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46話 研究所の私

黒髪の暗い記憶を食べ続ける剣。

記憶の同期が続いています。

 飾り気のない部屋。

 周りにはたくさんの、白衣の人。


「おいしいよ。食べなさい」


 穏やかな声。

 目の前には、真っ赤なりんご。

 小さな手を伸ばす私。

 おいしそう。

 しゃくっとかじる私。

 口に広がる、甘酸っぱい味。

 おいしい。おいしい。

 夢中で食べていたら。突然――。


「う……?」


 いたい。

 いたい。


 おなか……? 胸……? 燃えるような、熱さ。


「ひ……ひぎいいいい!」 


 床に落ちるりんごの欠片。悲鳴をあげる私。

 黙って見下ろしている、白衣の人。


 苦しい。苦しい。気持ち悪い……。 

 だれか。

 せんせい。

 おとうさま。



 たす。けて。







 私――幼い黒髪が入れられた研究施設は……

 博士のお屋敷より何倍も大きくて、王宮のすぐ向かいの敷地にありました。

 先生のお屋敷には数ヶ月。そしてここにはたぶん、数年ほどいたのだと思います。

 寝台つきの小さな小部屋に入れられた私のもとに、大勢の学者たちがひっきりなしにやって来ました。

「人間の子供の反応をするプジ」、という触れ込みの私を調べるために。

 学者たちは、毎日私においしそうなものをくれました。

 赤いリンゴや、葡萄や、やわらかいパンに焼き菓子。甘い牛乳。


「おいしいよ。食べなさい」

「いい子だね。飲みなさい」


 たしかにおいしかったです。口に入れたときは。

 でも。


「ぎ……あ! ひぐっ!」


 床に倒れてげーげーと吐く私を、学者たちは眉ひとつ動かさずに観察していました。

 食べ物や飲み物の中には、いろんな薬が混ぜられていたようです。

 どんな反応をするか調べていたみたいですが、こちらはたまったものではありませんでした。

 私は毎日何度も無理やり薬漬けの食べ物を食べさせられて、七転八倒しました。

 賢い黒髪は、すぐに警戒して食べ物を受け取らなくなったのですが。学者たちは無理やり口に毒入りの食べ物を押し込んできました。

 そのたびに、学者どもは猫なで声で言いました。


「おいしいよ」


 うそつき。

 うそつき。

 うそつき……!


