人は首無の死神を追えるか?
あーたーらしーいーあーさがきた!きーぼーうのあーさーだ!
以下略
病み上がりの朝ほど気持ちのいい、爽やかな朝は無いと思う。
最高にハイな気分だ。今なら何も怖くない。来いよ満足! トリシューラなんか捨ててかかってこい!
そんな最高の気分でランニングに出掛けようと、真理ちゃんが使っていた縄梯子を持って窓を開いた。
ビシャッという水音と同時に、視界が真っ赤に染まった……
「…………なんじゃこりゃあ!」
某刑事の物真似をしても現実は変わらない。血のような液体をかけられたという現実は変わらない。
……なにが爽やかな朝だ! こんな朝僕は爽やかだとは思わない!
何が悲しくて朝一から血をかけられなくてはならないんだ。僕にどれだけの罪があったらここまで悲惨な目に遭うのか。
……とりあえずシャワーだ。いつまでもこんなホラーな格好で居られるか! 僕はシャワーを浴びるぞ!
「ユート? お前は何をしているんだ? ……本当にお前は何をした?」
「分からない……窓を開けたらいきなり血をかけられたんだけど……」
某草加さんのような言い回しだけど事実だ。というかどんな事をしでかしたら、血をぶちまけられるの?
僕何か悪いことしたっけ? 衝撃の真実なんだけど?
「なるほど……確かにあの部屋の窓をめがけて血をかけられているようだ……」
シャワーを浴びた後、ドラグさんと一緒に外から部屋の窓を確認すると、僕らの部屋を狙ったらしき血痕がそのままになっていた。
爽やかだった朝を邪魔するなんて、許される事ではないだろう。某首領千並みに許さない。絶対に許さない。
「目撃者に血をかける魔物、か……」
「……ドラグさん?」
「……いや、なんでもない」
嘘だ。ドラグさんの表情からして、おそらく嘘だ……
あまり害のない魔物であるなら、思い詰めた表情をするはずがないだろう……
いったいどんな魔物かは分からないが、おそらくは…………人の死に関連する魔物なのかもしれない。あくまでも、考えうる最悪のパターンだが……
「……うん? これは……」
ふと足元を見てみれば、血でスタンプされた馬らしき足跡……
「ドラグさん、馬の足跡……向こうまで続いているみたいだよ?」
その言葉を……そして、馬の足跡を見た途端、ドラグさんは嫌な予感が当たってしまったと言わんばかりの険しい表情になった……
「…………ドラグさん?」
「…………首無しの死神だ、おそらく……」
「っ……!」
死神ということは……誰かの死が近いのだろう……そして、一番可能性が高いのは血をかけられた僕が……
「…………ユート、お前は…………パンドラの箱を開くか?」
パンドラの箱を開く……つまり、何のために来たのかを問い詰めるために死神を追うのかどうか……
「……行こう」
「行く、か……」
僕とドラグさんは血で出来た馬の蹄の跡を辿ることにした……
イズモ「ネクストモン娘ヒント!」
真理「マミさん!」
イズモ「……ワケが分からないよ」
真理「え? 一般人でも2割は分かるはずだよ~?」
イズモ「じゃあボクはその8割だね」




