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土用の丑の日に間に合わなかった非力な私を許してくれ……

 僕の名前は、小杉 遊斗……色々あって魑魅魍魎魔物娘が跋扈する魔界のとある学園に留学することになった、(自称)普通の高校生です。

 あ、色々あってというのは色々あったのです。

 そんな僕ですが、同じく色々あって男女共同(?)の寮……男女比率が0.2:99.8ですけど……に住んでいます。

 問題児だらけの友達兼隣人兼クラスメイト達と仲良く、時にあうぅんし、時にはあひぃ! したりと楽しい……楽しい? 学園生活を送っています。

 そんなある夏の日のこと……

 夏の日差しも強まり、そろそろ夏休みの始まる時期だなと思っていた時、その事件は……『ウロボロス事件』は起こった。


「あーつーいーですわー」

 蛇娘のラミアさんが、両手と下半身の蛇部分で僕の私物のうちわで必死に扇いでいた……

 下半身まで使うと、涼しくなる前にむしろ暑くなるのではと思わなくもないけど、きっと半分は変温動物だから大丈夫なんでしょう。

 それはそれとして……スゴく器用ですよね、尻尾の先端でうちわの持ち手を掴んで、最低限度の動きでうちわを扇ぐなんて……

「あらユウト……そんな熱い目で私を見て、見入っていましたの?」

「つい数秒前まで感心していたのに、すぐにこれですか?」

 ラミアさんに対して遠回しに愚痴りながら、いつの間にか巻かれていた尻尾をどうにかしようともがいてみた。

 ……いつもよりも緩いような気はするものの、抜け出せるかどうかは別問題だった。端的に言えば、緩くても流石に無理だった。

 ……それはそれはそれとして、専門的な事はともかくとして、おそらく夏バテか何かでラミアさんの具合が悪そうなのが分かるでしょうか?

「…………はぁ……」

「あの、ラミアさん? 元気無さそうですけど大丈夫ですか?」

「え? …………平気ですの……問題ないですの、ノープログレサファイアですの」

「あー…………なんとも言えませんね……」

 本人(人というか、半分蛇ですけど)がなにも言わない以上、どうしようもない。

 夏バテなら夏バテといってほしいんですけど……まあ、素直じゃないラミアさんには期待するだけ無駄ですよね……せめて自分で体調管理してほしいんですけど……

「あ、そうだ」(唐突)

 そういえば、確か今日は土用の丑の日……鰻とか、『う』のつく食べ物を食べると夏バテしにくくなるんでしたっけ……? まあ、夏に鰻を売るために平賀源内が広げた江戸時代からの風習らしいですけど。

 それが、鰻の高騰で『う』のつく食べ物ならいいや、みたいな風習に一部で変わって……

 あ、後半は去年友達の乃原さんに聞きました。

 そんな事をふと独り言で呟くものだから……

「土用の丑の日……そういうのもありますの?」

 なにやら、仲間の蛇さんをこき使って、きっと良からぬ事をし始めてしまいました……

 ……どこかの誰かから、「それは俺の口癖だ!」という旨のクレームが来た気がしますが、きっと気のせいでしょう。


 いったい何が始まるんです? ラミアさんの料理だ! という脳内自問自答をしている間に、料理する過程をすっ飛ばしたのか、ラミアさんにこき使われている白蛇が蒲焼きらしき料理の載った皿を、器用に体に載せて運んできた。

「ご苦労ですの、ホワイト」

 そのまんまネーミングの白蛇に労いの言葉をかけ、帰れと言わんばかりの目を向けるラミアさん。

 一応付き人(人じゃないですけど)の蛇が少し可哀想だったので、ちょっとだけ頭を撫でてあげた。

 ……蛇なのでイマイチ分かりませんけど、なんとなく喜んでいる気がしました。

「よしよし…………あ、ところでラミアさん」

「? 何ですの?」

「これ、1皿しか無いんですか?」

 鰻らしき蒲焼きは、一匹分しかなく、しかもそれは僕の目の前に運ばれてきた。

 考えられるのは2つ、一匹を半分ずつ食べるのか、僕の分なのか。

 ……もしかしたら後者? ……いえ、よしましょう。僕の妄想でラミアさんに絞められたくないですから。

「勿論。私が食べたら|共食いに(・ ・ ・ ・)なってしまいますのよ」

 …………ウナギとラミアさんで共食い?

