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龍が願い、人が助け、  が笑う

龍:ドラグさん

人:ユート達

  :  

 ゴーレムの拳が私の頭を掠める……

 私は、背中から翼を……ドラグーン特有の、小さな龍翼……を広げ滑空し、ゴーレムと同じ目線に留まり続ける……

 ゴーレムに……彼女に止まってもらうために、分かってもらうために……

「止まれ!」

 再びゴーレムが拳を振りかぶり……今度は翼を掠るように殴った……

「……っ!」

 否、翼が僅かにだが削れていた……

 …………一瞬で自身の置かれた状況を把握した私は、ただ願うしかなかった……安全な場所に落ちることを……そして、彼女が外の世界に出ることなく止まることを……


「ドラグさん!?」

 不時着しそうだったドラグさんをどうにか受け止めた……

 炭坑夫や決闘者じゃなかったけど、なんとかキャッチ出来た……

 足腰が痛いが今はそんな事は問題ではない。

「ドラグさんしっかり!」

「……ユートか……降ろせ、ユート……あのゴーレムは私が……止める」

「無茶言わないで! そんな体であのゴーレムを相手出来るハズないじゃないか!」

「黙れ……彼女は私が止めなければ…………っ」

「ドラグさん……一応理由を聞かせてくれないかな?」

 先輩の推測が正しければ、おそらくは……

「…………どうせ知っているのだろう? 魔女と一緒に空に居たお前なら……聞いたのだろう?」

「……っ」

「私は彼女を助けられなかった……だからせめて……私の手で……」


「下らない偽善ですのね」


 獲物にゆっくりと近付き唐突に目の前に現れる大蛇おうじゃのように、音も立てずに潜んでいたミラさんが、ドラグさんに告げた。

「っ黙れ! ミラ、貴様に何が分かる……! 貴様に彼女の悲しみが……母親の温もりを望みながらも叶わなかった悲しみが分かるのか……! そして彼女を助けられなかった私の苦しみが……」

「あなたの気持ちなんて知ったこっちゃありませんの! 今大切な事は! たった今この状況で大切な事は! あの子をいかなる手段を用いてでも、早急に拘束する事ですのよ! …………ぁ……頭に血が上りすぎてクラっときたですの……ユート、支えてほしいんですの」

 無理に叫んだ挙げ句クラッときているらしいミラさんは今はそっとしておこう。

「ミラさんの言うとおり、間違っても1人で対処しようと思わないでよ! ちゃんと僕達が居るんだよ!」

「…………お前なら……どうする? 彼女を止められるのはおそらく私しかいないだろう……だが、肝心の私はこのザマだ……」

「だから僕達三人が居るんでしょ? ボクにちゃんと良い考えがあるから」

 直後、巨人の足元から白い何かが這い上がってきた……

「…………あれは……真理か? お前達、一体何を……」

 瞬く間に真理ちゃんは巨人を足元から浸食し、遂には全身を包み込んだ……

『ね? ボクに良い考えがあるって言ったでしょ?』

 僕の頭の中に直接響いたその声(ドラグさんにも真理ちゃんの声が聞こえているらしいから、実際は僕の口から出ているハズだ)に、ドラグさんは呆然と立ち尽くし……

「…………ありがとう」

 ポツリと、そう言った……



 瓦解する巨人を遠くから見つめる影が2つ……

「ぼくの目に狂いは無かったようだね……ユートとその仲間がちゃんとやってくれたみたいだよ?」

 一方の少女……乃原が相方に対して告げる。

「確かに……ただな、ラト

 相方の女性が乃原に……乃原ないはら ラトに対して、訝しむように問いかけた。

「彼が選ばれたのは……いや、お前が親友である彼を選んだ結果、こうなったのはただの偶然か?」

「…………フフフッ、ぼくに運命をねじ曲げるような力があると思っているのかな? ……全ては神のみぞ知る定め。運命の前ではぼくも君も等しく力持たぬ奴隷なんだよ…………さあ、精々運命に淘汰されようじゃないか……ぼくの人形達……」

 相方のにらむような視線に対して、我関せずと言わんばかりに言葉を放った……


ラトとSNPIで狂言回しが2人居る?知ら管

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