると言わんばかりに僕に視線を向けていたのだが、生憎と僕に泣き落としは……『かみ』に対するチェーンソー程にしか通用しない。

 つまり、効果は抜群だ。かみはバラバラになった。

「とりあえず……まず4人で片づけましょうか」


本物の留学生は天界に一旦帰りました。出番はしばらく後になるでしょう

「酷いのデス!酷いのデス!ミーが訴えてやるのデス!」

駄目じゃないかァ!真理と一緒に先行登場したからってこっちにホイホイ出てきちゃあ!

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