この想いは永遠
学校中を回った後、ボクの部屋……666号室の前で、ボクと魔女先輩は立ち止まった。
あの後……学校中を回った後、再びダリアさんに会い666号室に居るという言葉を受け取ったボク達は、言われた通りに666号室へと、厳密には666号室の前にやってきた……
「だいたい回ったし……あとはアタシがおらん方がええよな? ……ていうか……このままやとアタシの心が変わってしまいそうやから……あとは自分で行ってくれないかしら……ユート、最後なのだけれど……ワタシはあなたに会えて良かったと思っているわ」
「……先輩……ボクも、先輩と出会えて良かったと思います」
精一杯の笑顔で見送ってくれた魔女先輩に、ボクも精一杯の笑顔で返した。
「ユート」
「ハニー」
「おにいちゃん」
部屋に入った途端、小さな三人組にくっつかれてた。
3人が3人とも、ガシッとしがみついていて離してくれそうに無かったから、そのままゆっくりと部屋の中へと歩き、そして座った。
「…………ハニー」
「…………ユート」
「…………おにいちゃん」
「「「…………」」」
タイミングが被ったからか、3人はアイコンタクトを交わし、順番を決め……まず最初にイアリちゃんから口を開いた。
「…………ハニー、イアリ、ハニーが運命の相手でよかったのですわ。イアリも、成精の儀で占う前は……いえ、占った後、ダリアに連れてきてもらうまでは不安でいっぱいでしたわ。でも……イアリが思っていた以上に、ハニーは優しい人でしたわ、とても……優しい……誰かを傷つけることを良しとしない、本当に……優しい人ですわ、ハニーは……大好きですわ、ハニー」
そういってイアリちゃんは僕の左頬にそっと口付けした。
「……おにいちゃん、アリスはね……おにいちゃんが初めての相手でよかった……クイーンの一族の夫としては、決して強くないっていうか……下から数えた方が早いくらいに弱いかもだけど、それでも……それでも、その勇気と優しさだけは……勇者にも……コンコルドにも負けないくらいだから……っ、とにかく、アリスはおにいちゃんのことが大好き! ずっとずっと一緒に居たいくらいだけど……おねえちゃんが言ってたんだけど、きっとまたいつかユートと会えるって……だから、だからね…………アリスのこと、忘れないで……ね?」
そう言ってアリスちゃんは僕の右頬に口付けした。
「……ボクのターンかな? ……ボクにとってのユートは……ある意味では家族みたいな大切な人だったのかなぁ……? お兄ちゃんよりもちょっとだけ大切で…………ああもう、泣きたくなったから早くミラの所に……屋上に行ってくれないかなぁ? ……ちゃんと戻ってくるよねぇ? 遊斗」
「……うん、きっと……化けて出るかもね」
「……約束だよ?」
真理ちゃんとそんな約束を交わし……そっと立ち上がった。
「それじゃあ……いってくるね」
分かっているであろう行き先を告げず……ボクは666号室を後にした。
「本当にあれで良かったのかしら、小杉遊斗?」
666号室を出て屋上へ向かおうかと歩き出した直後、背後から声をかけられた……振り返らずとも分かる。ダアトちゃんの声だ。
「……あれ以上居たら……きっと僕もみんなも別れが辛くなるから……」
「……本音は別れたくない、でも別れなければならない……世の中は本当に理不尽ね。神さえも抗えない運命なのに……人1人が背負うには大きすぎる悲しみを背負わせる……悲しい程に不条理ね」
「……ダアトちゃん、皮肉るだけなら」
「『別れがあれば出会いも有り、死ぬ命が有れば生まれる命もある。』『宿命の出会いも有れば運命の再会も有る。』……そう悲観する必要はないわ。きっとすぐにでも転生して……」
「……そんな風に割り切れるなんて、ちょっと羨ましいよ」
「ほんの1万年も生きれば、大切な人間であろうと他人の死に対する感覚なんてこんなに鈍くなるわよ。良くも悪くもね……それじゃあ、転生したあなたを迎えに行くから……親離れして待っていなさいね?」
「ハハ……スケールが長い予定ですね……」
ダアトちゃんは元気なくツッコむ僕に対して何か言いたげにするもすぐに口を閉じた。言われなくとも僕に残された時間が少ないことなど百も承知だ。
だから……だからこそ、無理をしてでも最後に皆に会っておきたいのだ。後悔をしないように……
3話で死亡フラグを大量にばら蒔いた挙げ句準レギュラーキャラを唐突に殺す→非難殺到→「死んだのには意味がありまぁす!」→多少意味はあったけどほぼ死体蹴り&更に意味の無い磔炎上→そびえ立つクソだった最終話での、精神的オーバーキルな髪飾りプカー→キャラ好き、和久名もぶちギレファン半ギレ→髪飾りの意味はご想像にお任せします→みんなぶちギレ、和久名全ギレ
ユートを殺すのは大分前から予定していたわけですが、某これのキサラ……某二月ちゃんみたいな雑死にはしないように一生懸命に和久名なりに頑張っているつもりです。
それは一旦さておくとして、最後はハッピーエンドにしたいです。ユートの力で皆に笑顔を……