死せる邪神、生ける神達を走らす
ミーミルちゃん、最後の出番はいつだったっけ……(遠い目)
まあ、いつか彼女が救われる日がくるでしょう。
ただ、それはこの作品の中ではないでしょうし、今でもありませんが
「……ウェッ、酷い臭いなのデス、ゲ□以下の臭いがプンプンするのデス……労働条件の改善を要求するのデス……」
「……だからガスマスク要るか聞いたんですけどねぇ……取りに戻りますか?」
禁遊屍人死亡確認後初めての休日……ボクとミーミルちゃんは現場検証も兼ねた掃除をしに、山中にある墓場へとやってきた……
つい数日前までは山の中にひっそりと佇む墓場だったのだが、諸事情によって……まあ、100%禁遊屍人のせいだが……墓場は荒れ地にされ、かつて禁遊屍人と呼ばれた肉塊が散らばっているという末法めいた空間と化していた。
火炎魔法や氷結魔法を放ち過ぎていたのもあり、いくら半ば世界を救ったとはいえあまりにも酷いということで、当事者みんなにこの空間を掃除させておいてほしいと、マコトさんからボクに連絡があった。
しかし、ボクも気になることがある上少し嫌な予感がしたという理由でマコトさんと交渉し、ボクが掃除することになった。
ちなみにミーミルちゃんは汚名挽回をしたいという理由で付いてきた……のだが、早速帰りたそうな顔をしていた。それと、細かい事なのだが汚名は返上するものだ。
「イズモ様、予備のガスマスクをよこしやがれ下さいなのデス」
「……ミーミルちゃんってよく丁寧なのか粗暴なのか分からない言葉遣いするよね」
まあ、それも一つの個性なのだろう。ただ、矯正すべきかどうかと言われれば是なのだが。
「……ところでミーミルちゃん、親のような事を聞きますけど、学校は楽しいですか?」
念の為に持ってきたミーミルちゃんの分のガスマスクを手渡しながら、ミーミルちゃんに対して聞いた。
「……楽しい……かも、知れないのデス……そりゃあ、嫌な事の1つや2つ、3つ4つはあるデスけど……」
「なるほどね……」
「クラスのみんなにはイジられるデスし、せっかくの休日にゴミ掃除に誘いやがる上司は居るデスし」
「……あくまでも誘っただけだよ? 命令じゃなかったからね?」
「まあ、それらを込みにしても、楽しいといえば……楽しい……のデス」
「あはっ、それは良かったよ」
ミーミルちゃんの照れ隠しのような答えに、思わず頬を緩ませた。
「ととととにかく、ミーとイズモ様の2人でこのマッポーめいた場所を復旧するのデス! そしてイズモ様に対して延々とグチをぶつけてやるのデス! おりゃおりゃおりゃおりゃぁぁぁぁぁ! 汚物は消毒して燃えるゴミは月水金なのデスゥゥゥゥゥゥ!」
「ミーミルちゃんがんばってるねぇ……それならボクも、復旧を頑張らないとね……!」
そう言ってミーミルちゃんが掃除した場所を、ボクは神の力をフル活用し、罰当たりにも弾き飛ばされていた墓石などを元に戻し、可能な限りでかつての姿に戻した……
そんなボクらの努力の甲斐あって、復旧は2時間足らずで終わった。
「……ふぃ〜、どうデスかイズモ様、ミーの本気は! ミーがやってやったデス!」
「……まあ、途中何言ってるかワケ分かんなかったけど、スゴい助かったよ。ありがとうね、ミーミルちゃん」
「フッフッフッ、ミーが本気を出せばこれくらい、人の名前がびっしりと書かれたノートを一晩で完璧に複製するぐらいに朝飯前なのデスよ! 分かったらミーと一緒に早くサ店に言って、ミーの愚痴に付き合いやがれなのデス!」
「はいはい分かったよ、ミーミルちゃん」
早く行こうと急かすミーミルちゃんの後について行きながら、微笑みで応えた。
最終章予告
一つはこうしよう。
邪神の毒は人命を蝕み、少女達をも傷つける。
人死ねば邪神蘇り、人殺せば邪神蘇らず。
少女は自分の為に選び、皇は民のために選択す。非情な選択。その選択は……