「…………あ、あの〜……これ、何ですか?」

「? 見ての通り、|ウロボロス(・ ・ ・ ・ ・)の蒲焼きですのよ?」

 あ、やっぱりですかー……まあ、僕はウナギでもウロボロスでもどっちでも……あ、無理です。よくないです。

「……味を見てみよう」

 ミジンコ以下の勇気を振り絞ってパクリォと一口……

「……鰻みたいで結構イケますね」

 正直、頭と尻尾がない切り身のまま出されたら、鰻と言われて少し違和感を抱くものの一応納得できる位には鰻でした。

「気に入ったみたいでなによりですの」

「…………あれ? そういえば……夏バテなのはラミアさんなのに、なんで僕にウロボロスの蒲焼きを……?」

「…………あ」

「……食べますか?」

 一応共食いになりますけど……

「……ありがと」

 食べさせてと言わんばかりに小さく口を開けていたので、箸で一口大にしてラミアさんの口へと……

「……ん?」

「あれ?」

 ありのままに今起こったことを話しますけど、気付いたらウロボロスの蒲焼きが消え去っていました。目を離してすらいないんですけど、白い何かが見えたと思ったらいつの間にか無くなっていました。

 まあ、犯人に心当たりはあるわけですけどね。

「マリちゃん、君が犯人だよね!」

 犯人が逃げ隠れたのであろう壁のひび割れにむけて言った……

 すると、観念したのか白いスライムが壁のひび割れからドロリと出てきた。

 ドロリと出てきたスライムは徐々に人型を取り……最終的に白髪赤眼の幼女の姿になった

「バレちゃった〜?」

「そりゃあバレるでしょ」

 僕の知り合いには白くて素早い子なんてマリちゃん以外には居ないはずだし

「…………宣戦布告のつもりですの?」

 ゴゴゴゴ……という擬音が出るかと思うくらいに殺気を放つラミアさん……

「ん〜殺る気?」

 誰かさんに似たほんわかとした雰囲気を放ちながらも、殺気を放つマリちゃん……

 ……逃げよう。こっちのマリちゃんは手を握って助けてくれるどころか手を出してヤバい事しでかすし。

 僕は逃げるために部屋のドアノブに手を伸ばした

 ドアの向こうの誰かはなんの躊躇もなく全力でドアを開け放った。

ダンッ! グキッ!

「っ〜〜!」

 折れるかと思った(小学生並の感想)

「貴様ら、またしても喧嘩か……」

「「「ドラグ(さん)!」」」

 扉を躊躇なく開いたのは黒髪赤目の美女、ドラグーンのドラグさんでした。

「貴様ら2人をまとめてオーガ教官の元に送って今夜一晩だけでもこの階を平和にしようと思ったが……残念だ、まだ開戦してなかったか」

「それが生徒会役員の言うことですか!」

 あ、一応言っておきますけど、ドラグさんはこんな言動ですが生徒会の副会長です。

 ちなみに、オーガ教官は鬼人の男性で普段は優しいのですが怒ると怖い鬼教官そのまんまです。

「ああ、ところでラミア……ガッツくようで悪いが、そのウロボロスの蒲焼き、わたしの好物なのだが……くれないか?」

「嫌ですの」

「そうか、ならば……実力行使といこう!」

 アンタ2人を止めに来たんじゃなかったんかい

「……蒲焼きは渡さない……!」

 …………この後、3人まとめてオーガ教官に連れて行かれた、とだけ言っておく。流れ弾であひぃ!?(気絶) したのは内緒だよ?


魔女先輩「」

遊斗「ああ……メイン(予定)で唯一ハブられ」

先輩「和久名!アンタどこ中よ!アタシの何個下よ!」

(無言のメラゾ○マ)

和(返事がない、ただの焼きドラゴンのようだ)

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