 おかげで私はすっかり、食べ物がいやになりました。

 パンを見るだけでこわくて震えて、涙を浮かべるようになってしまいました。

 私ががんばって薬漬けの食べ物を拒否するので、あるときからぱったり普通のごはんが出なくなりました。

 お腹が空けば、なんでも口に入れるだろう。学者たちは安易にそう思ったようですが、奴らの目論見は外れました。

 私は、口に入れられたものを吐き出して抵抗しました。

 おかげであっというまにガリガリに痩せて、骨と皮ばかり。

 学者たちは仕方なく栄養剤と薬を一緒にして、私に注射しました。

「治験が進まない」、と愚痴りながら。


 せんせい。

 おとうさま。

 たすけ……て。


 痙攣して床にのたうつ私の前で、学者たちは長々と議論しました。

 私が本当にプジなのか。ではなく、私を使ってどんな研究をするかを。

 彼らがぽそぽそ議論しあう会話を、私はぐったりしながらもちゃんと訊いていました。


「昨日、製薬所から三種類の新薬の治験依頼がきました」

「ひっきりなしだな。薬学組がまたぞろ狂喜するぞ」

「寄付金つきだからおいしいですね」

「我々錬金組も負けていられないな。早く技術復刻請願が通るといいんだが」

「しかしいい検体が来てくれたものだよ。おかげで誰はばかりなく研究費を請求できるし、なんでもやりたいことを試せる」


 私がプジであるかどうかなんて、学者たちにとってはどうでもよいことのようでした。

 彼らの目的は、私にかこつけてやりたい放題好きな研究をすることでした。

 たぶん本当は……結果なんて、すぐに出ていたのでしょう。

 私の手首にある刻印は、私が「ガムン有機体製造所製」の有機人形であることを示していました。

 でも私が研究所にきたころ、同じ刻印をつけたプジの幼体の事件が、王国内で起こったのです。

 とある貧しい家の父親が、わが子をプジと偽って刻印をつけて売ろうとしたそうです。

 学者たちは私が来て数日間、しきりにその事件のことを話し合っておりました。

 たぶんそのときに、彼らはもうすでに、ひとつの結論を出していたはずでした。

 でも。

 学者たちは、すぐに白黒つけるのは嫌だったのです。

 自分たちがやりたいことをするために。

 大陸同盟というとても偉い機関から古代技術の復刻を許可された時、学者たちはそれはそれは有頂天でした。

 今日は祝宴だ! と、だれかが本当に小躍りしていました。

 復刻された技術は、血の成分からどんな生き物かを判別するというもの。つまり、遺伝子検査をするものです。

 すでに失われてしまった技術を、記録だけを参考にした見よう見まねで再現しようというのですから、それはもう大掛かりなことになりました。

 錬金組と呼ばれる班の学者たちが中心となって、検査機械が作られました。

 その機械は、何度も何度も作り直されました。そのたびに、私は何度も血を抜き取られました。一回にどれだけ、というぐらい大量に。


 いたい。

 いたい。

 くるしい。


 血を絞られる機械は、どれもとても痛くてたまりませんでした。


 せんせい。

 おとうさま。

 たす……


 嫌でたまらず私は泣きました。

 血を採られた後は動けなくなり、何度も意識が落ちました。

 何も出来ずにぐったり寝台の上に丸まり、ぼうっとするだけの私を、常に二人の助手が監視していました。

 若者と、中年ぐらいの太った人。

 ハリエルという若い助手は、私のことをよく気遣ってくれました。

 反対に、エクイルという太った助手は、あからさまに私を邪険にしました。

 どうやらハリエルは私を「貴重な突然変異のプジ」だと信じており、かたやエクイルの方は私を「ただの人間の子供」だと見ているようでした。


「こんなガキに膨大な金をかけるなんてな。博士方は狂ってるよ。こいつも貧乏人が生活に困って、プジだって言いつくろって売り飛ばした口だろうに」

「でも王様は興味津々だよ。もし本当に新種のプジだったら、王宮に置きたいと仰られたそうだ」


 ハリエルは、寝台の上にぐったりして縮こまっている私の頭を撫でました。きらきらと、純朴そうな目を輝かせながら。 


「王様に引き取られたら、きっと王子みたいに大切に扱われるんじゃないかな。そうなるといいね、チビちゃん」


 けれどもエクイルの方はただケッと肩をすくめるだけでした。


「賭けてもいいぜ。こいつは、ただの人間のガキだ」




 最後に作られた遺伝子検査の機械は、今までの中でいちばんひどいものでした。

 特殊な金属で作られたそれは、私の全身を押しつぶさんばかりに締め上げて、大量の血を絞り取りました。

 その圧力で私は手足の骨を砕かれて、ずいぶん長い間寝台から動けなくなりました。

 優しいハリエルは、親身に世話をしてくれました。

 薬への恐怖から食べ物を食べられなくなった私の口に、辛抱強く栄養剤のスープを運んでくれました。


「ほら、おいしいよ」


 私は始め、反射的に吐き出してばかりいましたが。


「ごっくんして。いい子だね。おいしかったね」


 何とか飲み込めると、ハリエルは頭を撫でてとても褒めてくれました。

 私は彼が撫でてくれるのが嬉しくて、彼がくれる食べ物なら、なんとか食べられるようになりました。

 彼は手足を包帯と添え木で固定された私に、いろんな絵本を持ってきて読んでくれました。

 きらびやかな英雄たちや、竜や妖精、神獣たちのおとぎ話を。

 中でも私が一番気に入ったのは、「じぶんのかたわれ」を探し出した妖精の話でした。

 レナンディルというその妖精は、「おとうさん」と「おかあさん」のもとにとりかえっ子でやってきて、「ほんとうのこどもじゃない」といわれて家を追い出されるのです。

 けれどもレナンディルは長い長い冒険の旅をしたのちに、ついにひとりの女の子に出会い。妖精の力で女の子を自分と同じ年を取らない者にして、二人で永遠に、幸せに暮らすのでした。

