エピローグ エクステルと僕
最後は、マエストロ視点のお話です。
からんからんと鐘が鳴っている。
隣の棟にある学校で、午後の授業が始まるようだ。
僕は白い雲間から目を細めて外を眺めた。
今、僕と伴侶のエクスがいるのは……学校の寄宿舎の一室。暖炉の火が赤々と燃えていてとても暖かい。
すらりとした長鞘の剣――僕らの本体は暖炉に立てかけられていて、やわらかい炎のぬくもりがじんじん伝わってくる。
目を閉じて
夢をみましょう
黄金のりんごと
白銀のかぜ
虹色の花がさきほこる
夢の花園であそびましょう
ふわふわの雲間の上で僕に抱っこされながら、エクスは上機嫌に歌っている。とても澄んだ、透明な声で。
僕が抱きしめているのはかりそめの体だけれど、エクスはとてもかわいらしい。
生前と同じ、とても華奢で少女のような容姿。
暖炉に立てかけられたすらっとした長鞘の剣の姿からは、ちょっと想像できない真の姿。この姿を見られるのは、この子を剣の宝玉に封じたこの僕だけだ。
この子に初めて会った時。直感というか。衝撃というか。
まさに雷に打たれた感じがしたのを思い出す。
前世で何か因縁があったんじゃないかと、真剣に思ったぐらい。
だから夢中で愛して。死なせたくなくて、宝玉に封じた。
このまま、永遠に一緒にいられたらいいんだけどな……。
「ぷー」
僕らの目の前、ほどよく暖炉から離れたところから音がした。
そこには、かわいらしいリボンが沢山ついた天蓋つきの揺りかごがある。
その中には……。
「ぬー……」
ん? これは……
「ふあ……」
まずい。
「ふえええええええええ!!」
「エル様、どうしたの?」
隣の部屋から、銀髪の子どもがすっとんでくる。僕のエクスはしごく落ち着き払って答えた。
『オムツが濡れたんですよ。換えてください』
「は、はいっ」
銀髪の子はわたわたと代えのおむつを箱から出して、揺りかごの中の赤ん坊をぎこちなく抱き上げた。
「エル様、きれいにしましょうね。エクスさん、ありがとう」
『どういたしまして』
さすが僕のエクス。カンナ・ジルの子はもとより、サンテクフィオン家代々の子どもたちの面倒をみてきただけあって、乳母の腕は超一流だ。
おっぱい、おむつ、だっこ、ゆりかご……赤ん坊の要求を読み違えたことはただの一度もない。
音声解析によると赤子の泣き声の波形の違いはほとんどなくて判別が難しいんだが、かなり微妙なところで微妙な違いが超微妙にあるらしい。
紫水晶の瞳をニッコリ細め、銀髪の子どもはトントン赤ん坊の背を叩く。
『よい予行練習ですねえ』
エクスがしみじみ言うと、銀髪の子どもは顔をぽうっと赤らめた。
「え? 予行?」
『この赤子を預かってよかったですよ。こんな夢みたいな光景が見られるんですからねえ』
赤子の名前はエルフィリオ・サンテクフィオン。現サンテクフィオン家当主の隠し子だ。
母親が病死して孤児院に預けられていたのを、エクスがうまいこと手を回して手に入れた。
現在大陸随一の大企業サンテクフィオン重工の影の理事であるエクスにできないことはない。目下、黒髪の教師とその幼妻に預けてこの寄宿学校で育てさせ、サンテクフィオン家の跡継ぎにするつもりでいるらしい。
エクスの機嫌をひどく損ねてしまった本来の跡継ぎは、エクスの鶴の一声でここよりもっと厳しい男子校に転校させられた。将来は内海の孤島か北の辺境の事務所にでも放り込まれるんだろうと推測される。
しかし銀髪の子が赤ん坊を抱いている姿は……すばらしい眼福だ。
エクスが上機嫌に突っ込んでいる。
『もうすぐあなた、身ごもるんじゃないですか? 毎晩トーリ先生にかわいがってもらってますでしょう?』
「そそそそれは、そうですけど……」
『あなたメニスだから産めますでしょ』
「でもボクは、赤ちゃんのお世話をする乳母として雇われただけで……先生のお、奥さんじゃ……」
『近い将来そうなりますよ』
「え……」
