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人は地図を持たずに邂逅できた

いきなり完了しちゃっていますけど、まだ実質2話です

 ちょっとした森の調査と聞いて派遣されてきたのだが、それにしては長いなと思いながらも森を進んだ結果……迷子になった。

「……ひょっとして僕……何か騙されました?」

 歩きながら呟くが、誰かが答えてくれるハズもなく……鳥の鳴き声が返ってくるだけ……

「どうしたの〜? 道に迷っちゃった〜?」

 かと思ったら、唐突に木の上から少女の声が降ってきた。

 どうしてこんな場所にいるのか。そして、どうして木の上にいるのか。そんな考えは思い浮かばなかった……

 直後、どうしてそう思わなかったのかを、酷く後悔することとなった……

「…………ゑ?」

「ど〜したの〜? ボクの体、変なところでもあるの〜?」

「いやいやいや、あれ、え? ちょっと……」

 階段を昇っているつもりが何故か階段を下りていた人の気持ちが分かる。もしくは本やゲームの中の存在と認識していた怪物に追われる少年の気持ちが、今の僕にはよく分かる。

 何故なら……少女の体は白く濁った半透明で、俗に言う……

「ボク、スライムだからこんなのでも問題ないよ〜?」

 俗に言うスライムだった……

「ぁ……」

「お兄さん……怖がらなくていいんだよ〜?」

 そう言って少女は……僕をめがけて木の上から落ちてきた……

「ぁ……! うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 僕の意識にサヨナラバイバイ……僕はこいつと地獄か天国の旅に出ます……



「あれ、寝ちゃったの? おーきーてー?」

「…………はっ、ここはどこ? 僕は僕だ!」

 ……で、この森はいったい……?

「この森はね〜あ、あの森になるのかな〜まあいいや、ここの森はね異世界と繋がってるの〜」

「……異世界?」

「そう〜あっちの世界ではファンタジーやメルヘンの存在だったモンスター達がこっちに住んでいるの〜」

「ファンタジーはともかく、メルヘン?」

「そう〜ユニコーンとかペガサスとか〜……他には天使……は向こうの方が多いし〜」

「今サラッととんでもない事を言わなかった?」

 僕の居た世界で天使が多いとは……? もしかして、人里離れた場所で天使と悪魔が戦っていたりするんでしょうかね?

「うん、まあ……今はそんな事ないんだけどね」

「サラッと人の心を読まないでくださいよ」

 プライバシーの侵害ですよ、訴えますよ?

「ぷらいばしー? 何それ? 美味しいの〜?」

「……もういいです。諦めました、もう……」

 ところで……さっきからなんで手を握られているんですかね?

「こうして体に触れている時間だけ心が読めるんだよ〜」

 じゃあ離して

「やだ〜」


 ……とりあえず、諦めて2人で(スライムちゃんの案内の元)森を進むことにした……

「ところで、君の」

「真理、ボクの名前は真理だよ〜」

「……それと」

「ボクは生徒だからね……ホラホラ、着いたよ」

 生徒とはどういうことか、聞く間もなく……マリちゃんに手を引っ張られ、学校らしき建物の敷地内にたどり着いた。

「…………ここ、もしかして」

「学校だよ? 見てわかんない?」

「分かるけど……うん、まあ……なんでもない」

 引っかかるところは、強いて言えば真新しいという事ぐらいだ。それ以外はだいたい……

「ところでマリちゃん、なんで僕はこっちに連れてこられたの? 道に迷ってこっちの世界にきたんだから、元の世界に」

 戻った方が良かったんじゃないかな、と続けようとしたのだが、蛇が這い寄るような音がしたかと思うと、空中に投げ出されるように拘束された……

「誰ですの? マリとはどういう関係ですの? ……マリ、どういう事ですの? この殿方……人間ですのよ?」

 僕を持ち上げた女の子は、上半身は人のそれだが、下半身は別の生き物……長くて鱗の付いたそれは……

「へ、蛇!?」

 叫んだ直後、より強く締め上げられた……

「蛇じゃありませんの、わたくしはラミア族ですの。ラミア族のミラですの」

「分かりました! ミラさんすいませんでした! だから下ろしてくださ……イ゛ェ゛ァ゛!」

 間抜けな悲鳴は勘弁して。アナザーなら死んでたくらいにひどい落ち方だったから許して。

「ふぅ……ところでマリ、この殿方は何者ですの?」

「多分お兄ちゃんの言ってた、こっちに来る留学かも? ……あれ? 確か……ま、いっか」

 釈然としないものを感じたのですが、とりあえず受け入れられたようでなによりです。

「ところでマリ、留学生の部屋……わたくし達と相部屋ですのよ?」

「……なんでだろうね〜?」

「なんでだろうね〜じゃない!」

 絶対僕を他の誰かと間違えたでしょ!


ドラグ「ええい、私の出番はまだか!」

先輩「一応あたしも居るんだけどね……」

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