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人は堕天使に診察されるか?

堕天使ですが、前作は関係ないキャラです。ミーミルはちょっと出ていましたが。

「…………ろデス……き……」

 声が聞こえる……幼い女の子の……

 まどろみの中で聞こえた声は何故か懐かしさを感じたような気がした……錯覚だが。

 その声は僕が起きると共にはっきりと聞こえるように……

「いい加減に起きやがれデスよこの紙装甲の貧弱一般人!」

「……ん〜何か言ったかなぁ?」

 とりあえず寝起きだけど、立ち上がって襟首を掴んで黙らせてみた。

「所持金渡すから止めてくださいデス……ミーのキュートな顔に傷がつくからせめて顔だけは勘弁して欲しいのデス」

「分かった、まず顔からね?」

「いやー! やーめーてーデースー!」

 逃げようとするミーミルちゃんの首根っこを左手で優しく掴んで、デコピンして落ち着かせることにした。

「……で、落ち着いた?」

「デコピンでも痛いのデス……命の恩人になんたる仕打ちデスか……」

「いや〜……ごめんね? なんだかついついいぢめたくなって……ね?」

 小動物リトルオーラとでもいうべき何かが発散されているのかもしれない。一定ダメージ未満の攻撃を無効化するどころか、無意識に攻撃をさせるオーラなのだが。

「理不尽なのデス! ミーに看病を丸投げして勝手に助けを呼びに行ったあのドラグーンぐらいに理不尽なのデス!」

 ミーミルちゃんは知らなかった。不幸にも、丁度ミーミルちゃんの背後にその《ドラグーン》ことドラグさんが立っていたことを……

「……ほう? ついさっきの私の采配が理不尽だったと……?」

 永久凍土よりも遥かに凍えるような声で、ドラグさんが言った。

「ゲェッ! ドラグ!」

 髭の武神様と遭遇してしまった奸雄のような情けない悲鳴を上げるが、もう遅い。

「はいは〜い、この天才医者で堕天使なサマエルさんの前で怪我人出そうとするお馬鹿さんには、医療ミスしちゃうゾ?」

 どこぞの間黒男まっくろおとこさんのような真っ黒い白衣? コート? を羽織った少女が、ドラグさん達の仲裁に入った。

 ところで、医療ミスを故意に実行してしまえばそれは医療ミスではなく故意の犯罪だと思う。

「…………命拾いしたな、ミーミル」

「…………そっちこそ、命拾いして良かったデスね」

「あれあれ、二人とも……サマエルさんに医療ミスされたいのかなぁ? よし、殺って殺るD☆E☆A☆T☆H〜YO☆」

「サマエルさん? いやサマエルちゃん? とりあえず、先に診断の方を」

「分かった☆ どらどらっと〜? ほいっ!」

(肩の脱臼する音)

「…………?!?!」

「ん? 間違えちゃったかな?」

(無言の悲鳴)

 もう何もいえないくらいに痛い。もうなんも言えない。一周回って悲鳴すら出ないくらいに痛い。ボーグ脳と罵られたぐらいに痛い。

「ほいっ」

(肩の脱臼が戻る音)

「アナタ藪医者ですか!」

「いや〜ねぇ……? ギンちゃん並みに弄りがいのある性格だったから、ついついイジりたくなっちゃった☆ テヘッ☆」

「…………サマエル、歳を」

(無言の注射器投げ)

「甘いな」

 自ら地雷に触れておきながら、反撃を抑えるドラグさんのスタイル……

 あれ、なんだかオチが読めたような気がするんですけど……

「考える」

(無言の注射器乱舞)

「DEATH☆」

 ドラグさんによってオチ担当にされたミーミルちゃんが、腕に何本もの注射器を(ちゃんと血管に刺さっているのかははなだた疑問である)刺された。悲鳴から考えるに、おそらく……

「アハハハ……え? お爺さんもサマエルさんの被害者だったんデス? え? お爺さんは一族で囲んで棒で叩いて追い返したんデスか〜?なるほど〜目から天鱗デスよ本当に〜」

 三途の川サンズリバーを渡りかけているが、自業自得なので放っておこう。

「ところでサマエル、ユートの体は大丈夫なのか?」

「大丈夫大丈夫☆ このサマエルさんの腕を信用しなさいな☆ 体の方は800年ぐらいは生きられるくらい元気だね☆」

「……桁が一つおかしいぞ、藪医者」

 サマエルちゃんが藪医者だと誰だってそー思う。僕だってそー思う。おうじゃだって手を挙げるだろう。

「藪医者ってゆーな☆ 次の健康診断、覚えてろよ☆ ドラちゃんの体重桁間違えてやるぞ☆」

 地味に酷くて陰湿な嫌がらせだった。


イズモ「今回は堕天使! ……え? 作品が違うからルシフェルさんは呼んじゃ駄目なんですか?」

ルシフェル「そんなルールを無視するのがわたし達のような堕天使よ」

イズモ「ルシフェルさーん! なんで堕天使状態でこっちに来ちゃったんですかー! スケジュール表で忠告されていたんですけどー!」

ルシ「イズモ、堕天使化したら傲慢度が天元突破したから今回はわたしがメインを張るわ


堕天使というのはその名の通り天界から追放もしくは自ら天界を出て地上に堕ちた天使よ。前作の設定も込みで説明すると、七罪の内ベルフェゴールを除いた全員が元堕天使なの。そして時系列的にはこの物語の5年ほど前に当たる、《あくまでも悪魔なハーレムは結構です》の終盤で天使に戻って、今は七罪の堕天使は全員天使なの。

ちなみに、サマエルはかつてのマスティマと同じく自称堕天使に近い存在で、扱いは悪魔か堕天使でも身分上は天使なの」

イズモ「……?」

ルシ「ちなみに、彼女の四天王設定……というか、ガイギンガと四天王は昔和久名が書いた未発表ボツ原稿の主人公達が元になっているらしいわ。フィオナしか原型を留めてないけれど……

ちなみに、天使や堕天使は大半が《こちら側》の世界の出身なの」

イズモ「なるほど、だから……」

ルシ「意味深なやりとりは気にしないでちょうだい。」



ルシ「ところでイズモ……しばらく堕天使のままで居てもいいかしら? 堕天使状態の方が、こっちの魔界では居心地が良かったのよ」

イズモ「…………ルシフェルさんもこっちに住むつもりですか? ……まあ、ボクはどっちでもいいですけどね」

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