黒髪はすでにこっそり婚姻届出しちゃってますしね、と僕のエクスは僕にしか聞こえない声で云って、ぺろっとかりそめの舌をだしてくつくつ笑う。
『さて、子守唄を歌って寝かせますので、あなたはおしめを洗ってきてくださいな』
「はい、エクスさん」
あとはお任せなさい、と銀髪の子を部屋から送り出した僕のエクスは、ふおん、と鞘ごと刀身を震わせた。
韻律波に似せた音波震動が、かわいらしいリボンで飾られた天蓋つきの揺りかごをそっと揺らす。
波動に乗せて、エクスはまた歌いだす。
僕の腕の中で。
目を閉じて
夢をみましょう
黄金のりんごと
白銀のはな
歌詞はエクスの創作だが、節はかつて白の癒やし手レクリアルが、スメルニアの皇帝に歌ってやった子守唄だ。エクスは数百以上の子守唄を知っているけど、このメロディーが一番好きだという。
澄みきった声はまるで天使のよう。最高のメゾソプラノだ。
さもあらん。
これは美声と名高き竜王メルドルークの声でも、エティアの武王の声でも、癒やし手レクリアルの声でもなく。
僕が見つけた僕のかたわれ、エクステル本人の声だ。
赤子はすやすや眠りにおちた。
心地よさそうに、幸せそうに、眠りにおちた。
ほどなく。からんからんという鐘の音と共に、子供たちのはしゃぎ声が廊下から聞こえてきた。
隣棟の学校で授業が終わったようだ。
「えくすー」「えくすっ」
直後、学校帰りの子どもたちが数人、どやどやと部屋に入ってきた。
しーっ、と息を吹いたような音を出し、僕のエクスは瞬く間に元気な子どもたちを黙らせた。
『赤ちゃんが眠っておりますからね、みなさまどうか静かにしてください』
「トーリ先生があずかった赤ちゃん?」
「学校の前に捨てられてたってほんと?」
『いえいえ、さるところから引き取ったんですよ』
「女の子? 男の子? どっち?」
『玉のような男の子です』
目を覚ましたら教えてあげます、その時そっとお顔をごらんになってください、と僕のエクスは子供たちに優しく請け負った。子供たちがいつものように昔話をねだってきたので、それでは、とうれしそうに語りだす。
静かでおだやかな声音は、子守唄の調べと同じ声量。赤子が起きないように細心の注意を払いつつ、エクスははるか昔のおとぎ話を語り始めた。
『いまや大陸を二分しております偉大なお国は、ケルティーヤ帝国と、魔道帝国でございますね。むかしむかし、魔道帝国を建てましたのは、おそろしき黒の導師セイリエンの三番目の弟子、カイレストスでありました。彼は岩窟の寺院において封印された師の志を継いで、寺院を出奔しました。そして砂漠の都の宮殿に火を放って王を殺し、都を我が物としたのです……』
「エクスー、ただいま」
「もうお話始めてる」
ぞくぞくと子供たちがさみだれ式にやってきて、エクスの周りに輪を作る。
幼い寄宿学生たちの間で、「しゃべる剣」としてすっかり人気者だ。
エクスは、サンテクフィオン家の宝物庫に設置された「玉座」に帰るつもりはさらさらないようだ。
黒髪の教師夫妻と一緒に、第二十六代目の主人であるこの赤子が成長するまでここに居座るつもりらしい。
エクスは、前の主人のレクリアルにきっかり百年間、操をたてた。
それが仕様です、と澄まして云う。
カンナ・ジルとその子孫たちに貸し与えられていた時代を経て、戦神の剣はついに、フィオン本人のものとなった。
そう、この赤子はまごうことなくフィオンの生まれ変わりだ。
『こうして砂漠の国の王となったカイレストスは、師セイリエンの御名ジェニスラヴァを名乗って神獣レヴテルニを従え、破竹の勢いで赤き砂漠を征服していきました。おそろしいことに、岩窟の寺院も滅ぼされたのです。
しかし幸いなことに、師であったセイリエンの転生体はなかなか見つからず、王国の勢いは今ひとつ。その間に我らが癒やし手レクリアルと黒の軍師トリオン、そして南王国の覇王ジェリドヤードは、獅子王ジェニスラヴァの侵攻を食い止めようと必死に戦ったのでした。