 天に浮かんでいる、魔法のような小さな島で。


「またその話かよ。聞き飽きたぜ」


 エクイルは呆れ顔でしたが、ハリエルは嫌がらずに何度も読んでくれました。

 私が、「よんで」、とねだるままに。

 私はその妖精レナンディルの絵本ではじめて、「おとうさん」と「おかあさん」とは何か、知りました。

 自分が、シクリード先生の子どもになれなかった理由も。

 私は、おとぎ話の妖精と同じ。先生の、「ほんとうのこども」ではなかったから。だから、先生は私を……。


「じぶんのかたわれ。みつかる?」


 ハリエルが妖精のおとぎ話を読み終えると、私はいつも彼に聞きました。


「みつかる? かたわれ。えいえんにいっしょの、かたわれ」


 残念ながら私には「おとうさん」と「おかあさん」はいないようです。

 だから私は――幼い黒髪は、こう考えました。

 自分が幸せになるためには、妖精のように、「じぶんのかたわれ」を見つければいいのだと。


「きっと見つかるよ」


 ハリエルは微笑んで、答えてくれました。私の頭を優しく撫でながら。


「僕も自分のかたわれを探してた。でももうすぐ、見つかるような気がしてる」


 暖かい手のぬくもりを感じながら、私はこっそり思いました。

 この人が、私のかたわれだったらいいなぁと。

 だって絵本の中で妖精は、かたわれの女の子をぎゅうと抱きしめるのです。

 きつくきつく、とてもいとおしそうに。にっこりした顔で。

 私も、そうされたいと思いました。抱きしめられたいと、思いました。

 ハリエルの腕に。ぎゅうっと、優しく。




 検査から数週間たち、手足がだいぶ治ってきたころ。

 私の部屋に突然ぱったり、学者たちがこなくなりました。

 毎日必ずだれかれかは来ていたのに、その日はひとりも来ませんでした。

 翌日のお昼すぎ。とても不機嫌な様子で、ハリエルが休憩から戻ってきました。

 彼はなんだかいらいらしていて、スープを飲む時間になっても、いつものように私に手ずから飲ませてくれようとしませんでした。

 しかもトレイには、久しぶりにパンが載っていました。

 私はぶるぶる震えましたがハリエルは冷たく言いました。


「もう手は使えるだろ? 自分で食べろよ」


 私の胸はずきりと痛みました。

 そっけなく言われたからだし、なによりハリエルは、私から視線を反らしていたからです。お役人に私を引き渡した時の、シクリード先生のように。

 私はまだ包帯が取れない腕をぎこちなく動かして、なんとかパンをかじって口に入れましたが、こわくてすぐに吐き出してしまいました。ハリエルに「おいしいよ」とにっこり言ってもらわなければ、とても喉を通る気がしませんでした。

 スープを飲むのは、無理でした。まだスプーンを握れるほどに腕は回復していませんでしたから。


「ちくしょう! 何様だよ!」


 ごはんを食べるのを断念すると。ハリエルはとたんに、烈火のごとく怒りました。


「もう薬なんか入ってない! 好き嫌いしないで食えよ!」


 私はびくびくしながら、ハリエルにいつものように絵本を読んでくれるよう頼みましたが。

 彼は力任せに、私のために持ってきていた絵本の山を蹴り飛ばしました。

 何が起きたのかわけが解らず固まる私を見て、エクイルが声をあげて笑い出しました。 


「化けの皮がついにはがれちまったからなぁ。ハリエル、だから言ったろうが。こいつはプジじゃないって」

「プジの刻印がついてるじゃないか!」

「あの刻印、すぐ偽造できるんだってよ。へへ、あてが外れたなぁ。おまえ、このガキの専属世話人として、王宮に行きたかったんだろ」

「黙れ! そんな下衆な考えなんかするもんか! 僕は単に、この世で貴重な希少種を、手厚く保護したいんだ!」


 ハリエルは、意地悪く忍び笑うエクイルの左右をいらいらと行ったり来たりしました。


「さっき、新しく来た子どもたちの面倒を見たいって異動願いを出してきた。きっとその中に絶対いる。本物のプジの、突然変異体が。僕が庇護してあげるべき、貴重な存在が」


 エクイルは声をあげて大笑いしました。


「いやいや、今度のも、このガキと同じに決まってるさ」


 新しい子どもたち。

 学者たちはどうやら、私に代わる新しい生贄を見つけてきたようでした。

 エクイルの言うのには、学者たちは、遺伝子の検査機械の結果を早く出せと王様にせっつかれたのだそうです。それで彼らは私の結果を報告しても咎められないように、そして好き放題研究を続けるために、「プジとして売られていた子供たち」を新たに仕入れてきた、と言うのでした。


「坊主、ついさっきおまえの検査結果が発表されたんだよ。もちろん結果は、『プジにあらず』さ。おまえも巷で流行ってる、プジの売りつけ詐欺で売られた普通の子供だったってことだよ。はは、残念だったなぁ。王様のペットになり損ねて」


