人は竜の頼みを断れるか?
「というわけでドラグとサマエルにユート、頼みたいことがある」
「なんとなく頼みたい事とやらは想像がつくのだが、そもそもお前は何をやっているのだ?」
ドラグさんが世にも奇妙な物を見る目で生徒会長のガイギンガさんを見ているが、誰だってそんな目をする。
現に僕だって、『首から下が地面に埋められている』という、この謎の晒し首状態をみてそんな目をしているハズだ。
「ギンちゃん、とある漫画神の漫画にあった治療、試しても良いカナ☆」
「何か知らんがとにかく駄目だ。てか、その前にまずオレを発掘してくれよ!」
「別にサマエルさんが手を貸してあげても良いんだけどね、ギンちゃん……1億ちょうだい☆」
堕天使サマエルという名の悪魔がいた……
というかさっきの言葉といい、格好といい、形から入っただけの藪医者じゃないのかと思った。
「助かった助かった……ありがとよ、ドラグにユート」
学ラン(一応制服はないのだが)の会長が、泥を払いながら言った。
「ギンちゃんギンちゃん、お金ちょうだい☆」
何もやっていなかったサマエルがお金を要求しているが無視でいいだろう。会長もそうするだろう。
「ところで、ドラグにユート……もう1つだけ頼みたいことがあるんだが……」
「断る……デュラハンが出没して不吉な日に、ユートを危険な目に遭わせられるか!」
「…………なあドラグ? 今の時間帯が何時か分かるよな?」
「無論だ。今は午後の1時…………はっ!」
遅刻だ遅刻、デュラハンを追いかけてったとはいえとんでもない大遅刻だった。
「取引だ、ドラグ……」
「…………くっ、良かろう」
「なら……生徒会長ガイギンガが、生徒会副会長ドラグリア及び小杉遊斗に」
「はちみつちょうだい☆」
「依頼する! 第二女子寮裏にコボルトの奴らが見つけちまった穴を探索して来てくれ! 連中弱い癖して穴に入りたがってるから代わりに探索してくれ!」
華麗にサマエル(ふんたー)の一言を無視して、僕らが依頼された。
所変わって問題の穴の前……
「第二女子寮裏に着いたよ☆」
血の付いた金属バットを手にしたサマエルが何か言っているけど、実際どうでもいい独り言なのから無視してもいいだろう。
「これは……深そうだな」
「コボルトCの証言によると、ロープを伝って降りようとしたが長さが足りずに断念したらしいしな…………それとサマエル、せめて包帯をよこしやがれ」
頭から血を流している会長さんがツッコむも、それを無視してサマエルは穴を覗き込んだ。
「……きゃっはー☆」
きゃっはー☆きゃっはー…☆きゃっはー……
サマエルさんの言葉は何度も反響し、そして消えていった……
「深いね☆」
「分かりきった事を言うな、サマエル……それとさっきのは何だ? 年を考えろ」
「ギンちゃんにグサー☆」
会長さんに隠し持っていたらしきメスを刺したが、当の会長さんは平然としていた。
というか完全に会長さんがとばっちりを受けている。会長さんとドラグさんは遠い親戚にあたるらしいが、連帯責任ということなのかもしれない。
「ねぇねぇギンちゃん、サマエルさんも行っていいかなぁ☆」
「ならとっとと1人で行ってこい。一応オレとサマエル、ユートとドラグの班だ。オレは早速撤退するけどな」
サマエルの自業自得とはいえ、いくらなんでもあんまりな仕打ちだった。同情は出来ないが。
イズモ「今回のモン娘は……ないですね。コボルトぐらいですか?」
真理「だったら紹介すればいいじゃないかな~?」
イズモ「はいはい
コボルトは犬型の妖精……みたいなものらしいです。たまにイタズラもする悪鬼みたいですけど
まあ、行動的には家妖精のシルキーにかなり似ていますね。クッキーやミルクと引き換えに」
真理「ミルクでも貰おうかな~?」
イズモ「家の手伝いをしてくれる有り難いようせいさんですね。
え? 炭坑の方? そっちはまあ、魔法で鉱石をコバルトに変えちゃうようなイタズラ好きの妖精さんですね。確か」
真理「……確か?」
イズモ「…………手元に資料が無いため、担当者(和久名)に確認をとっています」