そして数十年ののち。ついにこの世に燦然たる英雄が生まれ落ちたのです。その名はサンテクフィオン。大鍛冶師にして神に愛された戦士。彼は折れていた戦神の剣を打ち直し、ばったばったと黒獅子の軍を倒していきました。黒獅子の皇帝陛下が復活させた悪魔ダンタルフィタスや、魔王フラヴィオスもなんのその……』
エクスがとうとうと昔話を話していると、子どもがひとりおずおずと部屋に入ってきた。その後ろには遠い昔に導師であった、黒髪の教師の姿が在る。
「そこにいなさい。私は君の部屋を手配してくるから」
黒髪の教師に背を押されるようにして入ってきた子は、おどおどした目で部屋を見渡し、それから部屋の隅にうずくまった。ほっそりした顔つきの女の子だ。
エクスはいったん言葉を切って、ふわっとそよ風のごとき波動を出し、その子を子どもたちの輪の中に招き寄せた。
『こちらにいらっしゃい。転入生のパール・メチカですね。常花の都からはるばるようこそ』
「常花の都」ときいて、子供たちがわぁと歓声をあげて色めき立つ。
「虹色のお花で有名な都ね」
「いいなぁ、旅行で行って見たい都ナンバーワンのとこじゃん」
「お花の女王さまがいるんでしょ」
「一年に一度、お祭りの時にえらばれるんだって。それで一年間、都のお花畑をおさめるんだよね」
『パールのお母さんは三度、花の女王になったそうですよ』
エクスがいうと、子供たちは一斉に目を丸くした。
「すごーい!」「女王様の子ども?」「じゃあ、お姫様なの?」
「そ、そんなことないよ。うちは、ふつうのおうち」
転入生は頬を赤らめもじもじして。困ったように目を泳がせた先にある、天蓋つきの揺りかごを見た。
「あ。目を開けた」
赤ん坊がかすかにむずかる声が聞こえたらしい。転入生はゆりかごをのぞきこんだ。そっと手を添え、起きた赤子が泣き出さないようにゆっくり揺らしてやっている。
緊張してがちがちだったその子の顔に、やわらかな笑顔が浮かんだ。
「かわいい……」
『さてさて、戦士サンテクフィオンの活躍はまだまだ続くのですよ』
ひとしきり偉大な戦士と僕らの大活躍を語りあげると。
エクスはあくびをかまして、今日はここまで、とお話を終わりにした。
子どもたちが自分の個室に戻り始める。新しい仲間となる女の子を、子どもたちが囲んで話しかけながら連れて行く。
扉をくぐった瞬間。転入生のその子は振り返り、手を振ってにこっとした。
「赤ちゃん、またね」
エクスがまた子守唄を歌いだす。
天使のような、澄みきったかわいらしい声で。
白い雲間で、僕はエクスを抱きしめる。
そして、思う。
きっと。竜王が愛した歌姫よりも、美しい声に違いないと。
そして、願う。
僕のエクス。エクステル。
ずっとずっと君と、永遠にこうしていたい……。
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『マエストロ、何見てるんですか?』
あ……昔の幻像、かな?
『ああ、この記録? 一番のお気に入りですよね。もう何度も繰り返し見てますでしょ』
そうだね。だってエクスの歌声が神がかり的にかわいいから。
エルフィリオもこの頃はかわいかったね。
『ですねえ。今はもう、なんと申しますか、汗くさーい、超むさーい……』
――「だれが、汗くさいオヤジだって?」
『オヤジ? いえいえ。そんなまさか、我が主』
ほんとまさかね。エルフィリオがまた一旗挙げるなんて思わなかったよ。
大企業の社長兼戦士って忙しいなぁ。
今はケルティ-ヤ帝国の味方をして対魔道帝国軍の陣頭指揮に立ってるけど、いずれは一国の主になりそうだ。
「それよりほんとに大丈夫なのか? 柄の赤鋼玉が点滅してるけど。今にも輝きが消えそうな気が……」
ああ、それは。
そろそろ赤鋼玉の内臓電池が切れるんじゃないかな。
「え?! 電池?! お、おい、黒獅子軍十万を目の前にして、そんな不穏なこと言わないでくれよ。大体ここ、戦場だよ? 天幕はスクリーンじゃないよ? なんでこんなこっぱずかしいもの大写しにしてるの?
