人はパンドラの箱を覗けるか?
パンドラのボックス!
ミラ「後でシメるんですの」
ゴーレムが瓦解し、最後に残ったのは白い靄のような物体だった……
「捕獲完了したよ〜あ、ボクの体を少し分けてあげた方がいいかな〜?」
「いや、このままでいい……」
ただの幽霊になった少女に対して、ドラグさんが言った。
「お前が何をしたかったのかは知らないが……いくつか叱っておかなければなるまい……ゴーレム、石や砂の塊になって外に出かけようとするな。止めようとしていた私を撃ち落とそうとするな。それと…………悲しい眼をするな。お前は1人ではない。私達がついているのだ……私がお前の母親の代わりになろう……」
そう言ってドラグさんは少女に腕を伸ばした……
だが、その腕は空を切った……
「…………そう、だったな……お前にはもう体が…………そうだ、真理?」
「…………う〜ん、確かにボクの体を貸してあげればその子とドラグが触れ合えるんだけどねぇ〜……それって結局ボクの体でドラグと触れ合ったワケだよね〜? それがちょっぴり残念かな〜って」
経験者らしい一言に、ドラグさんも言葉を返せなかった……
「…………ならばどうしろというのだ?」
「…………魔女先輩……こんな時、君が居てくれたら……」
「呼ばれて飛び出てジャジャーンカイザー! いつも良かれとあなたの隣に付いてく渾沌! 魔女先輩とはアタシの事や!」
見計らっていたとしか思えないようなタイミングで飛び出してきた辺り、実は待機していたのかもしれない。
まあ、今回は本当に丁度良いタイミングだったのだが。
「魔女特製、ウサギのぬいぐるみ! 地に縛られた幽霊も人に縛られた幽霊も一発解放! 気分爽快スカッと爽やかの優れモンや!」
「御託は要らん。要点だけ説明しろ」
「ドラグネキは厳しいなぁ〜まあ要約するけどな、このぬいぐるみは超小型のゴーレムみたいなモンや。嬢ちゃん、入ってみるか? 中は気持ちええで?」
若干の胡散臭さを感じたが、少女本人は恐る恐るではあるものの人形の中へ入っていった……
「…………(こく)」
「よしっ、実験は成功みたいやな! 気分はどうや、嬢ちゃん」
「…………(こくっこくっ)」
「肯定ッ! やっぱアタシの理論に間違いは無かったんや! ちゅーわけや、ドラグネキ!」
「…………ありがとう」
ギリギリ聞こえるぐらいの音量で呟き、少し大きめの人形を……少女を抱きしめた……
「…………アリガト」
とまあ、ここで終われば割と感動的な締めになるんですけど、それを拒否するのが魔女先輩なワケで……
「ンッフフフ〜ところでドラグネキぃ〜? その子はもう人間じゃなくて、一種のガーゴイルになったわけやろう〜? ちゅーわけで、アタシが」
「断る」
「名付け親に」
「駄目だよ〜」
「なって」
「…………(フルフル)」
「ええ」
「駄目だから」
「かな、ってええ加減にせぇや! なんでみんなして拒否するんや! 『ゴイル』ちゃんも」
「「「却下だ(よ)(よ〜)」」」(ブンブン)
満場一致で、魔女先輩の付けようとした名前は却下されボツになった。
「…………すぐ……パ……嫌い……」
暗い森の中、半分忘れられていたミラが、寝言で呟いた……
和久名「エキドナ……いつ出そうか」
遊斗「ラミアとエキドナの違いってなんなんですか?」
和久名「ああ!」