 エクイルは私をあざけりました。ハリエルはいらいらと腕組みをして、それからひとことも私に話しかけてきませんでした。それどころか、世話も何もしてくれませんでした。

 彼の瞳の中に、私はもういませんでした。

 彼の瞳の中には、別の子どもがいました。


 新しい子どもたちが。 





 数日後、私は研究所から出されました。

 私の「境遇」を哀れんだ王様の計らいで、王都の孤児院に入れられることになったからです。

 エクイルはにやにやしながら、「達者でな」と私を見送りました。

 彼の隣に立っていたハリエルは、私をちらとも視界に入れてくれませんでした。

 「ごめん……なさい」


 別れぎわ。そっぽを向いたままのハリエルに、私は頭を下げました。

 目に涙をいっぱい浮かべて。


「プジじゃなくて、ごめんなさい」


 返事は……ありませんでした。

 私はまともな服を着せられて、お役人に手を引かれて馬車で孤児院へ運ばれました。

 馬車の中で、私はぐすぐす泣いていました。

 もし私がプジの変異体だったら。価値ある珍しい生き物だったら――

 ハリエルは、変わらず私を優しく扱ってくれて。もっともっと、頭を撫でてくれて。

 そして、彼が探しているかたわれにしてくれたかも。

 ぎゅうと、抱きしめて、くれたかも……。

 でも私は、ハリエルにとって全然価値のないものだったのです。

 孤児院に着くと。

 お役人は暗いねずみ色の石壁の建物を指さして、ここの孤児はみな、王様を護る兵士や、その兵士たちの奥さんになるのだと言いました。


「だから君も一所懸命勉強や鍛錬をして、陛下をお守りする立派な兵士になりなさい」


 孤児院の院長さまは、恰幅のよいとても優しそうな人でした。

 役人に背中を押され、一番始めに通された部屋で、私はその人に訊かれました。


「名前は?」


 私は答えに詰まりました。……わかりませんでした。

 学者たちは私のことを「プジの幼体」としか呼んでいませんでした。

 エクイルは、ガキとか坊主。ハリエルは……


「あの……」

「おや、知らないのかね」

「あの……チビ……」

「それは人の名前ではないよ。まあ君みたいなのはたまにいる。それでは私がつけてやろう」


 院長さまは卓上にあるサイコロを振って、それから分厚い本みたいなものを開きました。


「歴史人名事典だよ。五と四が出たから、五十四ページの人名から選んでやろう。どれがいいかな」

「レ、レナ……レナンディル」


 私はうわずった声で、でも必死に院長様に言いました。


「レナンディル。なまえ。レナンディル、です」


 私は自分で、自分の名前をつけたのです。

 あの、「じぶんのかたわれ」を見つけた妖精の名前を。

 院長さまはふむ、とちょっと気に入らないように鼻を鳴らしましたが、すぐにニッコリして私の前に来ました。


「いいだろう。レナンディル。ここによく来たね」


 いきなり、院長さまは両腕を広げました。


「え……」


 私は目をまん丸くしました。

 信じられないことに。

 次の瞬間私は、院長さまの腕の中にいました。

 本当に信じられないことに。

 院長さまは、私を抱きしめていました。

 まるで、妖精レナンディルが、ついに見つけた女の子をぎゅうっとしたように。 

 きつく、きつく。でも優しく。

 そして院長さまは、私に言いました。

 穏やかに。でもきっぱりと。


「レナンディル。今日から君は、わしの子どもだよ」


 わしの子ども?

 もしかしてこの人は、私を「ほんとうのこども」にしてくれるのでしょうか?

 いえ、それはありえません。この人は、私の「おとうさん」ではありません。

 ということはもしかして……もしかして……私を、「じぶんのかたわれ」にしてくれるつもりなのでしょうか?

 ぎゅうと抱きしめてくる腕は、とても太くて暖かく。院長さまの顔は太陽のような笑顔で輝いていました。

 私は、たちまちうれしくなりました。嬉しくて涙が出てきました。

 院長さまの服にしがみついてわんわん泣くと。 


「おやおやかわいそうに。ずいぶん辛い目にあってきたのだね」


 院長さまは頭を撫でてくれました。

 そばにいるお役人も、なんだかもらい泣きして、袖で目をこすっていました。

 これこそ、自分が探していたもの。

 私はそう思いました。

 ここで欲しいものを手に入れられたのだと。

 でもそれは……


「さて。その服を脱ぎなさい」


 それは……。


「ほら、ぐずぐずするな」


 お役人が帰ると。

 院長さまの顔からたちまち笑顔が消えました。

 彼はパッと私を突き放して、いきなり私の服をはぎとりました。


「綿だが、いい生地だ。高く売れる。ああ、代わりにその服を着なさい」


 あごをしゃくられた先――卓上に、灰色の質素な服がありました。

 その服に腕を通していると、院長さまはいらいらと言いました。


「遅い。早く着なさい」


 さっきの太陽のような暖かい言葉はいったいどこに?

 笑顔は? 暖かい腕は?

 灰色の服を着た私は腕をつかまれて乱暴に引っ張られ、大きな部屋に押し込まれました。

 そこには、同じ服を着た子どもがたくさんいました。

 ちょっと大きいのから小さいのまで、たくさん。たくさん……

 みんなぎょろっとした目で、こちらをにらむように見てきました。

 「新入りだ」と短く紹介すると、院長さまは部屋の扉を閉めて行ってしまいました。


 おいていかないで。


 追いかけようとしても、その扉は外から鍵がかかっていて、開きませんでした。

 どんどんと扉を叩きましたが、その扉は開きませんでした。

 そしてほどなく、私は思い知ったのでした。

 院長さまのあの暖かい腕は。あの笑顔は。あれは――。


 真っ赤な、嘘だったのだと。

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