激しくかわいい母様と猿みたいな俺とか。お、俺の奥さんとか。なにこれ公開処刑?」
いい幻像だよねえ。
「い、いいけど。いいけどね? でもここ、戦場だから。しみじみしてもらっちゃ困るから。も、もしかしてマエストロ、ボケてる? 本当に大丈夫?」
うーん。大丈夫、かなぁ。
普通の赤鋼玉なら何千、何万年ってもつけれど、この宝玉は様々な機能を搭載したミクロン膜の伝導体を何十枚と張っててね、しかも右目と左目の一対で使用するルファの目をひとつ目だけにした上に、魂を吸い込む機能をねじこんでるから、負荷がものすごいんだよね。今まで割れなかったのが不思議なくらいだよ。
一度君の先祖に延命してもらったんだけどね。刀身を打ち直してもらったとき。でもあの子、大鍛冶師って大層な称号もってたけど、僕ほどの腕はなかったからなぁ。
まあ、僕のお師匠様なら新品のルファの目に僕らを移せるだろうね。今も生きてると思うよ。だって黒髪のトリオンと同じ種類の生き物だからね。輪廻をはずれた魔人なんだ。でもぶっちゃけ、今どこにいるか分からないなぁ。あの人、隠れるのが上手だから。
それより。ずいぶん、外はにぎやかだね。
ずん、ずんって地鳴りみたいなのしてるし。ずらっと並んだ天幕が一斉に揺れてるし。
「敵の砲弾が着弾してるんだよぉおお」
満天の星空になんかぴかぴか光ってるし……。
「今、敵の妖精隊に攻撃されてるんだってばぁああ」
ああ……それは、ちょっと大変だね。
「調子悪いの、どうやったら治る? 魂食べるのはだめ? 燃料の問題じゃないのか?」
そうだねえ……
……
……
「ま、マエストロ!? し、しっかりして! エクス、どうなってるんだ?」
『あ……すみません我が主。マエストロ、あなたの赤ん坊のころの幻像、えらく気に入っちゃって』
「いやだから、突然天幕に幻像を映写し始めるとか、おかしくない? ドンパチやってる最中にさ。なんかまるで走馬灯のようだっていうか……」
もう一回、見ようかな。
『マエストロ、ほんと飽きませんね。リピート何回目です? 私も、あなたの腕の中にいるの、ほんと飽きませんけど』
そうだねえ……
『マエストロの腕の中は、本当に心地よいです……』
……あれ? 再生回路……動かないよ?
エクス?
『……』
あ……寝ちゃった?
このごろ君も眠ってばかりだものね。僕もだけど。
でも、もう一回見せてくれないかな。
エクス……
エク……
……
……
……
「エクス! マエストロ! お、おい! 返事してくれよ! そ、そんな……そんな……! 二人とも待っ……!!」
0101010101010101010101010101010101010101
0101010101010101010101010101010101010101
ふぁ……
あ……れ?
ここ、は……。
白い雲間か。
エクスの中じゃなくて本物の天上かな?
さすがに赤鋼玉の耐久力が限界にきてたからなぁ。
普通の宝石なら叩き壊さない限り半永久的にもつけれど。エクスの宝玉は機能をひっつけすぎてるし、ミクロン皮膜の伝導体はどうしても劣化しちゃうもの。
エクスはどこかな。もう輪廻の流れにいってしまったかな。僕のかたわれ……
「マエストロ!!」
あれ……?
「よかったマエストロ、起きたか?」
起きたかって。エルフィリオ? なんで君の声がすぐそばで聞こえるの?
うわ。いきなり涙と鼻水ですごい状態のおじさんのどアップって……
エルフィリオがのぞきこんでるってどうして?
「よかったまにあった……! もう少しで二人を天上へあげてしまうところだったよ」
まさか。この雲間は、本物では……ない?
