ユートの休日/竜の呼ぶ嵐
「これはいったいどういうことだ!」
仕事が片付いた頃合いを見計らって生徒会室に入り、ギンに……生徒会長、ガイギンガに対して、拾った『それ』を見せつけた。
「あん? ……修学旅行の予定、行き先は異世界の古都……ああ、さっきイズモとオレが考えた計画の」
「愚図かバカか戯けかボケかうつけか阿呆か貴様!」
怒りに任せて叫んだために肩で息をしているわたしの気持ちを知ってかしらずか、ギンがサラリと流すように答えた。
「なんでだ? あくまでも旅行はまだ1ヶ月は先の話なんだが……」
「時期の問題ではない! もっと根本的な問題だ! 何故わたし達がユート達の世界に行くのだ! 最初に真理と出会った時のユートの反応を知っているのか!」
「知らん、ンな事は管轄外だ。でもまあ……ヘタレたか」
「真理が上から降ってきて気絶した! これが一般人の反応だ! 故に! 副会長として! わたし達のような魔人がユート達の世界へ行くのは断固反対させてもらう! 何か代案や反論は無いのか!」
「お前さぁ……何か勘違いしてないか?」
「は?」
ギンが何を言いたいのかは分からなかったが、わたしが気付いていないと分かって言葉を続けた。
「確かに、『未知の存在』もしくは『架空の存在』と信じてきた連中が出てきたら、そりゃあ驚くだろうよ。現にオレだって巨大ロボットを最初にみた時は驚いた。オシマイだとさえ思った」
「…………?」
「まあとにかく、ユートを見てりゃあ分かるだろうけど、あいつが来てもう二週間弱……え? うん、二週間弱だな……」
「…………」
「要は慣れだ。ちゅーか慣れれば道端にラミアが居ても驚かんし、バスの中からラミアやスライムが降りてきても驚かなくなるだろ?」
「…………貴様、何が言いたい?」
言いたいことはなんとなく分かったのだが……もしそれが本当なのであれば……
2つの世界を巻き込んだ大事になる。5年前に起こった侵略でさえ、あくまでも一国が攻めてきただけなのに人間の世界で世界規模の問題になったのだ……
まさかギンは……ガイギンガは……そして、神河イズモとその仲間は……
「修学旅行までにだいたい3週間強……つまり、あと数日後に……オレ達魔人の存在をイズモと……ユートの親友の力を借りて、向こうの全世界に公表する」
伊達や酔狂ではなく、確固たる意志を持って……ガイギンガはそう告げた……
「ゲホッゲホッ……うぅぅ……」
(ユートのせき)
「ホラホラ〜イズモはんに千毒万薬の元、マンドラゴラを取りに行ってもらっとるから、後少しの辛抱やで〜? あ、林檎食べる? その名もアイアップル」
「なんでマイクロソフ……っ、ゲホッゲホ……ッ」
「ホラ〜病人はおとなしく寝とり〜汗拭いたげるからさ〜」
「…………」
(ユートの怯える声)
「なんね〜その怯えた声は〜? アタシに全部任しとき〜下の世話もしたげるからさ〜」
「余計なおせ……っゴホッ……」
(ツッコミのエンジンがかからない)
ユート「僕の知らない場所で段々と話がとんでもない事に……」
真理「ボクとユートが2つの世界の架け橋になるのかなぁ~?」




