人はかつての世界に戻れるか?
ミラ「」
ドラグ「」
魔女「」
シー「」
和久名「済まぬ……済まぬ……」
「やあやあ、今日が約束の日だけど、ぼくの知り合いがある用事のついでに君を迎えに行くつもりだから心配はいらないよ」
「……僕的には乃原さんの方が色んな意味で心配なんだけど……」
いくらなんでもタイミングが良すぎないかな?
毎度のことながら、丁度ケータイを手に取ったタイミングで接続されるのはどういうことなのだ。
「他にも色々言いたいことはあるけど、どんな人が迎えに来るの? 男の人? 女の人?」
「男の子、だけど……いや、なんでもない。ちなみに、白い神……もとい、白い髪の可愛い少年さ。身長は150前後……君と対して変わりない身長」
「そんな分かりづらいボケ方されてもツッコみづらいから……あと僕とそんなに変わらないって……結構小さいんだね」
「血筋じゃあないかな? ところで、彼の妹がそっちの世界に居るらしいんだけど、会ってないかなぁ? 妹も、同じ白い髪らしいけど」
白い髪で、身長が低めで兄の居る子…………
「世の中って狭いね」
「なるほどねぇ……それじゃあその子も一緒に連れて森に居てくれないかい? 彼もその方がいいだろうしねぇ……」
「うん、分かった」
簡単だね。眠っているミラさんの手を捻るくらいに簡単ですよ。100倍返しの報復をくらうと思うけど。
……そんな事を思っていた時が、僕には有りました……
「…………あのさぁ、なんで僕を挟んで無言の冷戦をしてるの? 僕関係無いよね?」
そこには僕と、僕の両腕を掴むようにして陣取る真理ちゃん達姉妹……もとい、兄妹がいた……
イズモ君さん(見た目的には年下かもしれないけど、達観しすぎている性格から一応こう呼ぶことにする)は真理ちゃんの兄らしいのだけど(達観した性格からして、確実に真理ちゃんより年上だろうが)、あまり真理ちゃんと身長に差が無かった。むしろ、伸縮自在真理ちゃんに身長を抜かれてもおかしくないなと若干思う。
それはそれとして、何故僕が怒っているという判断をしたのかだが、彼は真理ちゃんに会うや否や無言でチョップを放った。とりあえずとっさに真理ちゃんを後ろに引っ張って回避させたものの、イズモ君さんはその後何事も無かったかのように挨拶をしてきた。
だいたいその辺りで色々と察した。イズモ君さんは怒っているな、と……そして、その原因は十中八九真理ちゃんだな、と
「まあ良いじゃないですか……どちらにも味方しなければ無関係のままでいられるわけですし」
「それってどっちかについたら……」
「物理的に朝鮮半島みたいになるかもしれませんよ? 真理ちゃんが引っ張って」
「分かりづらい、スッゴく分かりづらい……」
朝鮮戦争も教科書で乗ってたことぐらいしか知らないし、ソ連や冷戦も知識として一応知っているぐらいのゆとり時代の学生にそんな小難しい例えを使わないでほしい。
「ねえに〜さん、絶対ユート困惑しちゃってるよね? トラブルアルケミってるよね?」
「??!?」
更に困惑した……トラブルアルケミるって何? まるで意味が分からんぞ! と叫びたくなる程に意味が分からない……
「……………………ふぁー」
トラブル発生につき、精神を強制再起動……
……mer.exe起動?《Y/N》……Y
saq.exe……ファイルが見つかりませんでした。代理のプログラムを実行しますか?《Y/N》……N
「…………はっ!」
「あ、起きた〜」
「大丈夫ですか? 僕らの兄妹喧嘩はもう済みましたけど……」
「それでも……それでもボクは悪くないよ〜?」
「真理ちゃんが余計なコトしなかったらみんな怒らなかったんだからね? 一応ボクがフォローしておいたけどさ……」
「…………あれ、何か大切な事を忘れている気が……」
……まあいっか
その頃
「…………なあラト」
「なんだい? ……あ、コーヒーもう一杯」
「遅いな、彼……」
「…………このコーヒーも神ことイズモの責任払いさ……しかしこんな山奥に素晴らしい喫茶店があるなんてねぇ……」
イズモの支払い予定金、現在2100円(更に増加する模様)
和久名「舐めろだぁ?このやろう!ムッコロ」
(ボキベキィ!)
和久名「」
ミラ「自業自得ですの」