「サンテクフィオンの本社の工房に急行して宝物庫を洗いざらい探したんだ。そうしたら、新品同様の赤鋼玉の宝玉があって……つまりエクスの心臓の複製が見つかったんだ。作ってたんだよ、前世の俺。戦士にして大鍛冶師のサンテクフィオンが、マエストロの真似して、心臓の複製を作ってたんだ。だから急いでその宝玉にエクスとマエストロの魂を、移し入れてもらったんだよ」
移してもらった? 霊魂転移かな。とすると黒の技ってことだから、それをやったのは……
「いきなり大本営から前線に呼び出されてびっくりした。まにあってよかったな」
エルフィリオの背後に見えるのは、燦然と輝く銀の杖。なるほど、黒髪のトリオンか。
「私の妻が泣いて懇願するものだから、しかたなく延命してやったぞ」
ありがとう、感謝するよ。
「まったく、この天下分け目のくそ忙しくて大事な時に旗頭の戦神の剣がポンコツになったら困る。おまえらを修理している合間に、なんとか黄海の制海権をもぎ取れたぞ。黒獅子の皇帝陛下からとりあえずの和平交渉を引き出すまであと一歩だ」
敵に包囲されてるようだったけど、切り抜けられたんだね。
「覚えてないようだな。おまえらが黒獅子の妖精隊を吹き飛ばしてくれたんだが。あれで一気に形勢が逆転して勝利したんだ。ていうか、最後っ屁狙っただろう?」
そうだったっけ? あー……記録再生装置直さないとってシナプスいじってて、それで変なスイッチ押しちゃった気がする。
まぁ、もうろくしてて自由が効かなかったからなぁ。
単なる操作ミス? 手違い?
「おい……手違いで天変地異を起こされても困るんだが」
はは、もう大丈夫だよ。
ええと、エクスはどこかな?
ああ……よかった。雲間の中に丸まって寝てる。
エクス。
エクステル。
『ん……あ……あれ? 私、ついに死んだんじゃなかったんですか?』
まだ天上へはいけないらしいよ。ほら、起きて。
『えーっ』
え。
もしかして、僕との二人生活は飽きた?
『いいえ、まさかそんな。びっくりしたんです』
エクスが微笑む。なんてかわいらしい笑顔だろう。
君のその顔を見るたびに、僕は何度も恋に落ちる。
『私たち、まだまだがんばらないといけないようですね。エルフィリオは魔道帝国を倒すんだーとか、大陸統一だーとか、はりきってますから』
そうだね。彼を守らなきゃ。
僕はエクスにうなずいてみせる。
まだしばらくは、みんなのそばにいることにしようか。
『はい!』
僕のエクスが嬉しそうに抱きついてくる。かりそめの体だけれどちゃんとぬくもりがある。
エクス。エクステル。
『はい。なんでしょう?』
僕は幸せなため息をついて、いとしい伴侶に囁く。
これからも、ずっとずっと一緒だよ。
たちまち、エクスの顔に満面の微笑が浮かぶ。
そして僕は。ずっと昔から夢見ていた返事をもらった。
『はい、ソートアイガス。私たち、ずうっと一緒です。ずうっと、ずうっと!』
ありがとう。いとしいかたわれ。
やっとすんなり、僕の名前を呼んでくれたね。
とても嬉しいよ……
『あ……あれ? あーっ、口すべっちゃいました。すみません。すみませんマエストロっ。呼び捨てごめんなさい!』
起きぬけでボケたのかな。もう一度呼んでくれない?
『むむむむり。むり。とーんでもないです! はずかしいです、絶対ムリ!』
あはは。
僕は笑って、いとしい伴侶をぎゅうと抱きしめ返した。
エクス、これからまた、仲良く歩んでいこう。
さらなる勝利と、いっぱいの幸福と、穏やかな平和を勝ち取るために、歩んでいこう。
僕と君で。
永い永い、二人の道を。
剣のお話を読んでくださり、ありがとうございます。
戦神の剣の物語(全年齢版)、本編完結となります。
R18版のオリジナルとの違いはあまりないのですが、
R15以下になっているのに加えて、
・赤猫ことエクステルの性別は男の子→実は女の子? になっている。
・リシャル・ローゼンフェルドのバックアップシステム搭載。
・エピローグでマエストロが自分の師匠のことをちらっと思い出す。
以上が相違点です。
マエストロの師匠は「アスパシオンの弟子」で現在大活躍中ですが、
空也や武王のお話、サンテクフィオンのお話、
エティア建国の七英雄のお話等々
剣が出てくるであろうお話をこれからちょこちょこ、書くかもしれません。
武王編はすでに三話、創作サークルの方にあげていただいておりますが、
改稿して、いつか新たな連載ものにできればよいなと考えています。
最後までお付き合いくださいまして、本当に本当にありがとうございました><




