人は地石の超人(ゴーレム・ジャイアント)を止められるか?
SNPI「お待たせ! かんしゃく玉しかなかったけどええかな?」
真面目に帰って下さい
「ごっつう興味深いわあれ……スゴいデカくて動きはおっそいとか……強い! 固い! 遅い! これぞ超重浪漫やな!」
箒に跨って空を飛びながら、魔女先輩が興奮した様子で実況する。
両腕でぶら下がっている僕に配慮しているのかはわからないが、動こうという素振りすらないから、遠慮なくツッコませてもらう。
「そんなこと言ってる場合じゃないから! はやくとめないと……ボクたちの世界に行っちゃうかも知れないんですよ!?」
「せやな。けどな、ユーゴはん……」
「半分になってるよ! ユーゴ『はん』って……だから半分なの!? というかこんな事言ってる場合じゃ……」
ドラグさんも心配だけど、一番心配なのはゴーレム? の行き先だ……
5分ほど観察してみたが、やはり外の世界と繋がりかけている方向に向かっているのがはっきりと分かった……
このままでは、さほど遠くない後にゴーレムが外の世界に出て行ってしまう……それだけはなんとしてでも阻止しなければならない。のだが……
「あんゴーレム、多分やけど中に幼い女の子の魂が入っとんのや。どンな未練があるんかは分からんけど、相当に強い未練があるんやろう……ところでユートはん、ドラグネキの様子が最近おかしかった〜とか、ないか?」
「…………」
「沈黙は肯定やで? ま、言われんでもあン子の声があたしには聞こえとるから、だいたいの事情は察したけどな」
このやりとりは必要だったの? という無言の視線を無視して、魔女先輩が説明した。
「あん子、母親を捜しとるみたいや…………詳しいことは分からんけどな? せやさかいに、あたしはあん子を止めたくないんやけど……それやとユートはんが許さへん。なら、あたしは一切あの『ゴーレム』には手を出さへん。ほんでええか? 進退は本心の分からないドラグネキに委ねる。ええやろ?」
「…………つまり、ドラグさんを信じるかどうかだよね?」
「まあそうゆうことや。ユートはんがドラグネキを信じるなら放置、信じられンのならあたしがゴーレムを力ずくで止める。さあ、信じるか信じないか、どっちや?」
「………………」
本音ではドラグさんを信じたい。だけど、ドラグさんが少女を止めるかどうかは分からない以上…………
「先輩って本当に性格が悪いよ……」
「シッツレイな! ルラギリに遭わんかったらここまで性格歪んどらんわい! てか、なんで苦渋の選択を強いたハズなんに笑っとんのや!」
「先輩、いざという時だけお願いね?」
「了解や! ……ってアカンやろうが! 暗にドラグネキに頼んな言うたのが分からんのか!」
「先輩の事情なんて知ったこっちゃないよ。僕はただドラグさんを信じたいから信じる。その結果どうなっても……いや、ドラグさんを信じるなら……ね?」
箒にしがみついている僕の言葉を受け、魔女先輩はゆっくりとゴーレムから離れた……
「バカバカしいわ、本当に……」
「…………」
いつものエセ関西弁とは違った、呆れたような呟き……
「……、そうや、ちいとやらなあかん事思いついたわ。やから……ドラグネキに伝言を頼んでええか? ……なに、ちょいとした一言やから、心配せんといてや」
そう言って、先輩は僕を振り下ろして飛んでいった…………
…………伝言って?
A.ああ!